February 26, 2018 / 6:49 AM / 4 months ago

ハウスドゥ Research Memo(4):高齢化社会の問題解決をビジネスチャンスに


*15:44JST ハウスドゥ Research Memo(4):高齢化社会の問題解決をビジネスチャンスに
■ハウスドゥ3457の事業概要

3. 高齢化社会の問題点
(1) 高齢者の老後の備えと現金収入
日本は、高齢者に正味金融資産や持家が偏っているものの、現金収入が限られるため、豊かな老後を送っていると言い難い。

内閣府の「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」によると、先進国の中でも日本の高齢者の老後の備えは十分ではない。「老後の備えとしての現在の貯蓄や資産の充足度」に対する国別のアンケート調査では、日本は「まったく足りないと思う」が22.1%、「やや足りないと思う」が34.9%であったのに比べ、「まあ十分だと思う」が27.0%、「十分だと思う」が10.4%であった。ドイツでは、「まったく足りないと思う」が5.4%、「やや足りないと思う」が12.6%にとどまる。米国では、それぞれ11.8%、13.1%であった。

日本の正味金融資産の大半が、60代以上の高齢者によって保有されているが、一部の富裕層に集中している。一方、持家率では、60代が93.3%、70代以上も94.8%と極めて高い。

世帯主の年齢階級別の年間所得(2016年)は、30代が562万円、40代が671万円、50代が744万円であるに比べ、60代が531万円、70歳以上が405万円と低くなる。所得水準を反映して、年齢階級別の1ヶ月当たり消費支出は、30代が243千円、40代が290千円、50代の296千円が高く、60代が247千円、70歳以上が202千円へ低下する。住宅という資産を所有しているものの、収入と支出が低水準にとどまっている。

(2) 多死社会と相続
日本は、2017年に年間死亡数が134万人に達し、多死社会を迎えている。団塊世代が80歳以上になる2030年には160万人を超える見通しだ。相続でもめる遺産規模の割合は、5,000万円以下の43.0%、1,000万円以下の31.9%を合わせて4分の3を占め、大きな規模よりも小さい方が圧倒的に多い。主な遺産が自宅である場合、分割が困難な不動産を複数の人が相続することになるため、トラブルの原因となりやすい。ハウス・リースバックにより資産を資金化してあれば、相続での争いを緩和しやすくなる。

同社は、2013年10月より自宅を売却後も住み続けられる「ハウス・リースバック」サービスを始め、2016年7月より一時的な資金ニーズはあるものの、自宅を売却するほどの金額を必要としない人向けに「不動産担保ローン」を開始した。さらに、2017年10月より地域の金融機関と提携して自宅を担保に融資を受ける「リバースモーゲージ」の保証事業をスタートさせた。幅広い商品のラインナップにより多様な顧客ニーズに応える。

同社は、不動産ストックの流動化により資産を資金化することで資金を市場に還流化させ、経済活性化の一翼を担う。また、高齢者が自宅に住みながら老後の生活資金を得るため、資金面で老後のQOLを向上させることになる。

日本は、少子化や核家族化、高齢化などにより、65歳以上の一人暮らし高齢者は増加傾向にあり、2015年時点で600万人を超えた。同社は、「ハウス・リースバック」利用者で65歳以上の単身者を対象に、家族に代わって毎日電話をかける「安心コール」のサービスを行っている。さらに、2017年11月より定期訪問サービス「みまもりDo!」の提供を開始した。無料訪問サービスの内容は、1)30分程度の対話/コミュニケーション、2)身の回りのお手伝いサービス、3)必要品などのお届けサービスである。お手伝いサービスは、家具や家電製品の移動・組立、風呂掃除、洗濯物干しなどの軽作業や、病院同行、各種申請などの同行など1時間程度でできるものを含む。訪問頻度は、65歳から74歳までが2ヶ月に1度、75歳以上は毎月となる。

4. ハウス・リースバック事業
(1) ハウス・リースバックの仕組み
ハウス・リースバックは、持ち主が自宅を売却して資金を得た後も、愛着のある住居や地域で住み続けられる、新しい不動産活用の提案である。同社が住宅を買い取り、売主とリース(賃貸)契約を結ぶ。「ハウス・リースバック」の商標登録は、2013年に出願し、2015年7月に取得した。2017年は、ハウス・リースバックについて1年間で7,000件以上の問い合わせがきており、同事業で圧倒的ナンバーワンの座を獲得することを狙う。

ハウス・リースバックは、資金需要のある顧客ニーズを捉えており、金融機関が提供するリバースモーゲージの制限の多さや利用しにくさを克服していることもあって潜在需要が大きい。資金の使途、年齢、収入、対象者、対象物件に制限がない上、住居の賃貸契約に保証人も不要である。同社は、不動産の査定や不動産売買、金融サービスのノウハウを持っていることから、ハウス・リースバックに必要な機能を自社の経営リソースでカバーできるのが強みになる。

(2) ハウス・リースバック事業の地域展開
ハウス・リースバック事業のターゲットとするのは三大都市圏となる。ハウス・リースバックの対象となる物件は、リース契約終了後に市場で売却することもあるため、不動産市場で流動性がある物件になる。戸建住宅だけでなく、区分所有のマンションも対象となる。地域別では、三大都市圏周辺が物件数ベースで9割以上を占める。2018年6月期第2四半期末の保有件数の地域別構成比は、首都圏が44.2%、近畿が30.4%、中部が16.0%であった。この3地区に集中的に広告を打った結果でもある。2017年10月に、福岡市博多区に九州エリアの拠点を開設したが、それまでの反響の大きさから十分な需要があることは確認済みである。

