July 5, 2019 / 6:07 AM / 3 months ago

日本電技 Research Memo(2):空調の計装エンジニアリング専業企業


*15:02JST 日本電技 Research Memo(2):空調の計装エンジニアリング専業企業
■会社概要

1. 会社概要
日本電技1723は、オフィスビルを始め、ホテル、病院、工場など大型の非居住用建築物を対象に空調設備を自動制御する空調計装(ビルディングオートメーション)の分野、及び工場の組立工程の自動化などの産業計装(インダストリーオートメーション)の分野において、設計から施工、メンテナンスまでを手掛ける「計装エンジニアリング専業企業」である。特に主力の空調計装は、自動制御機器大手であるアズビルの最大手特約店として、また業界の草分け的な存在として豊富な実績とノウハウを誇っている。計装エンジニアリングによってビルや工場の空調をコントロールし省エネ化を実現するなど、建物の快適性や生産の効率化を支えることによって、同社は地球環境への貢献も目指している。


空調計装事業の発展を確信
2. 沿革
山武計器(株)(現アズビル)が、米国有数の制御機器メーカーであるハネウェル(HON)と1952年に資本提携契約を締結、国内で空調制御機器の輸入販売を開始した。しかし、計装機器を据え付ける計装工事会社が世にほとんどなかったことから、島田七良氏ほか当時の同社創業メンバーは、空調計装事業の発展を確信して同社を設立、「エレクトリック技術で日本一を目指す」という志を込めて日本電技株式会社と名付けた。このようにして同社は、1959年に空調自動制御の設計から施工、調整、保守までを一貫して行う、わが国初の空調計装専業会社としてスタートした。以来、同社はアズビルと協働し、3大都市圏を足場に空調計装の業界をリードするとともに、長年培った空調の技術を空調以外の分野へも展開するなど、あらゆる計装分野に対応できるエンジニアリング専業会社へと業容を拡大していった。


環境・省エネ化への多様で厳しい要求にも対応
3. 市場環境
ビル空調は、個別空調とセントラル空調に分けられる。個別空調は、例えば雑居ビルのように1室ずつエアコンを置いて管理する手法で、ダイキン工業6367や日立製作所6501などのメーカーが中心である。セントラル空調は、ビル全体の空調を建物の特定箇所で一元管理(中央監視)する方法で、同社など空調計装企業が中心となっている。個別空調は比較的小さなビルやホテルなどの小部屋を得意とし、セントラル空調は中~大型のビルやロビーなど大空間を得意とする。空調計装の市場規模は2,000億円と言われ、その8割をアズビルと同社を含むアズビル特約店が占めている。このため空調計装は、事実上、アズビル製の機器が業界スタンダードとなっている。また、アズビル特約店の中で、同社は唯一エンジニアリング部門を有する専業会社というポジションにあり、自他ともに認める高い技術力を有している。

空調計装の市場は、ビルや工場などの建設時に売上の立つ新設工事と、その後のメンテナンスやリニューアル工事など年々積み上がる既設工事の2つに大別できる。それが、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催へ向けて、都市部の再開発を中心にオフィスなどの新設工事が急増し、受注残が積み上がってきた。また、オフィスビルは近年、先進的なビル建築が増加する一方、歴史的建造物の保全維持(リニューアル工事)も増えるなど、建物の個別の仕様・用途に合わせた空調設備の導入が求められており、案件それぞれにカスタマイズできる技術力も必要になってきている。ちなみに、収益性は新設工事に比べると既設工事の方が高そうだが、需要増を背景に新設工事の採算も改善しているもようである。

病院の空調計装は精度に厳しく、温度管理はもちろん空気清浄と院内感染防止の観点から適切な湿度管理が要求される。特に、手術室には厳しい空調の基準が設けられており、換気差圧を利用して空気の清浄性を高める空調制御などが必要とされる。このほか、研究施設やクリーンルーム、美術館など、空調制御技術が利用されている施設は数多い。また、1997年12月の京都議定書決議以来、世界的に環境・省エネに対する関心が高まっており、建設業界もZEB※の実現へ向けて取り組みが行われるようになった。空調計装は、「計測・監視・制御」の手法によってエネルギーの使用状況をコントロールし、削減など最適化することが可能であるため、省エネ化に必須の技術とされ、中長期的に安定した需要が見込まれている。そのような市場環境のなか、同社は経験工学で培った高度な「計装エンジニアリング」の技術力を武器に、多様で厳しい空調計装の要求に応えることができる1社と言える。

※ZEB:ネット・ゼロ・エネルギー・ビル。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



《ST》

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