July 9, 2019 / 6:25 AM / 2 months ago

Jオイル Research Memo(4):市場の課題を解消する高付加価値品を創出


*15:24JST Jオイル Research Memo(4):市場の課題を解消する高付加価値品を創出
■J-オイルミルズ2613の事業概要

2. 市場環境と課題
人口減少や少子高齢化、単身世帯の増加、女性の社会進出といった社会動態の変化や、食に対する価値観・意識の変化、調理方法・技術の進化などによる食生活の変化などから、健康志向・グルメ志向といった食のライフスタイル化が進行している。このため、家庭用はベーシックオイルを中心に数量ベースでは伸び悩んでいるものの、健康志向・グルメ志向を受けてオリーブオイルなど小ロットの高付加価値品が好調である。一方、中食(惣菜など)や外食(レストランなど)の増加により、食の外部化率は上昇を続け約5割に達したと言われている。油脂市場もこうした食の外部化の影響を受けており、業務用は数量ベースでは伸びているものの、競争激化などにより金額ベースでは伸び悩んでいるもようである。

こうした環境変化のなか、特段に中食・外食産業で様々な課題が急速に浮上している。アルバイト時給の上昇や物流業者の値上げ、コンビニエンスストアの24時間営業の是非が問題になるなど深刻化する人手不足のほか、コストダウンやロス軽減、消費者ニーズ多様化への対応などであり、中食においては経時劣化抑制やできたて感の維持、外食では味を維持するプロの料理人の不足といったそれぞれの分野における課題もある。こうした中食・外食産業における課題に対して、同社はソリューションとなる高付加価値品を単品或いは複数を提案することで、激化する競争の中でも強みを発揮している。今後も社会動態の動きなどに伴い、同社の課題を解消する高付加価値品へのニーズは高まっていくことが予想される。


顧客の課題解消を「デザイン」する
3. 強みは統合した3社に源泉
同社の強みの源泉は、15年前に統合した3社が三様に有していた強みとそのシナジーにある。もともと味の素製油は油脂のおいしさの研究や「AJINOMOTO」ブランドによる家庭用市場での高い認知度に強みがあり、ホーネンコーポレーションは原料を使い切る取り組みや業務用市場での強固な営業基盤、吉原製油は油種のバラエティや顧客に対する課題解決力に強みがあった。したがって、統合による強みのシナジーは、こうした三者三様の強みを掛け算することで創出・活用されてきている。40%のシェアを誇る業務用油脂、3社の販路継承による広範なカバー範囲の食領域、対応可能な商品カテゴリーの多さ、味の素グループの保有技術・商品力、業務用ノウハウ・経験の家庭用への展開力などに発揮されてきている。今後も持続的な高付加価値な商品創出が期待される。

統合後しばらくは効率化に経営の主眼が置かれていたため、近年になり三者三様の強みを評価し掛け合わせ、相乗的な強みを発揮し始めたところである。その結果、商品の高付加価値化のみならず、ソリューション能力をも高めることができるようになった。油脂やスターチ、マーガリンなど素材や商品を出身や販売先を超えて利用するだけでなく、営業と技術が一体となってPDCA(PLAN. DO, CHECK. ACTION)を回すため、顧客のニーズ・課題や顧客の先にいる消費者のニーズ・課題を先取って把握することができてきている。その結果、調味料や酵素、粉・プレミックスなど他社の素材・商品でさえ顧客の課題解消のためには利用するという発想にもなってくる。このため同社は、単なるサプライヤーでなくパートナーとして、顧客目線に立ったソリューション事業を展開することができるのである。

高付加価値化やソリューションは少しずつ成功事例が蓄積されている。例えば、液体油脂とスターチを独自配合した油脂加工でん粉によってトンカツのサクサク感と経時耐久性を両立したり、大豆粉とレジスタントスターチを掛け算することで低糖質だが食感のあるパンを生み出したりしている。一方、重たい一斗缶から袋パックにすることによって、女性や高齢者でも調理場内で容易に油交換ができるようになった。このようにおいしさばかりでなく、調理作業における課題解消に向けた商品開発も進められている。これはまさに、顧客の求めるおいしさや機能、課題解消を「デザイン」しているということになるだろう。


強みを象徴する複合型プレゼンテーション施設
4. おいしさデザイン工房
こうした同社の強みを象徴しているのが、2018年にオープンした複合型プレゼンテーション施設「おいしさデザイン工房」である。製菓・製パン向けのテクニカルアドバイザリーセンターの機能と、本社にあった顧客向けプレゼンテーションの機能を併せ持つ工房で、家庭料理からプロの調理まで様々な環境を再現できる設備を備え、複数のデモンストレーションやプレゼンテーションを開くことができる。今や開発や提案営業に欠かせない施設と言える。今後は「おいしさデザイン工房」をベースに、培ってきた技術・ノウハウをもとに「あぶら」が持つ価値や可能性を広げ、油やスターチ、マーガリン、粉末油脂といった自社の素材や商品、他社の技術を掛け算した開発を行い、調理や健康、調味といった観点から様々な高付加価値品やソリューションを提案していく方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



《YM》

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