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アノマリー覆せずか、懸念要素は色々くすぶる


[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;28815.10;+2.49TOPIX;1949.97;+0.49


[後場の投資戦略]

 月末最終営業日は株安が起こりやすいというアノマリーが以前から指摘されている。実際、月末の日経平均は昨年9月以降、9カ月連続して下落している。2月の最終営業日には日経平均は1200円超急落し、3月、4月、5月の際も250円前後と下落が続いている。これらを踏まえれば、本日の相場はむしろ比較的しっかりとしているのかもしれない。しかし、前日に先取りするかのような形で、日経平均は一時300円超下げ、終値ベースでも235.41円と大きく下げているため、手放しで喜べる話でもない。実際、本日も29000円を目前に失速すると、すぐに上げ幅をほぼ吐き出し、前引け間際にはマイナスに転じる場面もあったくらいだ。毎度のこと、肩透かしを食らうかのような寄り天形成のチャートを見ていると、なんとも悲しい気持ちになる。

 少し長いスパンでみると、懸念材料も改めて浮かび上がってきた。前日に発表された代表的な米住宅価格指数であるS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(全米ベース)の4月分は前年同月比14.6%と、統計公表以来、最大の伸びを記録。4月のデータであることや、足元では“ウッドショック”とも呼ばれる木材先物価格の急騰が沈静化してきていることを踏まえれば、過度な不安視は必要ないかもしれない。実際、発表直後の米長期金利や米ブレーク・イーブンインフレ率(期待インフレ率の指標)もほとんど反応していない。

 しかし、「物価上昇は一時的」とのスタンスを維持している米連邦準備制度理事会(FRB)が、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利中央値を大幅に引き上げてきたことの背景には、想定以上の物価上昇がある。住宅価格の歴史的な高騰は7月以降のFOMCへの警戒感も高めかねない。

 そのほか、リッチモンド連銀のバーキン総裁は29日、米労働市場について、「雇用の面での道のりは長いとなお考えている」と発言。資産購入ペースを減速する前にさらなる雇用の伸びが必要との認識を示した。一方でインフレに関しては、「一段と顕著な進展を遂げたと、かなり説得力を持って論じることができる」と指摘。“物価”と“雇用”の双方を政策目標として掲げるFRBとしては、すでに“物価”面では目標を達成し、あとは“雇用”面での回復だけを待つだけと捉えているようにも窺える。

 そして、その“雇用”も、徐々にではあるがしっかりと回復してきていることは確かだ。パウエルFRB議長も、22日の連邦議会下院での議会証言の際には、「労働供給を圧迫する要因は今後数カ月で弱まるだろう」、「秋には力強い雇用創出がみられるだろう」と話している。

 こうなってくると、俄然、今週末の6月米雇用統計への注目度が高まってくる。筆者自身は今週末の米雇用統計自体は大きなイベントにはならないと見ていた(今でもその考え方が優勢だが・・・)。主な理由は、5月上旬に発表された4月米消費者物価指数が引き起こした“CPIショック”から、6月のFOMC、そして直後の連銀総裁の発言までの間にインフレや金利を巡っての思惑が大きく交錯し、株式市場は既にそれなりの調整を果たしてきている(日本だけの印象が強いが・・・)。

 今はこれらを織り込んでからの日が浅い分、並大抵のことではサプライズにはなりにくいと考えているからだ。また、労働市場の逼迫の原因となっている供給側の要因、主に失業保険の上乗せプログラムの打ち切りの効果が明確に表れてくるのは、次回の7月分の雇用統計だと考えており、今回の6月分が市場予想を大きく上回るようなことがあるとは想定しにくいというのも理由の一つ。

 ただし、上述したリッチモンド連銀総裁の発言を踏まえると、仮に今週末の6月雇用統計が市場予想を大幅に上回るような結果になると、金融緩和の早期縮小の更なる前倒し観測が台頭することも十分にあり得る。その場合には相場の一段の調整の可能性も否定できない。週末の雇用統計を前に様子見ムードは強まるばかりだ。なお、今晩にはADP全米雇用リポート、明日には米サプライマネジメント協会が発表するISM製造業景況指数も予定されている。これらの指標を前に今週の日経平均はもみ合いが続くだろう。

 こうした中、個人的にはマザーズに期待している。これまでの一連の波乱を消化した直後だけに、しばらくは米長期金利も米期待インフレ率も落ち着いた状況が続くと想定され、グロース株にとっては追い風の環境が続くだろう(むろん、週末の雇用統計には注意が必要だが)。また、マザーズ指数は5月17日に付けた安値以降は着実に下値を切り上げる展開が続いている。足元では、長期の200日移動平均線が上値抵抗線となっているが、ここを上抜けて支持線に変えることができれば、テクニカル的にも妙味が出てくると期待している。
《AK》

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