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気候変動リスクによる金融システムへの影響と国際動向【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】


*17:46JST 気候変動リスクによる金融システムへの影響と国際動向【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】
2020年12月24日公表の日銀レビュー「気候関連金融リスクに関する国際的な動向—金融システム面での新たな議論—」では、気候関連金融リスクの特徴とその把握等に向けた取組みについて、国際的な動向が紹介されている。

「気候関連金融リスク」とは、気候変動が社会・経済に広範な影響を及ぼし得るとの認識が高まるなか、とりわけ金融システムの安定性を脅かすリスクに焦点を当てたものである。これには、大別すると「物理的リスク」と「移行リスク」の2類型があるとされている。「物理的リスク」は、気候変動による物理的な変化が、企業や家計に経済的損失をもたらすリスクを指す。一方、「移行リスク」は、気候変動問題に対応する政策・技術・消費者の嗜好の変化等が企業や家計に経済的損失をもたらすリスクを指す。
気候関連金融リスクについては、温室効果ガスの排出量と気象災害の規模・頻度の関係が非線形であることや、政策・技術革新の影響が推し量りにくいことなど、シナリオを設定するうえで不確実な要素が多い。さらに、時間軸が長い、利用可能なデータが特に不足している、地域や産業ごとの影響も大きく異なる、といったリスク計測の難しさから、気候関連金融リスクの影響度合いについては、まだ共通認識は形成されていない。
そのような環境下、2020年6月、「気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS、Network for Greening the Financial System)」は、気候変動のシナリオやストレステスト実施の手引書を公表し、主に金融当局者がストレステストを試行することを推奨した。シナリオは、(1)直ちに政策対応を講じる「秩序ある移行」、(2)政策対応が遅れるうえ、突然強力な対応がとられる「無秩序な移行」、(3)何ら政策対応を講じない「Hot house world」といった3つの異なる前提に基づいて作られ、それぞれのケースにおいて、温室効果ガスの排出量やエネルギー投資額、世界GDPへの下押し影響等が示された。今世紀末までの世界GDPへの累積下押し影響は、移行リスクにおいて、(1)秩序ある移行シナリオで▲4%、(2)無秩序な移行シナリオで▲10%弱、物理的リスクにおいて、(3)Hot house worldシナリオで最大▲25%、と示されている。

こうしたもとで、個別の金融当局においてストレステストを実施する動きも広がりつつある。オランダ中銀、BOE、フランス中央銀行が今後、ストレステストやそれに類する試みを実施する予定で、その詳細を公表している。シンガポール通貨庁、香港金融管理局、豪健全性規制庁等でもストレステストの実施が予定されている。日本では当局主導のストレステストは実施されていないが、3メガバンクが、電力や石油・ガス等の産業を対象とした移行リスクの計測や水害等を対象とした物理的リスクの計測を行い、2050年までの与信関係費用の増加額を公表している。

(株式会社フィスコ 中村孝也)


《RS》

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