July 7, 2020 / 5:17 AM / a month ago

香港国家安全法、NPCオブザーバーの見解「懸念すべき点が多数ある」


*14:11JST 香港国家安全法、NPCオブザーバーの見解「懸念すべき点が多数ある」
6月30日、全人代常務委員会において「香港特別行政区国家安全法」が全会一致で承認された。7月1日、恒例の返還記念民主化デモが行われ、施行後1日もたたないうちに、「香港独立」と書かれた旗を所持していたという理由で最初の逮捕者がでた。アメリカと香港の法律家チーム「NPCオブザーバー」の分析では、同法には懸念すべき点が多数あると指摘している。ここで、同チームによる「Legislation Summary: Hong Kong National Security Law(法律の概要:香港国家安全法)」の解釈および指摘を紹介する。

香港国家安全法は6月30日午後11時に香港で施行され、公開された。全人代常務委員会(NPCSC)は以前、同法の説明の抜粋を新華社経由で公開していた。ここでは、すでに公開された内容を一部省略し、これまで非公開であった同法の刑事規定の概要やそれらの問題点について指摘する。

「犯罪と罰則法」「国家分裂」、「国家政権転覆」、「テロ活動」、「外国勢力との共謀」の4つの罪と罰則が規定されている。「国家分裂」とは、「国家の分裂を犯し、または民族の統一を害する目的で、組織し、計画し、実行し、または参加する犯罪である」。「国家政権転覆」とは、「武力の威嚇その他不法な手段を用いて国家権力を転覆させる目的で、次のいずれかの行為を組織し、計画し、実行し、または参加する犯罪である」。「テロ活動」では、「テロ活動関与」、「テロ組織への関与」、「テロ支援」、「テロ擁護」の4つの罪を規定している。「外国勢力との共謀」では、外国 の事業体(国、組織、個人を問わず)と共謀したり、外国の事業体から支援を受けたりすることで行う、2つの別個の罪が規定されている。第一に「外国の事業体のために国家機密や国家安全保障に関する情報を盗み、スパイし、有償で入手し、または不法に提供することは犯罪である」。第二に「外国企業と共謀し以下の行為を行うことも犯罪である。すなわち、中国に対し戦争すること、中国の主権、統一、領土の完全性を著しく損なうために武力を使用したり、武器を使用すると脅したりすること。香港政府や中央政府による法律や政策の策定・実施に際し重大な混乱に陥れ、重大な結果をもたらす可能性があること。不法な手段で香港住民の間で中央政府や香港政府に対する憎悪を誘発し、重大な結果を引き起こす可能性がある」などが規定されている。さらに、「香港永住者以外の者が市外から香港に対して犯した所定の犯罪にも適用される」と規定されている。つまり、「中国共産党や香港政府の機嫌を損ねるような発言をしていたら、香港に近づくな」ということである。さらに、本法は、容疑者や被告人が国家の安全を脅かす行為を継続して行わないと信じる十分な理由がない限り保釈を拒否するよう指示している。

「捜査権限」本法では、警察の国家安全保障課が国家安全保障事件を捜査する際、現行法の下で警察が既に有している権限に加え、いくつかの追加措置を講じることができるようになった。例えば、令状なしに私有地や電子機器を捜査する、行政府長官の承認を得て、通信を傍受し、国家安全保障罪に関与していると疑われる人物を秘密裏に監視することなどが含まれる。現行の香港の法律では、捜査や秘密の監視には司法の承認が必要であるが、ごく一部の例外を除いては、一般的に司法の承認が必要ないとされている。盗聴、秘密監視何でもありということである。

「陪審員裁判」本法は、国家安全保障事件における陪審員裁判の権利を排除しているわけではないが、最高検事が「国外要因の関与、国家機密の保護、陪審員とその家族の安全の保護などかなり広範な理由で、特定の事件について、陪審員裁判を行わないことを決定することができる」と規定している。裁判は公にされず、秘密裁判となるのである。

「新中央政府機関」本法は、香港に新たな中央政府機関である「国家安全公署」を設置する。香港政府または国家安全公署自身が中央政府にそのような要請を行い、国家安全公署が承認した後、次のいずれかの場合、国家安全公署が国家安全保障事件を調査ができるとしている。「外国または、外部の勢力が関与しているため、事件が複雑であり、香港政府が管轄権を行使することが困難な場合、香港政府が本法を効果的に執行できない深刻な事態が発生した場合、国家安全保障に対する重大かつ差し迫った脅威が発生した場合」と規定されている。この規定には、「複雑」、「深刻」、「困難」、「重大」など様々な未定義の用語が含まれており、非常に主観的である。本法では、被告人は事実上、本土に送還されることになる。このような場合、司法の独立性の欠如、黙秘権の欠如、隔離拘束の可能性、弁護人の権利の大幅な制限とともに、本土の刑事訴訟法が適用されることになる。国家安全公署香港事務局の職員は、国内法と香港法の両方を遵守しなければならないが、公務を遂行する際には、香港政府の管轄権と権限から完全に免除されると規定している。あまりにも横暴で一方的だと指摘できる。

中国政府の言うように「この法律が香港の地位を高める」ようになるのか。中国に対する警戒感が広まり、「やはり中国は異質で、価値観が違う」と世界の国々が目覚め、距離を置くようになるのかに注目しておきたい。
《SI》

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