July 5, 2019 / 6:12 AM / 4 months ago

日本電技 Research Memo(5):事業環境から引き合いが強かった


*15:05JST 日本電技 Research Memo(5):事業環境から引き合いが強かった
■業績動向

1. 2019年3月期の業績動向
日本電技1723の2019年3月期の業績は、売上高28,308百万円(前期比4.2%増)、営業利益3,174百万円(同14.7%増)、経常利益3,233百万円(同14.2%増)、当期純利益2,232百万円(同8.6%増)となった。建設業界において、公共投資は補正予算の効果もあって総じて底堅く推移、民間設備投資は景況感の改善から建築工事やソフトウェア投資など増加が続いた。このような環境下で同社は、空調計装関連事業の新設工事で、「既設工事につながる物件の受注」、既設工事では「提案型営業並びに現場主導型営業の推進」、産業計装関連事業においては「事業推進拠点の強化及び業容拡充による受注拡大」を目指して事業を展開した。その結果、受注高は空調計装関連事業、産業計装関連事業ともに増加し、31,565百万円(前期比5.8%増)と順調に拡大した。

売上高は空調計装関連事業、産業計装関連事業ともに増加したが、受注拡大から売上の上がるタイミングが2020年3月期にずれたものもあったようだ。売上総利益率が大きく改善したが、好採算の案件が選べるほど受注環境が良化しているため、低収益の案件の比率が下がったことが要因である。一方販管費が増加したが、基幹システム稼働による償却費増(10月以降)と人件費増が要因と思われる。なお、期初の予想に対して売上高で808百万円、営業利益で424百万円、経常利益で433百万円、当期純利益で332百万円の超過達成となった。空調計装関連事業の既設工事の売上と採算改善が想定を上回ったことが背景と考えられる。

事業別業績では、空調計装関連事業が受注高27,081百万円(同5.1%増)、売上高24,533百万円(同3.1%増)、事業別営業利益5,187百万円(同8.8%増)、産業計装関連事業が受注高4,483百万円(前期比10.2%増)、売上高3,775百万円(同12.4%増)、営業利益361百万円(同45.5%増)となった。

空調計装関連事業では、受注工事高が26,767百万円(前期比5.1%増)となったが、新設工事で事務所向けなどが減少したものの、既設工事では放送施設や教育施設、工場向けが増加したためで、内訳は新設工事が8,185百万円(同3.9%減)、既設工事が18,581百万円(同9.7%増)だった。完成工事高は24,219百万円(同3.1%増)となったが、新設工事が教育施設向けなどで減少したものの、既設工事が商業施設や教育施設、公共施設向けで増加したことなどが要因で、内訳は新設工事が6,966百万円(同2.2%減)、既設工事が17,252百万円(同5.3%増)だった。この結果次期繰越工事高は、新設工事及び既設工事ともに増加し、14,882百万円(同20.7%増)と高水準になった。なお、制御機器販売の売上高は314百万円(同4.0%増)となった。

産業計装関連事業においては、受注工事高が地域冷暖房関連設備の計装工事や搬送設備工事の増加などにより4,098百万円(前年同期比10.7%増)、完成工事高が電気工事及び産業用ロボット関連工事の増加などにより3,389百万円(同13.3%増)となった。地域冷暖房関連設備の計装工事や搬送設備工事などが増加し、次期繰越工事高は2,507百万円(同39.4%増)と高水準となった。なお、制御機器販売の売上高は385百万円(同5.4%増)となった。


非常にヘルシーな企業体質
2. 2019年3月期の財務分析
東京オリンピック開催を控え商勢期ということもあり、おおむねキャッシュフローが増加、フリーキャッシュフローも積み上がっている。有利子負債がないことから、各種安定性指標も良好である。営業利益率が10%台、ROA、ROEともに10%前後あり、収益性は高位安定的と言えるだろう。その点で、同社の財務体質はヘルシーと言える。ただし、事業特性として建築需要の影響を受けることから、既設工事の下支えがあるとはいえ、短期的に増収率と増益率に波が生じる点は留意する必要がある。しかし、これも中長期的に見れば成長トレンドに内包される。


繰越工事を順調に消化
3. 2020年3月期の業績見通し
2020年3月期の業績見通しについて、同社は受注高29,000百万円(前期比8.1%減)、売上高29,500百万円(同4.2%増)、営業利益3,250百万円(同2.4%増)、経常利益3,300百万円(同2.0%増)、当期純利益2,260百万円(同1.2%増)と増収微増益を見込んでいる。建設業界は、都市部を中心に堅調な建設需要が続いており、当面は前期並みの経営環境が続くものと想定される。同社では、高水準の繰越工事高を消化するため売上高は引き続き増加が予想されるものの、一方で同社の施工体制・キャパシティから新たな受注への対応が取りづらくなっており、受注高は調整、各利益は微増という予想になったと思われる。2019年3月期が想定以上に好業績だった反動も多少あると考えられている。

空調計装関連事業は繰越工事を順調に消化、産業計装関連事業は大型の案件だけを織り込んだ模様だ。売上総利益率は前期までのトレンドから引き続き改善が予想されるが、販管費は基幹システム稼働による償却費増などにより率として上昇すると思われ、結果的に増益率がやや鈍化する予想となっている。一方環境面では、東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ投資やオフィスビル投資に一巡感が生じつつあるが、東京の都市再開発や各地の商業施設、地域冷暖房などの大型プロジェクトがそろそろと動き出しつつあるようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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