December 21, 2017 / 6:40 AM / a month ago

日本調剤 Research Memo(9):国が推進する施策への対応と、店舗展開が成長戦略の両輪


*15:39JST 日本調剤 Research Memo(9):国が推進する施策への対応と、店舗展開が成長戦略の両輪
■中長期の成長に向けた経営戦略

2. 調剤薬局事業の成長戦略
(1) 全体像
調剤薬局事業は、健康保険制度に組み込まれているため、国の制度改定の影響を受けるというリスクから逃れられない。日本調剤3341はそうした現実を踏まえて、国が推進する施策を他に先んじて達成・実現することで、制度リスクの影響を最小化し、事業の成長につなげようとしている。現在においては「患者のための薬局ビジョン」への対応がそれに当たる。

国が2015年10月に公表した「患者のための薬局ビジョン」では、次世代の薬局に求められる機能として、健康サポート機能、高度薬学管理機能、24時間対応・在宅対応などが掲げられている。また、それら機能の具備状況によって、“健康サポート薬局”、“かかりつけ薬剤師・薬局”を次世代の薬局像として挙げている。同社は現在、これに全力で取り組んでいる。

制度への対応に加えて、調剤薬局事業では店舗展開も重要な成長戦略だ。数的拡大はもちろん重要だが、それ以上に、店舗の立地(タイプ)・規模・機能等に基づく店舗展開が一段と重要性を増してくると考えられる。

(2) 店舗展開についての取り組み
同社は、店舗数の拡大については他社に負けない程度の意欲を有しているが、決して店舗数至上主義ではない。自社出店によるオーガニック・グロースかM&Aかという点については、会社概要の項で述べたとおりだ。

同社の出店戦略の主眼は、どんな立地にどのようなタイプの店舗を出し、どういう機能・特徴によって店舗当たりの売上高を拡大させていくか、ということに置かれている。

同社の店舗経営のKPIは店舗当たり売上高(年商)だ。最近の推移を見ると350百万円を超えている。今後の新規出店規模については、現状の既存店売上高水準をベースとし、そこからいかにしてどれだけ積み上げるかが同社の店舗経営の戦略であり、店舗展開の判断基準でもあると言える。

同社が展開する薬局は立地により、門前(大病院近接)、MC型(メディカルセンターの略。医療モール型)、面対応(駅前、街中など人通りの多い立地)の3タイプに大別される。2018年3月期第2四半期末時点で同社のタイプ別構成は門前薬局72%、MC型薬局13%、面対応薬局15%という構成となっている。

これからの新規出店においてはMC型、面対応、及びMC型の安定性と面対応の成長性という両者の特長を兼ね備えたハイブリッド型の出店を加速させる方針だ。人口密度の高い首都圏(1都3県)においては、MC型・面対応合計(ハイブリッド型も含む)が52%と過半を占めている状況だ。今後は大阪・名古屋においても首都圏同様の店舗構成を目指して面対応(ハイブリッド型含む)の出店を加速させる方針だ。

同社のこうした出店政策の背景には、面対応薬局の高い成長性がある。処方せん枚数の成長率では、面対応薬局が全社平均を大きく上回っている。また、5年以上営業している面対応薬局の処方せん枚数について、2012年3月期を起点に2017年3月期までの5年間の年平均成長率を見ると、8.5%となっている。面対応薬局の高成長性は長期的トレンドと言うことができる。

店舗タイプの違いは薬局が持つ機能の違いにもつながる。門前薬局については大学病院や地域の中核病院に近接という立地を生かして高度薬学管理機能を持たせることに取り組んでいる。一方面対応・MC型・ハイブリッド型では、健康サポート機能を核に在宅対応、服薬情報の一元的・継続的管理などの機能も取り込み、健康サポート薬局としての役割を果たすことを目指している。

(3) 健康サポート機能への取り組み
同社は健康サポート機能・健康サポート薬局というテーマに3段階で臨んでいる。

ファーストステップとして、2017年3月期において先行3店舗において取り組みを開始した。セカンドステップに当たる2018年3月期は、同社の各支店において管轄下の2~3店舗を選定して取り組んでおり、期末までには30~40店舗が健康サポート機能を有することになる予定だ。来期以降はサードステップとして、地域ごとの特性などを見ながら100~150店舗を健康サポート薬局化することを目指す予定だ。

前述のように、薬局のタイプとしては、面対応・MC型・ハイブリッド型店舗を主体に健康サポート薬局化を図っていく予定だ。

(4) かかりつけ薬剤師・薬局への対応
かかりつけ薬剤師・薬局への対応に関しては2017年6月14日付の前回レポートで詳述したところから、大きな変更はない。ポイントは、“かかりつけ薬剤師が在籍している薬局がかかりつけ薬局であり、これへの取り組みとはかかりつけ薬剤師の育成に尽きる”ということだ。2017年11月時点では、同社の全薬剤師に占めるかかりつけ薬剤師の割合は45.9%となっている。また、全店舗に占めるかかりつけ薬剤師が在籍している店舗の割合は89.6%に達している。同社はかかりつけ薬剤師・薬局への対応レースにおけるトップランナーというのが弊社の理解だ。

(5) 高度薬学管理機能への取り組み
同社は全国の163の大学病院のうち、約40%に当たる71病院の前に薬局を出店している。同社の高度薬学管理機能への取り組みは、その立地を生かし、これらの門前薬局において実施されている。

高度薬学管理機能の具体的な中身は、専門機関と連携した抗がん剤の副作用への対応だ。同社では、26名(2017年9月時点)の薬剤師に、「外来がん治療認定薬剤師」の認定取得に向けた研修を実施した。また、高度化する医療へ対応するために、大学附属病院・官公立病院・地域基幹病院での病院研修について、2017年10月時点で10医療機関で延べ31名の薬剤師が研修を受けている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)


《MH》

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