December 20, 2017 / 6:24 AM / a month ago

デリカフーズ Research Memo(8):将来の成長を実現するための基盤構築の期間と位置付け


*15:18JST デリカフーズ Research Memo(8):将来の成長を実現するための基盤構築の期間と位置付け
■第三次中期経営計画「Next Change 2020」

1. 中期経営計画の基本方針と戦略
デリカフーズホールディングス3392は2017年2月に第三次中期経営計画「Next Change 2020」を発表している。2020年3月期までの3年間で、将来の成長を実現するための基盤を構築する期間と位置付けている。

前提となる経営環境の見通しとして、プラス要因は、健康志向の高まりによる青果物需要の増加、外食・中食業界の経営環境の変化や個人の生活スタイルの変化等によるカット野菜、真空加熱野菜の需要増、食品事故による消費者の「食の安全・安心」に対する意識の高まり等が挙げられる。一方、マイナス要因としては、海外での政治情勢変化に伴うマクロ経済環境の不透明感の高まり、2019年10月に予定されている消費税引き上げに伴う消費マインドの低下などがある。また、経営課題としては人手不足の慢性化による労務コストの上昇、天候不順による仕入調達リスク、ドライバー不足に伴う物流コストの上昇等が挙げられる。

こうした現状認識を踏まえ、新中期経営計画では「経営基盤の改革」「成長基盤の構築」「研究開発部門の強化」の3つを基本方針に取り組んでいく。

(1) 経営基盤の改革
経営基盤の改革として、グループ機能の最適化による収益体質の強化を進めていく。2017年10月よりエリア別に分けていた主要子会社3社(東京デリカフーズ、名古屋デリカフーズ、大阪デリカフーズ)を1社(東京デリカフーズを存続会社)に統合している。主要3社を経営統合することによって、広域営業を推進していくほか、仕入調達や受発注業務の一元化を進めていく。従来は、エリアごとに営業活動や消耗品の購買を行っていたほか、仕入調達、受発注機能もそれぞれの会社で組織化されていた。ただ、顧客の中でも全国展開する外食企業の比率が年々上昇し、こうした顧客に対しては営業活動を一本化し戦略的な営業提案を行うことで、取引シェアの拡大を進めていくことが有効と考えている。また、仕入調達や消耗品の購買についても個別で行うよりもグループ全体で調達、購買することで、コスト低減が進むと見ており、グループ全体の収益性向上につながる取り組みとして期待される。例えば、消耗品については年間3.5億円あるが、一括購買することで0.5億円ほどの削減効果が見込めるとしている。

また、人財の育成にも取り組んでいく。とりわけ、工場や営業現場等で若手社員を指導する中間層の人財育成に注力していく方針だ。そのほか、働き方改革や労働環境改革による能率向上及び従業員満足度の向上を図るなど、次世代への継承も含めた改革プロジェクトを推進していく。

(2) 成長基盤の構築
成長基盤の構築に向けて、商品力・顧客対応力の強化、事業拠点の拡大、物流事業の強化・拡大、垂直統合型事業への展開等に取り組んでいく。

a) 商品力・顧客対応力の強化
商品力及び顧客対応力の強化により、事業領域の拡大と売上成長を推進していく。具体的には、需要が拡大しているカット野菜や真空加熱野菜、個食対応商品などの高付加価値商品を中心に、外食及び外食以外の分野へと積極展開を進めていく。真空加熱野菜の売上高については、前期103百万円から3年後に1,000百万円を目標としている。顧客対応力の強化としては、同社が推進する「デポ※化」を関東圏から全国へと展開していくほか、顧客に対してメニューや食材・産地提案だけでなく、物流やCSR(社会貢献)支援等も含めた総合提案力を強化することで、既存顧客内での取引シェア拡大や新規顧客を開拓し、売上成長を目指していく考えだ。大手ファストフード企業や居酒屋チェーンの既存顧客でも取引シェアを拡大していく余地が大きいほか、給食業界の開拓にも注力していく方針となっている。

