July 15, 2020 / 12:59 AM / a month ago

海外駐留米軍撤退のすすめ、ケイトー研究所ダグ・バンドウ上級研究員


*09:52JST 海外駐留米軍撤退のすすめ、ケイトー研究所ダグ・バンドウ上級研究員
7月8日、「The American Conservative」にレーガン政権で特別補佐官として外交アドバイザーを務めたケイトー研究所上席研究員のダグ・バンドウ氏が「Congress Plays Hardball to Keep American Troops Overseas(議会はなぜ米軍を海外に留めるために強硬な姿勢をとるのか)」というコメンタリーを発表した。バンドウ氏は、個人の自由を最大限に求め、政府の役割を小さくすることを主張する「リバタリアニズム」系の思想家であり、小さな政府、外国との同盟を減らす孤立主義的な思想の持ち主である。少数派であるが、米国内にこのような意見が存在することを紹介するため、ここでその主張の一部を記述する。

バンドウ氏の主張は、「米国は、自国の防衛に投資する気のないNATOの同盟国を支援すべきではない」である。その理由は、「欧州諸国のGDP合計はロシアの12倍であり、人口は3倍を抱えている。ドイツは世界第4位の経済大国で、単独でも、ロシアの2.5倍の経済規模を有する。しかし、バルト3国やポーランドでさえGDP2%の軍事費支出をしているのに、他のヨーロッパの国々は、復活したロシア軍の攻撃の的になっていると思っているにも拘らず無力で、ただ恐れをなしているだけである。ドイツはGDPのわずか1.38%しか軍事費を割いていない、イタリアやスペインは軍隊を維持するのがやっとの状況である。ヨーロッパには、フランスやイギリスの様に有能な軍隊を持っている国もある。なぜ、自衛能力があるのに、それに興味がない国を守るのがアメリカの責任なのだろうか。なぜ、アメリカの政策立案者たちは、ヨーロッパの人たちに、ワシントンは常にNATOを救う準備ができていると安心させようとするのだろうか。アメリカ国民の代表として選ばれた議員たちは自国のことを第一に考えるヨーロッパの役人とは対照的に、アメリカの納税者の窮状を無視している」と、トランプ大統領の「アメリカファースト」の考えに近い主張内容だ。

また、中央アジアや中東政策については、以下のように指摘している。「20年近く国家建設ミッションに従事してきたアフガニスタンからの更なる撤退を制限する法案を議会で可決したことで、アメリカ人は中央アジアで永遠に戦い続けることを決意した。議会は、アメリカの軍人や納税者よりもカブールの腐敗した無能な政権の方を気にしているようだ」と議会の決定を痛烈に批判している。さらに、「シリアでは、アメリカ人が違法に外国を占拠しており、現政権を追放し、ジハード戦士と戦い、アメリカが支援する反乱軍と戦うため、正当な政府によって招かれたイランとロシアの人員を強制的に排除し、民族闘争を支援してきた。国内的にも国際的にも違法な介入である」と、現地での様々な活動が法的根拠を欠いていると主張している。

さらに、バンドウ氏は在韓米軍について、「議会が大統領の韓国からの米軍撤退努力を阻害しようとしている」と不快感を表明している。

「韓国は北朝鮮の約53倍の経済力と2倍の人口を抱えている。ソウルが国防のために、もっと軍隊が必要ならば、なぜ、増やさないのだろうか。韓国がやるべきことをなぜアメリカ人が支払わなければならいのか」と疑問を呈している。バンドウ氏は外交雑誌『フォーリンポリシー紙』で「韓国との同盟を解消して、在韓米軍を撤退すべきだ。韓国には、時々北朝鮮との融和を求める政権が登場し、北朝鮮に援助を与える異常な出来事が起きる。援助を受けた北朝鮮は、その間に核兵器やミサイル開発に励んでいる。「米国の保護がある」という安心感からそのような行動をとるので、保護をやめたほうが良い」との厳しい主張を展開している。

今回のコメンタリーには我が国への言及がなかったが、在日米軍についても撤退論者である。2018年の来日の際には、在沖縄の海兵隊の撤退について、その背景や考え方について講演を行っている。バンドウ氏は、かつて「尖閣防衛は日本政府が決めること、アメリカはあくまでも支援の立場だ」と言っていた。バンドウ氏の主張は少数派ではあるが、「自分の国を自分で守ろうとしない国は助けない」というのも真理であろう。流動的な米政権の決定に頼り、米軍来援ありきではなく、日本がどのように侵略を防止し、対処していくのか、主体的に対応策をどう構築していくかを考えるのは、バンドウ氏の論を待たずとも、独立国家としてのあるべき姿であろう。
《SI》

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