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国内株式市場見通し:米経済データやECB定例理事会に注目


*14:37JST 国内株式市場見通し:米経済データやECB定例理事会に注目
 

■米金融不安で週末にムード一変

今週の日経平均は週間で216.5円高(+0.77%)と続伸。一方、週足のローソク足は長い上ヒゲを伴った陰線を形成し、上昇一服感を示唆した。

今週の日経平均は週後半まで強い流れが続いたが、週末は一転して大幅に反落。週初は米長期金利の低下を好感した前週の米ハイテク株高の流れを引き継いで大幅続伸で始まった。5日に開幕した中国の全国人民代表大会を手掛かりに中国景気の回復期待も買い戻しを誘発した。その後、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言でのタカ派発言など悪材料もあったが、為替の円安進行や週末の3月限の株価指数先物・オプション取引の特別清算指数算出(メジャーSQ)に向けた買い戻しなどを背景に強含みが続いた。

しかし、週末は大幅反落。前日の米国市場で新興企業を中心に商業銀行サービスを展開するSVBファイナンシャル・グループの株価が60.4%安と上場来最大の急落を演じた。証券ポートフォリオの損失などを受けて資本増強のための措置を講じたことが契機となったようで、信用不安がにわかに台頭した。メジャーSQで需給転換も意識される中、東京市場でもリスク回避の売りが膨らみ、株価は大きく下落した。

■米CPI、米小売売上高、米フェデックス決算などに注目

来週の東京株式市場は弱含みか。日経平均が急伸した3日から東京市場の想定以上の強さが続いていたが、週末の3月限の株価指数先物・オプション取引の特別清算指数算出(メジャーSQ)を境に潮目が変化してきた。一般的にメジャーSQを境に需給が転換することが多いが、奇しくも、このメジャーSQ前日に、米国市場では銀行の信用不安という新たなリスクが台頭し、米国株は大幅に下落。この先の基調の転換には注意したい。

その後、米SVBは資金調達に失敗し、10日に経営破綻した。米連邦準備制度理事会(FRB)が昨年から急速に金融引き締めを進める中、いずれは企業のデフォルト(債務不履行)が増加してくるだろうとは想定されていたが、今回それが表面化した。システミックリスクには至らないとの見方が今のところは優勢だが、投資家は次のSVB探しに走っている。実際、顧客属性が似たようなところで同様の事象が出てくる可能性はあろう。また、米連邦預金保険公社(FDIC)が破綻管財人となって預金保護をするが、保護される預金額上限は1口座あたり25万ドルで、「保険限度額を超える預金額は未確定」とされている。これらがどう影響してくるかは注意深く見守る必要があろう。

米株式市場では9日、S&P500種株価指数をはじめとした主要株価3指数が揃って200日移動平均線を終値で割り込んで、10日も大幅に続落した。今後は商品投資顧問(CTA)などトレンドフォロー型ファンドの売りが加速する可能性が高そうで注意を要する。

一方、こうした警戒感が強まる中でも、今週の議会証言でパウエルFRB議長は今後の経済データ次第では利上げ幅の再拡大もあり得ることに言及した。米SVBの一件により、利上げ幅の拡大やターミナルレート(政策金利の最終到達点)の織り込みは一旦大きく後退したが、来週の米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高の2月データが1月に続き強いものとなれば、利上げ幅の拡大の織り込みが改めて進む可能性はあろう。週末に発表された米雇用統計も平均時給の伸びは予想を下回ったとはいえ、前年比の伸びは前月から加速し、前月比ではプラスとなっている。仮にCPI などが弱い結果となっても、米SVBの一件で市場の目線は実体経済に移ってきているため、相場の力強さは戻りにくいだろう。

米国では16日に予定されている物流大手フェデックスの決算にも注目したい。物流は経済活動の血流としての役割を担っており、実体経済の落ち込み具合を計るうえで注目に値する。

ほか、16日に開催される欧州中央銀行(ECB)定例理事会にも注目だ。欧州でも物価指標の鈍化が一服し、ECBのターミナルレート引き上げの織り込みが進んだが、今週は、ECB政策委員会メンバーのホルツマン・オーストリア中央銀行総裁が3、5、6、7月の4会合連続の0.5ポイント利上げを支持すると言明した。ECBがタカ派スタンスを再表明した場合には、弱気に傾きつつある株式市場の重しとなりかねず、注意が必要だ。

個別では、外部環境の不透明感が強まる中、国内経済活動の正常化など内需主導による恩恵が期待され、中国人観光客の回復という最大のカタリスト(株価変動を誘発する材料)もまだ温存されているリオープン・インバウンド関連などが相対的な安心感から買われやすいと予想する。15日に発表される2月訪日外客数も材料となる。また、中国で2月鉱工業生産や小売売上高などが発表されるため、中国関連株などが改めて注目される可能性もあろう。

■法人企業景気予測調査、米中小売売上高、など

来週は13日に1-3月期法人企業景気予測調査、14日に米2月CPI、15日に日銀金融政策決定会合議事要旨(1/17-18日開催分)、2月訪日外客数、中国2月鉱工業生産、中国2月小売売上高、米2月小売売上高、米2月卸売物価指数(PPI)、米3月NY連銀景気指数、16日に2月貿易収支、1月機械受注、ECB定例理事会、米2月住宅着工件数、米3月フィラデルフィア連銀製造業景況指数、17日に米2月鉱工業生産、米3月ミシガン大学消費者信頼感指数、などが予定されている。



《FA》

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