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新型コロナウイルスの抗体検査の現状


*08:53JST 新型コロナウイルスの抗体検査の現状
4月29日、参議院予算委員会にて安倍総理は、「現状でも(新型コロナウイルスの)感染者数の増加が続いており、5月6日に緊急事態が終わったと言えるかどうか依然厳しい状態である」(国会答弁)と述べた。また、日本医師会も「期待された成果が上っているとは言い難く、緊急事態宣言の継続が妥当」(記者会見4月28日)との提言を行っている。国内の感染者は増加率の低下が見られるものの、増加し続けている状態に変化がない。また、いまだに、医療機関や福祉施設におけるクラスターの発症も多数報告されている。さらに、欧米をはじめ世界の感染状況は4月29日現在、感染者数311万6,300人、死亡者数21万7,000人である。そのような状況下、感染の有無を調べる検査方法の一つとして「抗体検査」が注目されている。抗体検査は、50年以上前から医療現場で広く用いられている手法である。国内および欧米における抗体検査のとらえ方や実施状況を確認してみた。

抗体検査は、ウイルスや細菌などの異物が体内に入ってきた際に、異物に結合するたんぱく質(抗体)があるかどうかを調べるやり方で、微量の血液を採取し、15分程度で結果が判明する。非常に迅速、簡便かつ安価な検査方法である。日本医師会の横倉会長は、「抗体検査は、PCR検査に比べ医療従事者の感染リスクが大幅に軽減され、免疫獲得の確認や集団免疫の確認に適している」と速やかな抗体検査の普及に期待を寄せている。国内では、横浜市立大学をはじめとする大学や研究機関において、抗体検査の開発が進められている。加藤厚生労働大臣は「新型コロナウイルス感染の流行状況把握のため、抗体検査の実施に着手する」(記者会見4月17日)と述べている。また、全米で最も感染者が多いニューヨーク州では、外出制限の緩和や経済活動の再開に繋げようと積極的に検査を採用し、感染状況の実態把握に取り組んでいる。ほかにも、ドイツ、イタリア、イギリスなど複数の政府が抗体検査を開始し、抗体の存在や感染の有無の確認を行っている(BBC4月26日)。

しかしながら、新型コロナウイルスには、まだ不明な点が多々あり、抗体検査の普及にはいくつかの問題点も存在するようである。まず、初めに、『抗体を持っていれば本当に再度ウイルス感染しないのか』という問題である。WHO(世界保健機関)は「抗体を持っている人々が2次感染から保護されているという証拠は現在ない」(4月24日、科学ブリーフ)と断言している。2つ目は、『免疫の有効期間が不明である』という問題である。水ぼうそうやはしかは、感染後一生免疫がつくが、HIVウイルスは、通常感染しても免疫がつかないと言われている。新型コロナウイルスに感染し、いったん獲得された抗体は、いつまで有効なのか不明なのである(ブルームバーグ4月15日)。3つ目は、『抗体検査の信頼性・精度が確立されていない』という問題である。世界的製薬企業ロシュ・ホールディングのセベリン・シュバン最高経営責任者(CEO)は、「抗体検査薬は開発が容易な一方、正確性の確保は極めて難しい」(ブルームバーグ4月23日)と述べている。検査キットが容易に入手でき、検査も簡単に実施できるが、結果の信頼性や精度に問題が生じているのである。

抗体検査は、感染状況の把握や致死率の確認に用いられ、疫学研究や社会活動の実態把握に大いに活用されるであろうが、WHOのテドロス事務局長は、「抗体検査より、感染者の発見・治療を優先すべき」(会見4月20日)と慎重な姿勢である。しかし、この得体のしれないウイルスとの戦いを克服するには、人類が英知を結集し、いろいろな角度から様々な試みが必要であることは言うまでもない。
《SI》

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