(3) ハウス・リースバック事業の収益
ハウス・リースバック事業は、買取時の事務手数料、毎月の家賃収入、売却時のキャピタルゲインと3種類の収益機会がある。物件は、ほとんどを顧客から直接取得し、仕入額の約3%が買取時の事務手数料となる。取得翌月からは毎月家賃としてインカムゲインが、年間で仕入額の約8~10%がリターンとして入る。売却時には、諸費用及び手数料別途で仕入額の15%程度でキャピタルゲインが発生する。当初想定した以上の価格で売れれば、超過分を顧客に戻すことにしている。再売買期限の制限がないことと、顧客と売却益(キャピタルゲイン)をシェアするスキームが、顧客からの支持を得ている。

2018年6月期第2四半期の売上高が1,012百万円であった。構成比は、賃料収入が35.8%、事務手数料等が8.3%、売却売上高が55.9%となった。売却件数は24件、平均売却金額は約23百万円であった。

同事業は、保有件数の約1%が毎月売却されるという経験則がある。当初は自宅に固執していた顧客も、一定の割合で現在の世帯人員数に適した住居へのダウンサイジングをすることで、住居の掃除などの家事や家賃負担を軽減する行動をとるようだ。同社グループでは、住宅の買い換えもしくは借り替え用の不動産の仲介サービスの提供もできる。ハウス・リースバック市場に参入した企業は、不動産売買や賃貸の仲介機能を有せず、同社とは異なり収益機会が限定される。

ハウス・リースバック事業にかかる不動産の保有件数は、2018年6月期第2四半期で626件と前年同期比57.7%増加した。ストック型収益事業であるため、保有件数の積み上がりが、将来の安定したインカムゲインの源となる。一方、資金ニーズが先行的に発生するため、資金需要が旺盛だ。現在検討しているファンド化が実現すれば、事業拡大に拍車をかけることになるだろう。

5. 不動産金融事業:新規事業「リバースモーゲージ保証事業」
顧客によっては、一時的な資金ニーズはあるものの、自宅を売却するほどの金額を必要としていない人がいる。そういう顧客には、不動産担保融資を提供する。融資の金利及び事務手数料などは、同業他社と大差がない。同社のメインビジネスが不動産売買の仲介業であり、不動産価格の査定に関しては質量ともに他社を凌駕する。査定のスピードも速い。

貸金業者数は、1986年のピーク時に47,504社あったが、2013年には2,217社とピーク比20分の1以下に減少した。消費者金融は、1990年代に多重債務者の増加が社会問題となり、2006年に最高裁のグレーゾーン金利を原則無効とした判決が出た。また、中小企業向けの商工ローンは、威圧的な取立てを規制し、違反業者を業務停止処分にした。廃業や業界再編により貸金業者が激減しており、貸金業法対象の貸金業者には総量規制がかかっている。同事業に対する潜在需要は大きい。

2018年6月期第2四半期の売上高は、前年同期比2.8倍の205百万円、営業利益が同61.0%増の50百万円であった。不動産担保融資残高は32億円となった。不動産担保融資とリバースモーゲージ保証をあわせて計88件となった。リバースモーゲージ保証事業の売上高は、当下期から計上される。

同社子会社「フィナンシャルドゥ」は、2017年10月よりリバースモーゲージ保証事業を開始した。大阪信用金庫と提携して、同信用金庫が提供するリバースモーゲージ「悠々自適」の担保評価と保証を行う。

リバースモーゲージは、自宅を担保として融資を受けることができる金融商品の1つになる。自宅は所有しているが、現金収入が少ないという高齢者向けの資金調達手段として、1981年に導入された。これまで、資金の出し手となる金融機関が限定されており、本格普及に至っていない。同商品は、不動産価格の下落、金利上昇、長命化などのリスクがあるが、同社子会社がリスクを負担することで同商品の活性化させる。同社子会社は、利用者が金融機関に支払う利息の一部を保証料として受け取る。同事業は、同社グループの得意分野の経営リソースを有効活用でき、事業拡大に多額の資金ニーズが発生しない。同様のスキームにより、地方銀行や他の信用金庫などの地域金融機関と提携して、サービスエリアの拡大を目指す。

6. 不動産売買事業
首都圏の不動産市況には、局所的に過熱感が現れたことから、一時、安全重視の姿勢をとった。現在は、同事業の運営において過度な引き締めはしないものの、注意深く遂行する通常型に戻した。物件仕入を厳選し、直営店仲介事業とのコラボレーションを強化し、商品在庫は在庫高より回転を重視し、50億円程度を維持する。2016年6月期は、前期の期ずれによる案件や2億円超の大型案件があり、営業利益が前期比倍増した。その反動で、2017年6月期は20.5%の減収、53.2%の減益となった。2018年6月期は、3.7%の増収、14.0%の増益と堅調な実需を反映した予算を立てた。

7. 不動産流通事業
同社は、直営店による不動産売買仲介に買取やリフォームを組み合わせたり、契約機会をリフォーム・住宅ローン・火災保険などの関連ビジネスにつなげることで収益の維持・増大を図る。不動産流通事業から人員を、フランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業のストック型収益事業にシフトさせたが、若手が育ち、2018年6月期第2四半期は仲介件数が1,546件と前年同期比9.9%増加し、13.2%の増収、28.0%の増益を果たした。東証1部上場効果により、知名度やブランド力の向上も寄与した。

8. リフォーム事業
2016年6月期に新築住宅を757百万円請負したが、2018年6月期と2019年6月期の計画はゼロとしている。リフォーム事業に絞り込むことになる。2018年6月期第2四半期は、売上高が前年同期比3.9%減少したが、収益性を改善し、営業利益は同27.0%増加した。不動産売買事業、不動産流通事業及びハウス・リースバック事業と連携して、事業を運営している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)


《NB》

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