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TKP Research Memo(8):既存事業の拡大に加えて、ホテル事業やイベントプロデュース事業などにも注力
November 16, 2017 / 6:23 AM / in a month

TKP Research Memo(8):既存事業の拡大に加えて、ホテル事業やイベントプロデュース事業などにも注力


*15:18JST TKP Research Memo(8):既存事業の拡大に加えて、ホテル事業やイベントプロデュース事業などにも注力
■成長戦略

1. 中期経営計画
ティーケーピー3479は、2020年2月期を最終年度とする中期経営計画を推進している。基本方針として、「持たざる経営」、「積極的な出店の継続」、「宿泊を含めた周辺事業の取り込み・内製化」、「M&Aを含む新規事業分野の開発」、「既存スペースのさらなる有効活用」、「高付加価値化と効率化」の6つに取り組む。特に注力する分野は、ホテル事業であり、宿泊研修市場を確立することによって成長を加速する戦略である。2020年2月期の目標として、売上高38,543百万円(3年間の平均成長率20.6%)、営業利益5,813百万円(利益率15.1%)を掲げている。2020年2月期のホテル・宿泊部門については、現在開発中(予定を含む)の6ホテルによる業績寄与を織り込み、売上高7,056百万円(売上構成比18.3%)、営業利益1,846百万円(利益率26.2%)を見込んでいる。もっとも、これまでの既存事業の伸びやホテル事業等による上乗せ期待から判断して、業績全体の伸び率にやや加速感が足りないのは、既に手元にある案件のみを積み上げた計画となっていることが理由であり、保守的な前提と言える。また、メジャース子会社化により、本格参入したイベントプロデュース事業についても計画の中には入っていない。したがって、立ち上がりの状況等を見定めた上で、新たな中期経営計画が策定される可能性が高いものとみている。

2. 成長戦略の方向性
同社の成長戦略の柱は、(1)既存事業の拡大に加えて、(2)宿泊研修市場の確立、(3)イベントプロデュース事業の展開、(4)コワーキングスペースとの融合の4つと捉えることができる。これにより、高付加価値化と事業展開の加速化を狙うものである。特に、既存事業については、すべての起点(顧客基盤やハード面)になるものであり、 積極的な出店やCRMの強化、稼働率及び顧客単価向上を図り、さらなる成長を目指す方針である。

(1) 既存事業の拡大
a) 積極的な出店方針
好調な外部環境のもと、積極的な出店を継続する方針である。出店には仕入れが欠かせないが、国内の不動産市況を見ると、都心地区では築20年以上のオフィスビルの割合が61%と高く、老朽化によるオフィスの移転により、同社の仕入れ対象が今後も増加する可能性が高い。新築オフィスビルの着工も堅調であるが、オフィス移転による坪単価の上昇のため、企業は経費を削減する手段として会議室を減らす企業が増加する見込みであり、同社事業にとっては追い風となる。企業向け研修サービス市場規模は、2016年に5,080億円とも言われ、同社事業の拡大余地はまだ大きい。

また、「リアル」と「バーチャル」を交えた効率的な出店戦略も進める。すなわち、収益性の高い高付加価値グレードについては出店拡大を継続する一方、それ以外はボリューム確保と効率重視で取り組むとともに、新たに開始した「クラウドスペース」の活用により、さらなる効率性の追求と裾野の拡大を目指す方針である。すなわち、後述する「顧客クラスに応じたアプローチ」との連動により、目的に応じたメリハリの効いた出店戦略と言える。

b) CRMの強化
具体的には、「顧客クラスに応じたアプローチ」を推進する。同社は、売上高上位500社をヘビーユーザー顧客とし、VIP営業担当者が積極的な提案・細やかな対応をし、501社~ 2,500社についてはヘビーユーザーになり得る顧客と位置付け、顧客ごとの営業担当者による顧客ニーズの掘り起こしにより、単価の上昇・信頼関係構築・リピート化につなげるとしている。特に、この層については、顧客のためにイベント等で発生する会場・設備の手配や運営のサポートを行うスペシャリストであるイベントコンシェルジュを新たに創設し、単価の高い用途への誘導を行う方針だ。これまで、同社は上位500社のみ営業担当者を付けていたが積極的な需要の掘り起こしまでには至らなかった。今後は上位500社への積極的な営業及び2,500社までの顧客企業に新たに営業担当者を付けることで、売上高拡大を目指す。

