for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

ドル流出国日本【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】


*13:46JST ドル流出国日本【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】
「「投資立国日本」の中身」(※1)では、日本企業が稼げなくなっていくのであれば、直接投資収益にも影響が及び、それは「投資立国」という姿にも影響を与えてしまうという可能性に触れた。ただ、日本の稼ぎ、収支に潜むリスクはそれにとどまるものではない。2020年の日本の貿易収支は黒字であったが、ドルが継続的に流出している点が気にかかる。

2018年6月の財務省ファイナンス「我が国の経常収支の構造変化:「貿易立国」から「投資立国」へ」では、「貿易決済に使われる通貨は、ドルと円が大部分を占め、ドルは輸入におけるシェアが輸出よりも高い一方、円決済は輸出におけるシェアが輸入よりも高い。このため、通貨別の収支を見るとドルの赤字と円の黒字が圧倒的に大きい。これは、貿易取引に起因する実際の為替取引はネットでドル買い・円売りであることを示唆する」と指摘された。

その後を見ても、状況に変わりはないようだ。関税局の「貿易取引通貨別比率」によると、2020年下期は日本からの輸出のうち米ドルの構成比は48.5%である一方、日本からの輸入のうち米ドルの構成比は64.8%であった。2020年の日本の輸出入に貿易取引通貨別比率を掛け合わせると、ドルの収入は33.2兆円、支払は43.9兆円と試算される。貿易収支は若干の黒字(6,700億円)であったにもかかわらず、ドルは10.7兆円の支払超であった計算となる。

世界的な金融環境は、強力な金融緩和によって安定しており、脆弱な新興国にも資金流入の動きが続いている。IIF(国際金融協会)によると、1月の新興国ポートフォリオ投資は535億ドルの資金流入と、前月から増加し、これで10ヵ月連続での資金流入となった。FRB(米連邦準備理事会)、欧州中央銀行、日銀を含む6中銀の通貨スワップ協定の存在によって、日本はFRBから無制限でドル供給を受けられるという立場にある。当面はドル不足というリスクは顕在化しなさそうであるが、コロナショックの際には日本もドル不足懸念に見舞われた。日本からドルが継続的に流出しているという構造は、頭のどこかで意識しておく必要があろう。

(株式会社フィスコ 中村孝也)

※1:here


《RS》

当コンテンツはFISCOから情報の提供を受けています。掲載情報の著作権は情報提供元に帰属します。記事の無断転載を禁じます。当コンテンツにおけるニュース、取引価格、データなどの情報はあくまでも利用者の個人使用のために提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。当コンテンツの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。提供されたいかなる見解又は意見はFISCOの見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。情報内容には万全を期しておりますが、保証されるものではありませんので、万一この情報に基づいて被ったいかなる損害についても、弊社および情報提供元は一切の責任を負いません。 【FISCO】
for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up