May 13, 2020 / 12:19 AM / 3 months ago

コラム【アナリスト夜話】正常化に向かう生活。止まらない財政悪化(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)


*09:14JST コラム【アナリスト夜話】正常化に向かう生活。止まらない財政悪化(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)
ゴールデンウイークが終わり、生活は正常化に向かっています。中小企業や個人への給付金もようやく先週始まりました。

ところで、連休前の4月23日、日本が初めて国債を発行してからちょうど150年が経ちました。新型コロナのニュースに隠れて、報道は1件もありませんでしたが、日本の債券市場の記念日です。1870年(明治3年)に、新橋‐横浜間の鉄道建設のため、ロンドンで発行されたもので、発行額は100万ポンド(=488万円)で、今の価値にして100億円程度です。

それから国債残高は増加の一途を辿り、2019年度末では928兆円に上ります。このところ歳出削減が奏功してきましたが、新型コロナ対策で支出は再び大幅に増加しそうです。
もちろん、こういう時こそ政府の出番ですから、支援は早く進めていただきたいものです。ただ一方で、政府債務は、既にGDPに対し約238%と世界最高で、今回の支援で更に250%程度まで上昇する可能性もあります。社会は正常化しつつあっても、生活への影響は続き、財政支出拡大にはまだ収束点が見えない気がします。

日本は貯蓄が余っていることや、(最近はそうでもなくなってきましたが)国内投資家が日本の公債のほとんどを購入していることから、「今は」全く心配はないというのも事実です。しかし、今回の危機で法人も個人も、貯蓄の取り崩しが起こりそうですし、長期的には更に見通しにくい状況です。どこまでの債務なら本当に問題ないのかを先々まで見通せる人はいないでしょう。

150年前の日本の初国債の金利は9%と、トルコやアルゼンチンの6%よりはるかに高い水準でした。担保として、日本の全関税収入とこの資金で建設予定の鉄道の利益を担保に差し入れたのに、信頼の低さは補えませんでした(富田俊基「国債の歴史: 金利に凝縮された過去と未来」より)。150年も前のことではありますが、財政関連の数字だけをみると、現在の方が厳しいくらいです。

混乱期の今はまだその時期ではないかもしれませんが、時期をみて、政府の役割や返済能力の問題をもっと正面から議論すべきではと思います。

マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那
(出所:5/11配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)



《HH》

当コンテンツはFISCOから情報の提供を受けています。掲載情報の著作権は情報提供元に帰属します。記事の無断転載を禁じます。当コンテンツにおけるニュース、取引価格、データなどの情報はあくまでも利用者の個人使用のために提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。当コンテンツの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。提供されたいかなる見解又は意見はFISCOの見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。情報内容には万全を期しておりますが、保証されるものではありませんので、万一この情報に基づいて被ったいかなる損害についても、弊社および情報提供元は一切の責任を負いません。

【FISCO】

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below