December 18, 2017 / 7:05 AM / 6 months ago

すららネット Research Memo(3):契約の塾や学校数、利用する生徒数が増えることが収益増となるビジネスモデル


*16:03JST すららネット Research Memo(3):契約の塾や学校数、利用する生徒数が増えることが収益増となるビジネスモデル
■株式会社すららネット3998の事業概要

1. サービスの概要
正式に開示されている事業セグメントは「eラーニング事業」だけであるが、提供されているサービスの内容は以下のようなものがある。

(1) 「すらら」サービスの提供
「すらら」サービスとは、小学校低学年から高校生の子どもたちが国語・数学・英語の3教科を、インターネットを通じてコンピューターやタブレットで学ぶことができる「対話型アニメーション教材」である。スモールステップで理解を助けるレクチャー機能と、理解したことを定着させるドリル機能がセットになっており、子どもたち個々の学力に応じて、学習することが可能となっていることが特色だ。

(2)「すらら」を導入する顧客に対する経営支援
学習塾や学校等に対して、すららを現場で活用した教育カリキュラムの提案や成功事例・各種ノウハウの提供等の経営支援サービスを提供する。また、同社のサービスを使って学習塾の独立開業を検討している顧客に対して、物件探索や資金調達・販売促進活動・その他塾経営に必要な情報等を提供する開業支援サービスも行っている。エリアマネジメント制※を運用することにより、すらら導入塾同士の競合が起こらないように配慮されている。

※エリアマネジメント制:すらら導入塾の所在地の一定距離内において、他の塾の導入を制限する制度。


(3) 他社とのコラボレーションによるコンテンツサービスの提供
「すらら」を始めとする自社教材に加え、各社とコラボレートしたコンテンツを、同社のシステムであるSuRaLa LMS(Learning Management System)※を通じて提供する「プラットフォーム戦略」を取っている。他社コンテンツを同社のLMS上にて申し込み・受講を可能とすることで、サービスの品ぞろえを拡充し、顧客満足とユーザーの拡大を目指している。他社とのコラボレーションにより、英会話、理科・社会教科等のコンテンツを提供している。

※LMS(学習管理システム:Learning Management System):eラーニングの実施に必要となる、学習教材の配信や成績等を統合して管理するシステムのこと。


2. サービスの対象顧客と収益構造(ビジネスモデル)
同社は、オンライン学習教材の「すらら」サービスを、主に全国の学習塾、学校法人等の「すらら」導入校、個人学習者に対して提供している。主な収益源は、「すらら」サービスを導入校や個人学習者に対して提供することによるサービス利用料収入等となっている。

(1) 学習塾・学校向け(BtoBtoC)の事業モデル
学習塾や学校法人等のBtoBtoCマーケットでは、導入校に対して「すらら」を利用するための管理者用ID(先生用ID)を無料で発行し、各導入校はそれぞれの導入校に通う生徒向けに生徒用ID(有料)を発行している。導入校に通う生徒は導入校を介して「すらら」を利用することになり、導入校は「すらら」の各種機能を使って、生徒に対する受講フォローを実施することになるので、人件費・各種管理コストの発生を抑制することが可能となっている。

さらに「すらら」は同社のサービスを使って独立開業しようとする顧客や、従来より塾を経営している個人顧客に加えて、複数の校舎や生徒を有する学習塾や学校等の法人顧客にも利用されており、法人顧客においては、「すらら」を活用した反転授業※等により利用されている。また、同社サービスを使って学習塾を独立開業する顧客に対しては、「すらら」サービスを提供することに加えて、「物件や資金調達、内装や生徒募集に関するサポート」、「無料勉強会の定期開催による成功事例・塾経営ノウハウの共有」、「販売促進チラシ等の無償提供」等の各種経営支援なども実施している。

※反転授業:これまで教室で一律講義していた新たな学習内容を、オンライン学習教材等を用いて自宅で予習することで教室では講義を行わず、その代わりに教室では従来宿題としていた課題について講師が個々の生徒の特性に合わせた指導を行ったり、生徒同士での協働学習を行う形態の授業。


同社への収入としては、「すらら」サービス提供の対価として、学習塾では、「すらら」サービスを契約した1校舎につき課金する月額「サービス利用料」と、導入校がすららシステムに登録した生徒用ID1つにつき課金する月額「ID利用料」を得ている。また、学校法人においては、契約時に発生する「初期導入料」と、導入校がすららシステムに登録した生徒用ID1つにつき課金する「月額ID利用料」を主な収益として得ている。ただし、学校法人においては、学習塾と比較して生徒数が多い傾向にあることから、一定のID数までは1校舎につき固定額の利用料金を支払うことで生徒用IDを利用することができ、当該ID数を超えた場合に、超過分の生徒用ID1つにつき追加でID利用料が発生する契約内容となっている。

