February 3, 2020 / 6:07 AM / 21 days ago

ナノキャリア Research Memo(1):DDS技術をベースに、がん治療薬からヘルスケア品まで幅広くラインナップ


*15:01JST ナノキャリア Research Memo(1):DDS技術をベースに、がん治療薬からヘルスケア品まで幅広くラインナップ
■要約

ナノキャリア4571は、1996年にミセル化ナノ粒子発明者ら3名によって設立されたバイオベンチャーである。社名はナノ技術(ミセル化ナノ技術)とキャリア(薬物の運び屋)の造語である。自社のプラットフォーム技術(DDS:ドラックデリバリーシステム)で創薬を行う数少ない企業で、抗がん剤(既存・休眠・新規)を自社技術「ミセル化ナノ粒子」に封入し、患部に直接運ぶことにより、薬物の効率的な生体内利用が可能となる。副作用を少なくして薬効を高める創薬の裾野拡大に貢献する。

同社は自社開発パイプラインを、進行中の「NC-6004」「NC-6300」に絞り込み、開発後期にある臨床開発に集中投資。また、経営基盤の強化を図る目的で、導入活動も併せて進めており、導入パイプライン(「VB-111」など)は、開発後期や販売段階にあるものを選択し、早期収益化を目指している。

1. 主力の抗がん剤の開発動向
主力開発パイプラインのうちの1つであるNC-6004(シスプラチンミセル)は、膵がんを対象とした第III相臨床試験および頭頸部がんを対象とした第II相臨床試験が進行中だ。2019年12月27日に、実施中の膵がんを対象とした第III相試験の結果を用いた「国内の承認申請はしない」と発表している。今後、データ固定が行われ、詳細な解析が実施されるが、この結果を踏まえて、膵がんの国内開発についてどのような追加試験が必要であるか等を検討するとしている。2014年より膵がんを対象としたNC-6004とゲムシタビンの併用臨床試験を実施してきたが、断念の理由としては「膵がん治療の標準療法が変化し、比較対象群であったゲムシタビンが第1選択薬でなくなったため、承認取得には追加試験が必要になる」としている。創業社長である中冨一郎(なかとみいちろう)氏は説明会の中で「ミセル化ナノ粒子に入れる薬物であるケモセラピー(化学療法)を用いたがん治療において、併用薬剤との関係性が複雑でより難しくなってきている。今後は、免疫チェックポイント阻害剤との併用ががん治療のトレントとなる」とコメントしているが、同社は、2019年から既に手は打っていたようで、NC-6004では免疫チェックポイント阻害剤併用による頭頸部がんを対象とした第II相試験を実施しており、同社として「新規併用がん治療法」の早期確立を目指しており、今後に期待したい。

NC-6300(エピルビシンミセル)は、ミセル化ナノ粒子の医薬品技術としての実証を急ぐため、早期の承認取得をめざし、希少がんをターゲットとした開発を進めている。

2. 遺伝子治療薬VB-111の開発動向
VB-111はVBL Therapeutics.(NASDAQ: VBLT、本社:イスラエル、以下「VBL」)が開発した遺伝子治療薬で、同社は2017年11月に国内での開発・商業化権を取得(15Mill$)した。プラチナ抵抗性卵巣がんを対象にした米国第III相試験をVBLが実施中で2020年3月期第4四半期に中間解析を予定している。プラチナ抵抗性卵巣がんはアンメットニーズ(難治性疾患だが適切な治療法がない)があることから、同社では本試験の進捗を踏まえ、国内臨床試験を開始する準備を進めている。既にカルタヘナ法に基づく第一種使用規程を承認取得済みで、遺伝子治療薬VB-111を国内で取り扱うことができる態勢を整えている。

一方、先行していた悪性神経膠芽腫(rGBM)については、米国で実施された第III相試験において主要評価項目の未達成が2018年3月に発表された。本試験は、成績の良かった第II相試験の試験デザインをFDAとの相談に基づき変更しており、併用療法における投与タイミングの違いが結果に影響したものと考えられている。本仮説の検証として、第II相、第III相臨床試験に携わった医師らにより、rGBMを対象とした医師主導試験がまもなく開始される。さらに、消化器がんを対象とした新たな臨床試験(免疫チェックポイント阻害剤併用)も準備中である。

3. DDSの豊富な経験・知識と、がん領域から次世代医薬品まで幅広い技術資産を保有
同社はこれまで数多くの臨床試験(治験)に取り組んできた。抗がん剤の開発においては、一つの臨床試験における主要評価項目が未達になったからと言って、対象とする製剤の価値がゼロになる訳ではない。前述のケースのように、結果を考察することで、臨床試験をやり直すケースが多い領域だ。疾患を変更して試行、適応症や投与量、投与タイミングなどの見直し、併用薬の選定等、様々な角度から検討が行われるようだ。抗がん剤の開発は、諦めずに“手を変え、品を変えて”取り組み、実用化にもっていく。がん治療薬の環境は常に変化しており、それらに対応するために、新しいことにチャレンジすることが大切である。結果として、同社ではDDSの豊富な臨床的な経験・知識と、がん領域から次世代医薬品(抗体、核酸)まで幅広い技術資産が蓄積されてきた。そのバックグラウンドから、同社の抗がん剤など革新的治療薬が世の中に出ることを期待してやまない。

■Key Points
・遺伝子治療薬VB-111の米国臨床第III相試験の中間解析発表(2020年3月期第4四半期)に期待が高まる
・主力の抗がん剤(NC-6004、NC-6300)の臨床開発進捗に注目
・DDSの豊富な臨床的経験・知識と、がん領域から次世代医薬品まで幅広い技術資産を保有

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)



《YM》

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