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中国の米国債売り圧力の強まりは資金需要の逼迫と捉えられる可能性【世界の金融市場シナリオ分析、中国のヤバイ経済学編(6)】
2016年9月28日 / 06:56 / 1年前

中国の米国債売り圧力の強まりは資金需要の逼迫と捉えられる可能性【世界の金融市場シナリオ分析、中国のヤバイ経済学編(6)】


*15:52JST 中国の米国債売り圧力の強まりは資金需要の逼迫と捉えられる可能性【世界の金融市場シナリオ分析、中国のヤバイ経済学編(6)】

8月15日に米国財務省が発表したデータによると、6月末現在の中国の米国債保有残高は1兆2408億ドルとなった。6月中に32億ドルを売却したものの、引き続き世界一の米国債保有国となっている。ちなみに、同月に日本は145億ドルを購入、保有残高は1兆1477億ドルになっている。中国の米国債売りはたびたび話題になるが、2015年3月以降で見ると、月間の最大の売り越し額は184億ドルに過ぎず、最大買い越し額も141億ドルにとどまり、ほとんど大きな変動は見られていないことになる。

一方、2013年後半から翌年始めにかけて、ベルギーの米国債保有が話題となった。2013年9月末の保有残高1725億ドルから2014年3月末には3814億ドルまで増加、2014年はほぼ1年間、米国債保有残高の世界第3位の位置をキープしている。この背景としては、中国が第三国であるベルギーを経由して米国債保有高を膨らませたとの見方が有力であった。ベルギーには国際証券決済機関「ユーロクリア」があり、国名を知られないようにユーロクリアの口座を通じて米国債取引を行なったとみられている。2015年に入ってからベルギーは売却傾向を強め、現在は1563億ドルと、急拡大以前の水準となっている。つまり、2015年はベルギーを経由して、中国が米国債を大きく売り越したものと考えられる。

このように第三国を経由する背景として、米国の「国際非常時経済権限法」の存在が挙げられよう。これは、米国の安全保障や経済に重大な脅威が発生した場合、外国が保有する米国の資産については、その権利の破棄や無効化などができるという法律。非常時には中国が持つ米国債も凍結される可能性さえあり、例えば、中国が米国債の大量売却を試みれば発動される公算があるとの見方も。今後も中国が米国債保有を膨らます場合はこうした第三国を経由する動きが想定されるほか、徐々に現在保有している米国債を緩やかに売却して、第三国経由に移管していく可能性もあろう。

ベルギーの米国債保有残高は、すでに大幅増加前の水準まで減少している。中国の国債保有残高は徐々に減少傾向であるものの、上述の要因から今後さらに大きく売り越す状況は想定しにくい。米国債が売却しにくくなった一方で、中国は足元で米国株の保有を減少させている。2015年7月末から2016年3月末までに、保有する米国株を38%、金額ベースで約1260億ドル相当削減している。もともと中国人民銀行の資産の大半は外貨準備で賄われており、つまり、外貨資産を対価に中国国内で信用創造を行っているため、外貨の減価は担保価値の下落につながることになる。こうした状況のなか、今後どこかの段階で、米国債の売却ペースを早めるようなことになれば、資金の逼迫感が相当強まっているとの解釈がなされることになろう。

執筆
フィスコ取締役 中村孝也
フィスコチーフアナリスト 佐藤勝己

【世界の金融市場シナリオ分析】は、フィスコアナリストが世界金融市場の今後を独自の視点から分析、予見する不定期レポートです。今回の中国経済についてのレポートは、フィスコ監修・実業之日本社刊の雑誌「Jマネー FISCO 株・企業報」の次回号(2017年1月刊行予定)の大特集「中国経済と日本市場(仮題)」に掲載予定です。



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