(2) 個人学習者向け(BtoC)の事業モデル
同社のサービスを利用して個人で学習しようとする個人学習者向けのBtoCマーケットでは、個人学習者に対して「すらら」を利用するための生徒IDを発行している。IDを持つ生徒には、同社と業務協力関係にある「すらら」導入塾の講師から、いつまでにどこまで学習するかといった「月1回の目標設定」や、つまずいているところがないか「週1回程度の電話やメールでの進捗確認」等の受講フォローが行われている。個人学習者に対しては、生徒用ID1つにつき月額「ID利用料」を課金している。また、これらの個人受講者に対するフォローを行う導入塾の講師に対しては、受講フォロー業務委託料を支払うことにより、エンドユーザーの数が増える度に導入塾の収益も増えるといった同社とWin-Winの関係になる事業モデルを構築している。

以上のようなビジネスモデルから、契約する学習塾や学校数が増え、さらにそれらの導入校で同社サービスを利用する生徒数(発行ID数)が増えることが同社の売上高・利益を増加させる。特に同社のサービスは、以下に述べるようにクラウド型であることから固定費が限られており、一度損益分岐点を越えれば、契約数の増加が即座に利益の増加につながる構造となっている。


2017年9月末時点でのすらら導入校数は693校、すらら利用ID数は49,820 IDとなっている。また2017年12月期第3四半期の各サービス(市場別)の売上高は、学習塾339百万円、学校168百万円、その他23百万円となっている。

3. 特色、強み、競合
(1) クラウドでサービス提供
同社の教育サービスはすべてクラウドで提供されており、オンプレミス(システム・ソフト等の一括売り切り)は行っていない。そのためハードウェア等の固定費負担が少なく、安価でサービスを提供できるのが特色であり強みだ。収益面では、一度損益分岐点を越えると増収の大部分が利益となる構造になっており、限界利益率は非常に高い。

また同社の販売は約98%が直接販売だが、マーケティング(営業)に携わっているのはわずか16名(2017年10月末全従業員数26名)だけである。これらの営業社員はWebを使って全国的に営業活動を行っており、販売経費を極力抑えている。

このように、サービスの提供及び販売、両方をインターネット(クラウド及びWeb)で行っているのが同社の特色であり、収益面では強みと言えるだろう。

(2) 独自のコンテンツ:低学力生徒に強み
教育事業でもう1つ重要な要素はコンテンツであるが、記述のように同社は10年以上前からeラーニングに特化し、様々な教材やノウハウを蓄積してきた。同じeラーニングと言っても大手予備校や学習塾などは、著名な講師陣の授業を衛星やネットを使って単に映像として流す場合が多いが、同社の教材は以下のような特色がある。

a) アダプティブ
生徒個人に合わせて異なる教材を提供することで、生徒が苦手な分野を克服できる。

b) スモールステップ
1単元を細かく10~15分単位で構成することで、生徒の根本的な理解を促す。これをインタラクティブで行うことで、ゼロからの理解を深めることが可能である。

c) 反転授業
これまで教室で一律講義していた新たな学習内容を、オンライン学習教材等を用いて自宅で予習することで教室では講義を行わず、その代わりに教室では従来宿題としていた課題について講師が個々の生徒の特性に合わせた指導を行ったり、生徒同士での協働学習を行う形態の授業を提供している。

d) ゲーミフィケーション
教師と生徒とのインタラクティブなやり取りを、生徒が興味を持つようにゲームの要素を取り入れたりゲーミフィケーションで行っている。

このように同社の教育コンテンツは長い間に蓄積した細かなカリキュラムであり、それを独自の方法で教えている。そのため、まったく基本が理解できていない生徒に基礎を理解させるなど、どちらかと言えば低学力の生徒のレベルアップに適しているのが特色である。このことが、教育レベルの低い発展途上国(例えばスリランカ等)での事業展開に適していると言える。

(3) 競合等
同社と全く同じようなサービスを提供する企業は少ないが、似たような競合サービスとしては(株)ベネッセコーポレーションが運営する「Classi(クラッシー)」や(株)リクルートマーケティングパートナーズが提供するスタディサプリなどがある。また広義では、大手予備校や学習塾が運営・提供する衛星授業も競合と言えるかもしれない。

しかしながら、これらの競合サービスはどちらかと言えば中・高学力の生徒を対象としているの対して、同社のサービスは低学力生徒に適しているという点では、ターゲットとする市場は異なるとも言えそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《MW》

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