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孤児ファイトクラブの「救助」は正しかったのか 露呈する中国の貧困問題
2017年8月22日 / 08:36 / 1ヶ月前

孤児ファイトクラブの「救助」は正しかったのか 露呈する中国の貧困問題


*17:31JST 孤児ファイトクラブの「救助」は正しかったのか 露呈する中国の貧困問題
「帰りたくない」。こう叫びながらも、無理やりバスに乗せられた少年たち。7月、中国最貧困地域の一つと数えられる四川省涼山州出身の孤児をボクサーとして育てる「恩波クラブ」は議論の的となった。クラブを取材した動画は多数のメディアに取り上げられ、賛否両論を呼び、少年たちの運命にも分かれ道が訪れた。一部の批判を受け、クラブは涼山出身の子ども11人を全員地元に帰すことにし、「今後も同地区の子どもを受け入れない」とした。

話題となった動画で、「リングとなる鉄籠を見るだけで、怖くてたまらない」と少年の一人・龍くんが言う。それでも、大涼山に戻りたくない。「家には芋しかないから。ここに牛肉も卵もある。牛乳だって飲める」。四川省成都市にある「恩波クラブ」のメンバー全員は留守児童、または孤児だ。

2年前、龍くんはクラブにやってきた。5歳のとき、農民工の父が出稼ぎ先で死亡した。母はほどなくして再婚し、3人の子どもを連れて行かなかった。上に姉がいて、妹は生まれたばかり。10歳未満の3人の子どもを待っているのは過酷な生活だった。畑仕事はもちろん、食事も自分たちで作らないといけない。食事といっても、ほとんど芋を煮たようなものだった。

14歳の吾くんは3年前に恩波クラブに加わった。小さい時に両親は離婚。学費を払えないため、学校で勉強したのはたったの一週間。10歳の時、麻薬中毒の母が亡くなる前に残した言葉は「ママの二の舞にならないで」。涼山に戻ったら、周りの人と同じように麻薬に手を染めたり、窃盗などの非行に走りかねない。吾くんは帰郷を拒む。


 クラブに入りたての当初、ほとんど栄養失調の状態だった。肉も卵も牛乳もある生活は彼らにとって天国のようだ。

8月16日、帰郷の日がやってきた。少年たちも、恩波も、立ち会ったすべての人はみんな涙を流した。この「救助」は果たして正しかったのか、誰も分からない。ただ、この日を境に、少年たちは再びあの極貧生活に投げ込まれるのだ。

■慈善事業か未成年詐取か

クラブの創設者・恩波氏も、極貧生活を経験した。8歳の時に父が死亡し、18歳のときに格闘技の訓練を受け、武装警官になった。かつて涼山の部隊に配属され、「あまりの貧しさに目の当たりにした」という。恩波氏は軍隊を辞めたあと、総合格闘クラブを立ち上げた。その目的について「貧しくて身寄りのない子どもが道を踏み外れないようにするためだ」と話した。

すでに16年運営されているエンボーはこれまで400人の孤児を育ててきた。恩波氏は孤児たちに比較的良い生活条件を提供でき、将来は格闘技家のみならず、ボディガードにもなれると、少年たちの養成に自信を示した。

ただ、子どもたちは商業目的のパフォーマンスにも出場している。顔に幼さが残る少年たちが、パンチグローブをはめ、網に囲まれたリング上で激しく殴り合う。血だらけになるのもよくあることだ。

司会者は「この子たちは普通の子と比べて、ずっと苦労している。彼らは自分の運命のために戦っている」と観客の感情を煽るようなセリフを連発させ、観客はそれを携帯で撮影している。

話題となった動画で「子どもたちに出場費を払っているか」という質問に対して、「払っているが金額は言えない」「必要な時だけ支給している」と恩波は歯切れが悪かった。


 クラブでの生活は「寝ている以外、ずっと訓練している」という。トレーニングを受けても、身体条件が基準に達していなければ、淘汰される。


 孤児支援と謳う恩波に対して、批判の声は直ちに上がった。ネットでは、子供たちを戦わせることで利益を得ており、不徳なビジネスだと指摘されている。「子供たちが行くべきは学校。ショービジネスの世界で生存競争しているなんて、嘆かわしいことだ。この問題の責任は誰にあるのか」


 現地の涼山当局の教育関係者はメディアの取材に対して、「子供たちを地元に戻って学校に行くよう手配している」と述べた。


 批判を受け、恩波は孤児の受け入れを停止すると発表し、孤児をクラブに紹介した涼山当局の責任者は辞任に追い込まれた。

■中国の最貧困地区で生活する子どもたち




 涼山地区は中国の少数民族の一つ・イ族の最大の居住地であり、中国の最も貧困な地域でもある。


 自然環境に恵まれず、外に通ずる道路が整備されていないため、発展が遅れている。現在、四分の一の人口は貧困状態に置かれている。


 中国メディアが取材したある村では、学校はあるものの、電気がなく、生徒は教室で天井から漏れた日光を頼りにして勉強している。生徒は薪を持って登校している。給食を作る時に使うという。唯一の運動器具は一本の棒に鉄の金で作った輪っかを付けたバスケットボールのゴールだ。


 村に16歳以下の子どもが148人で、学校を通っているのは68人。残りの80人は牛飼い、羊飼いの手伝いをしながら過ごしている。


 住民らの収入は1万元ー2万元(約13万円ー26万円)。収入源は牛や羊の販売、と漢方薬の原材料となる野草の販売だ。

■貧困救済費は腐敗の温床


 中国政府は貧困撲滅のため、貧困救済目的財政支出(中央・地方合計)は、2001年の127.5億元から2010年349.3億元に増加、うち7割程度は、指定貧困救済重点地域に投入された。


 しかし、貧困救済費は腐敗の温床となった。中国メディア・法治週末7月27日の報道によると、貧困県の湖南省花垣県は水土流失を改善するために1000万元の予算を割り当てられた。プロジェクトの入札から完工まで、6人の幹部が資金を横領し、最終的に使用可能な資金は300万元しか残っていない。303ヘクタールの土地の水土流失問題を改善する予定だが、その23%が完成した時点で資金が底をついた。


 低所得者に直接支給される生活保護も幹部に横取りされている。2016年8月26日、甘粛省康楽県景古鎮から離れた村で一家六人無理心中事件があった。28歳の母親、楊改蘭が、8歳の長女、5歳の双子の姉弟、3歳の三女など4人を斧で殺害したのち、自殺した。夫は妻と子どもの葬式を済ました翌日に除草剤を飲んで死亡した。


 楊改蘭一家は極貧で、ここ2年間、最低生活保障金がカットされていた。保証金は村幹部の実兄に当てられた。


 今年6月まで、広東省、山西省、寧夏、甘粛など4省で2000人超の幹部は貧困救済費の横領で処分された。

(翻訳編集・李沐恩)

【ニュース提供・大紀元】



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