April 24, 2018 / 6:35 AM / a month ago

窪田製薬HD Research Memo(1):2018年中にエミクススタトの臨床第3相試験開始


*15:31JST 窪田製薬HD Research Memo(1):2018年中にエミクススタトの臨床第3相試験開始
■要約

窪田製薬ホールディングス4596は革新的な眼疾患治療薬及び医療デバイスの開発を進める米アキュセラ・インクを子会社に持つ持株会社で、2016年12月に東証マザーズに上場※。研究開発等の事業活動は引き続き米国で行っている。同社株式の38.08%をSBIホールディングス8473傘下のSBIインキュベーション(株)が保有しており、筆頭株主となっている。

※2016年11月まではアキュセラ・インクが東証マザーズ外国部に上場していたが、国内での認知度向上や潜在的株式価値の向上を目的に、三角合併により窪田製薬ホールディングスを国内で設立、内国株式として再上場した。


1. 医薬品開発パイプラインの進捗状況
同社は2018年1月に、「エミクススタト塩酸塩(以下、エミクススタト)」のスターガルト病に対する臨床第2a相試験、糖尿病網膜症に対する臨床第2相試験の結果を発表した。このうち、スターガルト病に関しては良好な結果が得られたことから、2018年中に臨床第3相試験開始に向けた準備を進めていく方針を明らかにした。スターガルト病は治療法が未確立の希少疾病であり、米国でエミクススタトはオーファンドラッグ認定を受けている。このため臨床第3相試験でも症例数は比較的小規模になることが予想されるため、自社単独で開発を進めていく計画となっている。一方、糖尿病網膜症を対象とした臨床試験では発症に関連するバイオマーカーであるVEGF(血管内皮増殖因子)濃度の軽度改善が確認されたが、その他のバイオマーカーではプラセボ群との比較で変化は見られず、今後、データの詳細な解析を実施し、開発戦略を策定していくこととなった。その他、網膜色素変性を対象疾患とした遺伝子療法(オプトジェネティクス)の開発では、遺伝子デリバリー技術に関して多くの開発実績を持つ独SIRION Biotech(以下、シリオン)と共同開発契約を締結、今後最適なウイルスベクター※を開発後にIND(臨床試験用の新医薬品)申請に向けた非臨床試験を開始する予定となっている。

※治療する細胞に治療用の遺伝子を運び届ける役割を果たすウイルス


2. 在宅・遠隔医療モニタリング機器「PBOS」の臨床試験を2018年より開始
2018年3月に、網膜疾患患者向けの超小型モバイルOCT※1「PBOS(Patient Based Ophthalmology Suite)」の臨床試験実施に関する承認を米国のIRB※2より取得し、試作機で臨床試験を開始したことを発表した。この臨床試験から得られたデータを基に性能改善を図り、小型モデルの製品化及び、2019年中の510(k)※3での製造販売承認取得を目指していく。従来、網膜疾患の患者は医療施設で網膜の状態を定期検査し、治療を受ける必要があったが、自覚症状がなく検査を受けずにそのまま症状を悪化させてしまう患者も多かった。PBOSの開発により、患者自身で検査したデータを、インターネットを介して医者に送り、診断を受けられるようになれば、適切な時期に治療が可能となり、症状の悪化を防ぐ効果が期待されている。製造・販売については光学機器メーカー等と今後、共同で進めていく可能性が高いが、対象となる患者数は世界で1億人を超えるだけに潜在需要も大きく、今後の動向が注目される。

※1 OCT(Optical Coherence Tomography)は光干渉断層計という網膜の診断画像を撮影する検査機器のことで、網膜疾患や黄斑部の病変の診断用として使用される。
※2 研究倫理審査委員会(Institutional Review Board)は、医学・薬学の専門家と非専門家、医療機関や製品を開発する企業との利害関係を持たない外部委員で構成され、実施される臨床試験を科学的、倫理的観点から審査し、被験者の権利と安全を守ることを主な役割とする審査委員会。
※3 米国における医療機器に関する市販前届出制度。既に販売されている医療機器と実質的に同等(使用目的や技術的特性が同一)であることが臨床試験で実証できれば、申請後3〜4ヶ月と比較的短期間で販売承認が得られる制度。


3. 2018年12月期の業績は損失計上が続くものの、前期比では若干縮小
2018年12月期の連結業績は、事業収益の予定がなく、研究開発費や一般管理費などの費用計上により営業損失は3,500百万円(前期は3,619百万円)となる見通し。スターガルト病の臨床第3相試験やPBOSの臨床試験費用、その他パイプラインの開発費用等で研究開発費は前期比でやや増加するものの、人件費や間接費の見直しを進めることで営業損失は縮小する見込み。なお、2017年12月期末時点の手元キャッシュは現預金及び短期・長期の金融資産を合わせて127億円となっており、当面は資金面でのリスクはないものと判断される。これに加え、スターガルト病の臨床第3相試験の費用に充当するため、2018年3月には同4月を割当日とする新株予約権を発行し、資金調達を開始しており、財務基盤はより一層強固になると言える。

■Key Points
・眼科領域に特化して革新的な医薬品・医療機器の開発を目指す
・2018年12月期はスターガルト病治療薬、PBOSで次の開発ステージに進む
・研究開発ステージのため損失計上が続くが、継続的なコスト見直しにより損失額は縮小に向かう

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


《MH》

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