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ヒマラヤ Research Memo(8):大手2社に遅れを取るも、収益改善施策が奏効し営業利益率は上昇に転じる見通し
November 24, 2017 / 8:07 AM / 24 days ago

ヒマラヤ Research Memo(8):大手2社に遅れを取るも、収益改善施策が奏効し営業利益率は上昇に転じる見通し


*17:09JST ヒマラヤ Research Memo(8):大手2社に遅れを取るも、収益改善施策が奏効し営業利益率は上昇に転じる見通し
 





■同業他社比較

スポーツ用品小売で同業大手のゼビオホールディングス8281(以下、ゼビオ)、アルペン3028との直近の経営数値の比較をまとめてみた。

1. 月次売上高、売場面積
既存店売上高の前年同月比伸び率推移を見ると、2016年は7月を除いて3社ともほぼ前年同月の水準を割り込んで推移してきたが、2017年3月以降は各社とも前年を上回る月が増えるなかで、ヒマラヤ7514は大手2社と比較してまだ下回る月が多い。これは大手2社が全国を販売エリアにしているのに対して、同社は関東以西と限定されており、2017年7~8月については、九州での豪雨災害が少なからず影響したものと考えられる。

売場面積については、2015年までは3社とも出店拡大戦略を取ってきたことで右肩上がりの傾向が続いていたが、2016年以降は違った動きとなってきている。ゼビオに関してはM&Aを行いながら着実に売り場面積も広げているが、アルペンは収益悪化を契機に2016年より不採算店舗の見直しを始め、頭打ちの傾向が続いている。また、同社も2016年までは拡大戦略を取ってきたが、前述したとおり収益体質を筋肉質なものに変えていくため、2017年1〜3月に大量閉店を実施し、売場面積については1割強減少している。同社は、今後も新規出店について慎重に進めていく方針を示しており、当面は実店舗での売場面積が伸び悩む可能性はあるが、東北・北海道など未進出エリアがまだ残されていること、新業態店舗の開発によりマスターゲットでの展開が期待されることなどから、長期的には売場面積を拡大していく余地はあると考えられる。

2. 収益性指標
収益性について比較すると、売上総利益率は3社の中でアルペンが安定して40%台をキープしており最も高い水準となっている。ゼビオと同社は2015年まで35~40%とほぼ同水準で推移していたが、2016年以降は同社が35~36%に低下し、やや差が開いた状況となっている。これは前述したように、デフレ環境下での販売価格ミスマッチに対応した値引き推進と、冬物商材の販売ピーク時に暖冬の影響を受けたこと、とりわけ西日本でその影響が顕著だったことが要因と考えられる。ゼビオについては2015年〜2016年前半にかけて過剰在庫の適正化を一足早く進めたことが、その後の利益率改善につながったようだ。同社においても在庫の適正化が2017年8月期で完了したことにより、今後は利益率が改善していくものと予想される。

在庫回転率(売上原価÷期中平均在庫)を見ると、直近3四半期においては同社の改善が顕著となっており、3社の中ではもっとも回転率が高くなっている。店舗の大量閉店を実施したことに加えて、スキー・スノーボード用品や季節商材等の在庫適正化に取り組んだことが改善要因になっていると考えられる。

販管費率に関しては、各社ともここ数年は人件費の増加を主因として上昇傾向となっていたが、同社に関しては2016年後半以降、前年同期比で低下傾向となっていた。前述したように不採算店舗等の削減を実施したことで店舗運営費用が減少したことが主因だ。ただ、第4四半期だけで見ると6四半期ぶりにわずかながら前年同期の水準(33.1%)を上回った。閉店の影響で売上高が前年同期比3.2%減と5四半期ぶりに減少に転じたことが要因だ。また、EC事業拡大による物流費用やシステム投資等の増加も一因となっている。このため、同社の販管費率について今後さらに引き下げていくためには、既存店舗での売上拡大が必要になってくると考えられる。

なお、3社の比較ではアルペンの水準が高くなっているが、これは他社に対して人件費率の水準が高いことが要因と考えられる。売上規模が同水準のゼビオとの比較で見ると、全従業員数が1割程度多いほか、正社員数の比率も約39%とゼビオの約27%に対して12ポイントほど高くなっている。ちなみに、同社の2016年8月期の正社員比率は約38%となっている。ゼビオに関しては、店舗でのアルバイト従業員比率が高くなっていることが要因と考えられる。

2011年度以降の営業利益率の推移を見ると、大手2社が2014年度を底にして回復トレンドに入っているのに対して、同社は収益性が低下する時期が2015年度からと他社よりも遅れたため、収益性改善施策の取組み時期も一歩遅れた格好となっている。ただ、店舗戦略の見直しなど2016年度に進めたことで2016年度の利益率は若干ながら改善し、2017年度も回復トレンドが続く見通しとなっている。

3. 健全性・効率性指標
財務の健全性について見れば、大手2社の自己資本比率が50%以上で推移しているのに対して、同社は30%台とやや低水準となっている。これは同社の有利子負債依存率 (有利子負債÷総資産) が高いことが主因となっている。直近期末の水準で見ると、同社は2017年8月期末で25.7%と大手2社 (アルペン2017年6月期末13.6%、ゼビオ2017年3月期末0.1%)に対して格差があり、その差が自己資本比率の差となって表れている。ただ、有利子負債の水準そのものは健全な水準であり、自己資本比率も上場企業の中で見れば極端に見劣りするわけではない。

株主資本効率の観点で見れば、2014年度まで同社のROEは大手2社よりも上回る水準で推移していたが、2015年度は収益悪化によりもっとも低い水準となった。ただ、2016年度は収益が回復したことで3.1%まで回復し、大手2社の2.6%をわずかながら上回った。2017年度が会社計画どおり推移したとすればROEは5%前後まで回復し、その差はさらに広がることが予想される。自己資本比率が低いことの裏返しとも言えるが、今後も収益の回復傾向が続けばROEは大手2社を上回る水準で推移することが予想される。

4. 株価指標
主な株価指標を見ると、予想PERに関しては同社が10倍台と最も低く、大手2社と開きが出ている。同社の業績回復時期が大手2社より遅れたこともあり、株価がまだ収益回復を十分に織り込んでいないものと考えられる。一方、PBRについては3社とも0.7~0.9台でほぼ同水準の評価となっている。東証第1部上場企業の平均が約1.4倍であることからすると、株式市場からの評価は決して高くはないと言える。ここ数年、スポーツ用品小売市場の競争激化によって業界全体の利益率が低下し、今後の収益成長期待も後退していることが、株価に反映されているものと考えられる。

このため、株価上昇には収益回復の実行と今後の成長シナリオを明確に示していくことが重要と弊社では考えている。同社に関しては、2017年8月期に増収増益に転じており、最悪期は脱したものと考えられる。ただ、不採算店舗の削減等が主な要因であり、成長に向けた道筋については今後の取り組み次第と言える。赤字が続いている子会社のB&Dの立て直しや新業態の開発による新規顧客層の取り込み、EC事業の収益性向上に向けた取り組みなどが業績面でプラスに寄与し始めれば、株価面でも再評価される局面がくると弊社では考えている。

当面は月次売上の動向が注目されるが、上期は既存店ベースで2.5%減の前提となっており、これを上回る水準で推移すれば業績の上方修正期待が高まると予想される。なお、同社は収益力回復を最優先課題とし、従来発表していた中期経営目標値について発表しなかったが、前述した施策を推進していくことで早期に直近の経常利益のピークであった26億円(2013年8月期)の達成を目指していく考えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《MW》

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