February 3, 2020 / 6:12 AM / a month ago

ナノキャリア Research Memo(5):イスラエルのVBL社より国内の開発・商業権を取得


*15:05JST ナノキャリア Research Memo(5):イスラエルのVBL社より国内の開発・商業権を取得
■開発パイプラインの動向

1. 自社技術のパイプライン
(1) シスプラチンミセル(NC-6004)
抗がん剤開発市場はオプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤が出現して、抗がん剤開発の環境がここ数年でドラスティックに変化している。ナノキャリア4571でもNC-6004の新しい併用療法として「キイトルーダ」との併用による、頭頸部がんを対象とした欧米での第II相試験に取り組んでおり、試験終了後には、製薬企業へライセンスアウトする予定である。NC-6004に封入されたシスプラチンは、免疫チェックポイント阻害剤との併用によるがん治療効果への相乗効果が認められるとの報告が多数あり、シスプラチンの強い副作用を軽減するNC-6004の強みを活かした治療法の開発が期待できるとしている。これまでの臨床試験において、疲労、悪心/嘔吐、呼吸困難などの身体症状に改善が認められ、副作用については、既存のシスプラチンに類似しており、発生頻度や重症度は改善され、シスプラチンで臨床的に問題となる聴覚障害は一例も認められず、末しょう神経障害については発現率は低く、軽度であることが報告されている。

尚、第3相臨床試験として膵がんを対象としたゲムシタビンとの併用療法について開発を進めてきたが、上記がん治療環境の急激な変化に伴い、2020年上半期を予定している本試験の解析結果をもとに、膵がん領域における追加試験を検討することとし、本試験結果のみでの国内承認申請はしないことを発表している。

(2) エピルビシンミセル(NC-6300)
軟部肉腫を対象とした第I/II相試験を実施しており、中でも血管肉腫にターゲットを絞り、拡大試験を実施中である。本試験の結果が2020年3月期第3四半期ごろに見込まれている。FDAより軟部肉腫を対象としたオーファンドラック指定を受けており、結果を基に早い承認取得を目指した開発戦略を検討するとしている。本剤は、希少がんをターゲットとすることで、開発コストの削減をしながら、標準薬がない領域において早期の承認取得を目指し、ミセル製剤の医薬品としての実証を急ぐ。

NC-6300はpH応答性機能を付加することで、さらなる副作用の軽減と効果の増強が図れると期待されている。これまでに行われたNC-6300の日本および米国での第I相臨床試験においては、内包する既存薬であるエピルビシンの臨床用量をはるかに超える高投与量領域においても忍容性が認められ、さらには、エピルビシン特有の心機能障害の発生が抑えられ、長期投与が可能になっていることも報告されている。


イスラエルのVBL社より国内の開発・商業権を取得している。米国で実施中の試験進捗に応じ、国内開発を進める予定
2. 導入パイプライン
(1) 遺伝子治療薬(VB-111)
a) プラチナ抵抗性卵巣がん
プラチナ抵抗性卵巣がんの第III相試験が米国を中心に進捗中である。中間解析が2020年3月期第4四半期に実施される見込みだ。2023年に全症例を終え、FDA承認申請となる予定である。卵巣がんのうち特殊な患者(プラチナ抵抗性)が対象となり、アンメットニーズである。中間解析を踏まえ、進捗に応じて国内臨床試験を開始する予定。既に、国内開発のためのカルタヘナ法第一種使用規程の承認を取得済みで、遺伝子治療薬の治験を国内で開始する態勢が整っている。

b) 悪性神経頸芽腫(rGBM)
2018年3月に第III相臨床試験で評価項目未達となったが、ハーバード大学などの治験責任医師らにより再度第II相試験(医師指導)にトライする。rGBMを対象とした第II相試験の成績は良かったものの、第III相試験では評価項目未達となった。この臨床試験間の異なる条件としては、投与タイミングの違いが挙げられる。両試験において、VB-111とアバスチンを併用しているが、第II相試験においては、VB-111単独投与後にアバスチンを併用投与しているが、FDAとの相談により第III相試験では同時併用投与で実施した。このようなタイミングの違いがあり、この仮説を検証することでrGBMの治療の可能性を訴求することができると考え、医師主導治験を開始する。第II相及び第III相試験の結果をよく考察することで、より良い治療法が見いだせると期待している。

(2) 中耳炎(ENT103)
セオリアファーマとの共同開発品である。日本市場において 20 年ぶりとなる新規耳科用抗菌点耳薬であり、抗菌活性物質濃度が従来品の 10 倍程度あることから高い有効性が期待されている。国内において中耳炎を対象とした第III相臨床試験を実施しており、2019年5月に登録を開始。本剤は抗がん剤の開発と比べ短期間で製造販売承認を取得することが期待できるとしている。

(3) PRP療法(不妊治療領域)
2019年4月、エイオンインターナショナルから「Acti-PRP(血球細胞分離機)」の国内販売権を取得。多血小板血漿(PRP)は細胞の成長を促す豊富な成長因子を含み、局所に注入することで組織の修復などを促す。PRPを用いた治療は整形外科領域などで行われているが、婦人科領域における不妊治療への応用として導入。これまでに実施された臨床研究では、3回以上不妊治療を繰り返しても妊娠しなかった難治性の不妊患者の15%で着床が認められている。同社は、臨床研究のサポートを行い、産婦人科PRP研究会の会員施設に対し「Acti-PRP」を販売している。患者のQOL向上という当社理念に基づき、再生医療分野へも進出し、国内初の新規事業として展開。

3. 次世代パイプライン候補について
前述の臨床開発段階または臨床試験計画中の主要パイプラインに続く次世代のパイプライン候補として、ADCMはアクティブターゲッティングを可能とする次世代型プラットフォーム技術で、世界的に開発が活発化している抗体医薬ADC(Antibody Drug Conjugate:抗体薬物混合体)の課題を補う次世代DDS技術である。標的細胞を狙ったターゲッティング療法であるADCMは、がん細胞に現れる特異的な抗原を認識するミセル化ナノ粒子表面に結合し、標的細胞への選択性を高めることができる。抗体と薬物が結合した従来のミサイル療法より多くの薬物を標的細胞に届けることができるため、高い効果と副作用の軽減が期待されている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)



《YM》

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