※デポ…物流センターの受託業務のことで、顧客の青果物配送センターとしての機能を受託する仕組み。


b) 事業拠点の拡大
売上を拡大するに当たっては、工場、物流センターの新設が必要となってくる。同社は、当中期経営計画期間内において、工場1ヶ所、物流センター2ヶ所の新設を予定しており、2018年3月までに候補地を選定、2019年春頃の開設を計画している。候補地については、中京地区、関東地区、関西地区、札幌地区、中国地区等となっている。新物流センターのうち、1ヶ所については名古屋に開設(物流センター+貯蔵センター)することがほぼ決定している。

同社ではカット野菜の需要拡大を見越して、2010年以降、FSセンターを相次いで新設してきた。この結果、2010年以降は外食業界の成長率が微増だったのに対して、同社の売上高は年率9%の成長を遂げてきた。同社の積極的な投資戦略による既存顧客の取引シェア拡大と新規顧客の開拓が進んだことが要因と考えられる。今後も積極的な拠点展開を推進していくことによって、売上規模を拡大していく戦略だ。

c) 物流事業の強化・拡大
物流に関しては、前述したように自社物流の比率を全社で3割程度まで高めていくことを目標としている。物流費の上昇や物流委託先の経営破たんといったリスクに備えるだけでなく、東名阪の幹線物流や各エリアの店舗配送網について自社物流インフラを構築することで、物流の効率化を推進していく。

将来的には仕入調達ルートにおける物流サービスのほか、契約産地での選果・包装・梱包等といった工程までサービスの範囲を広げていくことも視野に入れている。契約産地の農家でも収穫から選果・包装・梱包といった工程は人手不足が深刻化しているためで、こうした工程を自動化することでサービス提供が可能になると見ている。

d) 調達力の強化、垂直統合型事業への展開
天候不順や自然災害に起因する野菜価格の高騰や、野菜品質の低下によるカット野菜の生産効率低下が、ここ数年の利益圧迫要因となっていたが、こうした課題を改善することを目的に前述した貯蔵センターの開設以外にも調達力の強化を推進していく。

具体的には、グループ各社の経営統合によって「商品統括本部」を新設し、調達量と仕入価格の安定化に取り組んでいく。また、調達難の際のリスクヘッジを目的とした国内及び海外産地の開拓と育成も継続して推進していく。現在の海外調達比率は1~2割の水準となっており、日本でほとんど収獲されないフルーツ類や価格が安い野菜などが多いが、リスクヘッジ用の野菜(サニーレタス等)も今後増やしていく予定だ。

また、農業への参入も計画している。自社で種苗、栽培、農業経営を行い、各種データを蓄積していくことで収穫量予測システムを構築することが狙いだ。天候の変化等によって収穫量の増減を予測できれば、事前にその対策を打つことが可能となる。ただ、予測システムの構築には時間がかかるため、その効果は2020年以降の次期中期経営計画に顕在化するものと予想される。また、進出エリアにおける近隣の契約産地の囲い込みという目的もある。参入時期としては2019年3月期を予定している。

(3) 研究開発部門の強化
同社の強みでもある研究開発について、引き続き強化していく方針だ。健康志向の高まりにより、野菜の機能性についての関心が高まるなかで、次世代に向けた「農・食・健康」をつなぐ新規研究分野の開拓を推進していく。また、ビッグデータを活用した抗酸化研究の強化及び外部研究機関との連携も推進する。

メディカル青果物研究所では、現在、大手光学機器メーカーと中腐検出装置の共同開発を進めている。従来は、全量検品が困難なため一部を半割り検品して出荷していたが、一定割合で中腐商品が混じるため、返品コストがかかっていた。現在、開発を進めている検出装置は、光を当てることで中身の状態を分析する装置で、1時間で2,000個の検品が可能になるとしている。同社が将来的に事業展開を検討している契約産地での選果・包装・梱包サービス等で利用できる可能性がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


《MH》

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