March 19, 2020 / 8:23 AM / 5 months ago

アンジェス Research Memo(5):高血圧DNAワクチンは、第1/2相臨床試験の結果次第で早期導出の可能性も


*17:13JST アンジェス Research Memo(5):高血圧DNAワクチンは、第1/2相臨床試験の結果次第で早期導出の可能性も
■主要開発パイプラインの動向

3. 高血圧DNAワクチン
DNA治療ワクチンの1つとして、高血圧症を対象としたDNAワクチンの開発を進めている。同ワクチンは大阪大学の森下教授の研究チームにより基本技術が開発されたもので、血圧の昇圧作用を有する生理活性物質アンジオテンシン2に対する抗体の産生を誘導し、アンジオテンシン2の作用を減弱させることで長期間安定した降圧作用を発揮するワクチンとなる。

高血圧治療薬の市場規模は国内だけで5,000億円以上、世界では数兆円規模となっており、この一部を代替することを目指している。現在、主力の治療薬としてはARB(アンジオテンシン2受容体拮抗薬(経口薬))があるが、毎日服用する必要があり薬価も高い。このため、発展途上国では医療経済上の問題から使用が限定的となっている。アンジェス4563が開発するDNAワクチンは既存薬よりも高薬価になると想定されるが、1回の治療で長期間の薬効が期待できるためトータルの治療コストは逆に低くなる可能性もあり、開発に成功すれば発展途上国も含めて普及拡大が期待される。

同社は2018年4月よりオーストラリアで第1/2相臨床試験を実施している。高血圧症患者を対象としたプラセボ対照二重盲検ランダム化比較試験で、安全性のほか有効性(血圧の低下等)を確認する試験となる。予定症例数は24例、観察期間は12ヶ月となっており、現在は最終投与群の患者登録が進んでおり、間もなく登録完了する見込みとなっている。2020年前半には臨床試験初期に登録した患者の2度目の投与も予定されている。同プロジェクトに関しても、2020年10〜12月を目途にトップラインデータを発表し、結果が良好であればライセンス交渉を開始したい考えだ。高血圧症に関しては市場規模も大きく、大手製薬企業からの関心度合いも高いため、試験結果次第では比較的早期に導出が実現する可能性もある。

また、高血圧DNAワクチンではイヌの慢性心不全を対象とした動物用医薬品としての開発も、共同開発先であるDSファーマアニマルヘルスで行われているほか、東京大学医学部附属病院の寄付講座において、脳梗塞や心筋梗塞の発症率を低下させる効果のあることが同研究グループの成果として論文発表されている。このため、今後は高血圧症以外の疾患にも開発が広がる可能性もある。


急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を適応疾患とした臨床試験の開始を目指す
4. その他開発プロジェクト
(1) Vasomuneとの共同開発
カナダのバイオベンチャーであるVasomuneと、急性呼吸不全など血管の不全を原因とする疾患を対象とした医薬品の共同開発契約を2018年7月に締結している。具体的には、Vasomuneが創製した化合物(Tie2受容体アゴニスト化合物)について全世界を対象とした開発を共同で進め、開発費用と将来の収益を折半する。また、同社はVasomuneに対して、契約一時金及び開発の進捗に応じたマイルストーンを支払うことになる。

最初の適応疾患として重症の呼吸不全である急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を想定した非臨床開発を進めており、2020年内の第1相臨床試験入りを目指している。POCを取得した段階で、製薬企業に開発・販売権を導出することを想定している。

ARDSは根本的な治療薬がないため、有効なARDS治療薬が開発できた場合の潜在的な事業機会は世界で25億米ドル以上あると期待されている。また、将来的には喘息など他の疾患にも共同開発を広げていく可能性がある。同社はHGF遺伝子治療用製品の開発を通じて蓄積した血管疾患に関する知見とノウハウを、今回の共同開発で生かしていくとしている。

(2) エボラ出血熱抗血清製剤
エボラ出血熱に対する抗血清製剤の開発を2015年より進めている。エボラウイルスのタンパク質をコードとするDNAワクチンをウマに接種し、その血清に含まれる抗体を精製して抗血清製剤を製造する。DNAワクチン技術を保有する米Vical※より国内の独占的開発販売権を取得し、現在はワクチンと感染症の研究開発で世界有数の施設を持つカナダのサスカチュワン大学と共同で開発を進めている。

※2019年8月に米Brickell Biotechに吸収合併。


2019年4月には、サスカチュワン大学の研究施設において、当抗血清から精製した抗体で動物による感染実験(動物にエボラウイルスを接種した後に、当抗体を投与)を実施し、ウイルス感染による死亡を阻止したことが確認されている。今後、臨床試験を実現するために必要となるデータ等の蓄積を行うため、専門医等とも協議しながら前臨床試験を継続して進めていく予定で、最終的にはライセンスアウトすることを基本に考えている。同ワクチンについては、主に罹患者の治療用や感染リスクの高い医療従事者の予防用、パンデミック時の備蓄用などの需要を想定している。

(3) 慢性B型肝炎向け遺伝子治療用製品
2017年4月に、Vicalと慢性B型肝炎を対象とした遺伝子治療用製品の共同開発契約を締結し、日本における開発・販売権に関する優先交渉権を獲得していたが、VicalがBrickellに吸収合併され、現在はワクチン開発から撤退している。このため、実験データなどを引き継いでいるものの、今後の開発方針については検討中としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



《SF》

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