July 11, 2014 / 3:17 AM / 5 years ago

アデランス Research Memo(7):対象年齢人口の増加により国内女性かつら市場は緩やかに成長か


*20:22JST アデランス Research Memo(7):対象年齢人口の増加により国内女性かつら市場は緩やかに成長か

■ヘアケア市場の分析

(2)かつら(ウィッグ)市場の分析

(c)女性用かつら市場
○国内女性向け市場の成長余地は大きい
男性用とは対照的に、国内女性用かつら市場は、今後も成長の余地が大きいと考えられる。男性同様に、人口分布が変化するマイナス面での影響を避けることはできないが、かつらの使用開始年齢の違いや、増毛に対するニーズの強さが男性とは根本的に異なるため、今後10年~20年は緩やかな成長が持続する可能性があると考えられる。

○女性の髪へのニーズは永遠。高齢化が市場拡大につながる
女性のかつら使用開始年齢のピークは60歳台である。女性がかつらを使用開始するきっかけは、男性の場合とは違って、高齢化に伴う薄毛が中心となっているからである。髪の毛に対する女性の意識は、男性とは全く異なり、生涯を通じて豊かな髪を欲する意識が持続すると考えられる。そのため、男性用かつら市場のように、薄毛に対する意識の変化で市場が縮小するリスクは小さいといえる。つまり、女性用かつら市場については、人口分布の推移と価格に代表される経済性を主として考えていけば良いと考えられよう。

○国内女性人口の大幅減少までにはまだ30-40年の時間的余裕がある
2013年10月現在の女性の人口は60代が949万人、70代が747万人、80代が468万人となっている。10年後・20年後の潜在的新規顧客層となる50代・40代の人口は、それぞれ784万人・876万人である。女性の人口が大きく減少するのは20代人口の651万人であるが、現在20代の女性がかつらの主力ユーザーとなるまでにはあと30年~40年かかるということになる。

また、下記の「10歳階級人口分布移動表」に掲げたように、10歳から89歳までの女性の総人口は、2013年から2023年までの10年間で4.3%減少すると予想されている。しかし、女性用かつら市場の対象年齢を40歳から89歳までと考えてその年齢層に絞ると、同期間に人口は2.5%増加すると予想されている。

○女性の人口増は、男性の人口減を補うには足りない
このように、女性の場合は、年齢別人口分布の変化による市場規模の急激な縮小は起こりにくいと考えて良かろう。しかし、女性の対象人口が増加すると言っても、男性の対象人口のマイナス分を埋め合わせるには足りていないという点には注意が必要だ。また、女性用市場も、いずれは人口減少の影響を受けることは避けられない。

○女性用市場には開拓の余地が大きい
女性用かつらの市場には、価格訴求力の高い製品の投入や、かつらを利用したファッションの提案などを通じて、まだまだ開拓の余地が大きいと思われる。髪の毛は女性のファッションの重要な要素であるため、かつらを使用することへの心理的な抵抗は男性に比べて低いとみられるが、現段階では、帽子やサンバイザーをかぶるのと同程度まで心理的抵抗が低いとは言えないと思われる。そこには、かつらを使用する手間やコスト、自毛へのこだわりなど、様々な要因が絡むと推測されるが、そうした心理的抵抗を最大限まで低めることができて、かつらの使用が帽子やサンバイザーのそれと同程度まで一般化する状況になれば、女性用かつら市場は今とは大きく様変わりしている可能性がある。女性用かつらのパイオニアであり最大手企業としてのアデランス8170に期待されることは、まさにこうした自ら市場を創出する努力であろう。

○かつらが「ファッション」としてブームになった実績も
過去に興味深い事例がある。女性がかつらを使い始める年齢の中心層は60歳代である。これは髪の悩みが増加あるいは深刻化するのがその年代だからであり、かつら利用開始のきっかけが単なるファッションよりも「悩み」であることが多いことを示している。しかし、下記のグラフにあるように、1990年は「49歳以下」が新規顧客の43%を占めたことがあった。この理由は、1970年頃の洋かつら(輸入かつら)ブームに遡る。この時のかつらブームは、20代女性の間でのファッションとしてのものであった。同社は、1980年代後半から女性用かつらのテレビコマーシャルを開始したり、1990年には女性用サロンの展開をスタートしたりといった販促策を行っていたが、そこに、かつてのかつらブームをけん引した女性たちが再度かつら市場に戻ってきた結果が前述した事象の背景である。

○若い世代をかつらに「慣らす」ことが重要
この事例からのインプリケーション(示唆)はいくつか考えられる。まずは、若い世代にかつら利用に慣れさせておくことで、「悩み」としてのかつら利用への心理的抵抗感を下げておくという中長期的な戦略が考えられる。また、帽子感覚、サングラス感覚でかつらを利用するというマーケティング戦略も可能であろう。いずれにしても、これらの諸施策は価格とのバランスがポイントになると思われるが、海外に自社工場を有する同社は、これらの諸施策を遂行するうえで最も有利なポジションにあると考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)


《FA》

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