*15:15JST 「代々木ゼミナール」、環境の変化で大胆なリストラクチャリング
大手大学受験予備校の「代々木ゼミナール」が来年春にも、全国に展開する27校舎のうち7割を超える20校舎を閉鎖し東京都渋谷区の本部校など7校舎に集約する方針であることが23日、分かった。来年度以降、生徒の募集を取りやめ閉鎖することが決まったのは仙台・横浜・京都・神戸などで、残すのは本部、札幌、新潟、名古屋、大阪南、福岡と、東京の美術系の造形学校。
同社は集約の理由を入試の多様化に対応するためと説明しており、今後は地域に根ざした小規模な教室を増やしていくとしている。
また、拠点の縮小に伴い、講師は契約を更新しない場合もあり、職員には優遇措置のある早期退職の募集を行う予定という。
9月以降、生徒や保護者に今後の対応について順次説明し、閉鎖される拠点に通っている生徒には、代ゼミと同じ系列の進学塾への転入などを提案していく。
また、4月以降は「センター試験プレテスト」や「国公立2次・私大全国総合模試」などの全国模試を廃止し、2013年度は全国で約42万人が参加した大学入試センター試験の自己採点結果を集計・分析し、志望大学の合格判定などを示す「センターリサーチ」も実施しないという。「東大入試プレ」など個別大学志願者向け模試は存続の方向で検討している。
高度経済成長期以降、大学進学率の上昇につれて大学受験予備校は急成長を果たした。そんな中、「代々木ゼミナール」は1957年に創立、「駿台予備学校」「河合塾」と並び「3大予備校」といわれた。2008年には本部がある東京・代々木に26階建ての「代ゼミタワー」を建設し、2009~2010年には中学受験などで実績のあるSAPIXの小学部と中学部をグループ化している。
しかし、昨今の少子化や現役志向の高まりによる浪人生の減少、「今でしょ」で有名になった講師陣の講義をネットで受講するスタイルの予備校や個別指導塾の人気化など、業界をめぐる環境の変化に対応しきれていなかったように思われる。
大規模集約で、激化する受験生の争奪戦に再度参戦し勝利を引き寄せることができるのか注目したい。
《YU》