一方、2,501社以降の単発利用の顧客及びライトユーザーについては、営業担当者は付けずに、コールセンターやクラウドスペースを活用した効率的なオペレーションを行うとしている。新たに開始したクラウドスペースはアプリを使った同社のマッチングサイトで、ビジネスセンター及びスター貸会議室の利用者及びスペース提供者を対象とし、オンライン上で会議室の予約等が完結する仕組み。クラウドスペースの導入によって、低収益顧客層への効率的なアプローチとケアが可能となるほか、新規ユーザー獲得のための集客インフラとしても活用できること、空きスペースマッチングサービス事業者への牽制、不動産オーナーとの接点拡大と潜在仕入れ先の開拓も目論んでいる。

c) 稼働率及び顧客単価の向上
現状の法人貸会議室の稼働率の全体的な傾向としては、新卒研修などで需要がピークとなる4月は100%に近い状況だが、5~6月は80%と比較的高稼働が続くものの、閑散期である7月から3月までの稼働率は20~40%と低くなっている。見方を変えれば、閑散期の存在は競合他社にとって参入障壁となる一方、閑散期を穴埋めするノウハウを蓄積してきた同社にとっては、稼働率の改善余地(アップサイド)が大きいと言うことができる。同社は、前述のとおり、イベントコンシェルジュの創設に加え、顧客データベースの強化及び活用によって、稼働率の向上及び単価のアップを目指す方針である。

(2) 宿泊研修市場の確立
同社は、これまでも新たな市場を創出しながら成長を実現してきたが、注力分野であるホテル事業についても、いかに宿泊研修市場を確立するかが成功のカギを握っている。米国などではリゾート施設などで行う「オフサイト・ミーティング」が定着しているが、日本でも生産性の向上や連帯感の醸成、創造性の発揮などを目的として、拡大の余地があるとみられている。同社においても、会議室利用の法人からの要望に対応する形で、既に郊外型宿泊研修施設(石のや・レクトーレ)を展開しており、研修による法人利用が増加する傾向にある。同社の場合、年間利用企業22,500社(うち、上場企業2,000社)がターゲットになるとともに、年間延べ利用企業数は94,900社に及ぶため、10回に1回の泊り込み研修でも展開余地は大きい。また、宿泊研修の1名当たりの売上単価は平均15,000円以上となっており、会議室のみでの利用に比べ、1名当たりの売上単価を大幅にアップすることが可能となる。稼働率についても、平日の法人利用と土日の個人利用の組み合わせにより高い水準を確保する戦略であり、平日の稼働率向上が課題となっているホテル業界においては、顧客基盤を有する同社にしかできない事業モデルと言える。また、足元では旺盛なインバウンド需要に対応する形でホテル建設が進んでいるが、仮に東京オリンピック・パラリンピック開催後にその反動で供給過剰の状況に陥ったとしても、インバウンド需要に依存していない同社にとっては、市場に不稼働資産が増えることでさらなる事業拡大のチャンスとなる可能性も高いと目論んでいる。

(3) イベントプロデュース事業の展開
イベント企画運営に関する市場規模は8,375億円(2016年)※とみられているが、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて拡大傾向にある。同社は、これまで蓄積してきた顧客基盤やハード面の強みに、子会社となったメジャースの持つソフト面の強みを融合することで市場の伸びを同社成長に取り込む戦略である。具体的に言えば、顧客のイベント案件に対するサービス提供領域が、これまでのハード面中心(会場、機材、料飲)から、ソフト面(企画、集客、運営、効果測定、データベース運用)へと拡充したことにより、売上高を約3.5倍に拡大(アップセル)することが可能となる。また、同社の顧客基盤に対して、ハード面とソフト面を融合した付加価値の高い提案ができることは大きなアドバンテージになるものと考えられる。同社は、現在の中期経営計画に入っていないものの、2020年2月期には営業利益で約10億円の押し上げ効果を目論んでいる。

※経済産業省特定サービス産業能動統計調査 広告業(2017年4月)より。


(4) コワーキングスペースとの融合
既存(貸会議室)事業と親和性の高いコワーキングスペースを融合することで、「働き方改革」などによる新しい需要や、個人事業主・スタートアップ企業など広範囲にわたる顧客層を取り込んでいく方針である。アパマンショップホールディングス8889との提携により、2017年10月に新規オープンしたアスティ広島京橋ビルへの共同出店は、1~2階フロアがアパマンショップホールディングスの子会社が運営するコワーキングスペース「fabbit」、3~6階フロアが同社の運営する貸会議室・宴会場「TKPガーデンシティ広島駅前大橋」となっており、同社初の融合施設として注目されている。同社グループにおいても、子会社の3L entranceによりシェアオフィス・レンタルオフィス事業を展開しているが、同社は他社との提携にも積極的に取り組むことで、事業拡大につなげる構えである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)


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