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窪田製薬HD Research Memo(6):遠隔診断ソリューション「PBOS」は販売パートナー選定交渉を継続中


*15:06JST 窪田製薬HD Research Memo(6):遠隔診断ソリューション「PBOS」は販売パートナー選定交渉を継続中
■窪田製薬ホールディングス
4596の主要開発パイプラインの概要と進捗状況

3. PBOS(網膜疾患)
遠隔医療診断機器となる「PBOS」は、ウェット型加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫等の網膜疾患の患者の網膜の厚みを患者自身で測定し、撮影した画像をインターネット経由で担当医師に送り、治療(投薬)の必要性の有無を診断するシステムとなる。機器の仕様については、操作ボタンの大型化や操作方法を音声ガイダンスでサポートする機能を実装するなど、高齢者の患者に配慮した設計となっているほか、正確な測定を行えるようにするため、支持台を設けた固定式となっているのが特徴だ。

米国で開発を進めている量産型試作機についてはほぼ完成し、現在は販売パートナーの選定を行うべく、候補企業との交渉を進めている段階にある。パートナーごとに「PBOS」に求める機能や性能が異なるため、パートナーが決まった段階で最終仕様を固め、510(k)申請を行う予定となっている。同社としては2020年内に相手先を決定したい考えで、早ければ2021年にも商品化できるものと弊社では予想している。なお、保険収載の適用を受けるためには臨床試験を実施する必要があるため、販売後に状況を見ながら臨床試験を行う予定にしている。臨床試験のデザインとしては、PBOS利用患者と未使用患者(過去データ援用の可能性もあり)で症状の悪化度合いを比較する内容となる可能性が高く、期間として1~2年程度かかるものと予想される。

「PBOS」が商品化されれば、潜在需要は大きいと弊社では見ている。現状、加齢黄斑変性等の網膜疾患治療の第1選択肢は抗VEGF薬による眼内注射であるが、適切な治療を実施するうえでいくつか課題があり、これら課題を解決するソリューションとして「PBOS」が有効と考えられるためだ。

現在、患者が抱える課題としては、1回当たりの治療費が約15万円と高価であること、1~2ヶ月間隔で継続的な治療が必要となるが、適切な治療タイミングは患者ごとに異なること(症状の進行スピードが違うため)、最適なタイミングで治療を行うためには網膜の状態をタイムリーに観察する必要があるが、そのためには定期的に通院検査(約3万円)を受ける必要があり、患者にとって身体的、経済的負担が大きくなること、などが挙げられる。

また、医師側から見ても検査のみの患者が増えると経営効率が悪くなるため、治療が必要な患者をできるだけ増やしたいと考えており、「PBOS」を導入することにより短時間で多くの患者をモニタリングできるだけでなく、治療が必要な患者に対して時間を割くことができるため、病院の収益を考えてもメリットが大きい。

そのほか、抗VEGF薬を製造販売する製薬企業にとっても「PBOS」が普及すれば、投与タイミングが明確となり、販売機会ロスの軽減(=売上拡大)につながるほか、保険会社にとってもニーズのある保険サービスを提供できることで保険料収入のアップにつながるといったメリットがあり、すべての関係者にとって利益を享受できるソリューションとなっている点が大きな特徴だ。

今後の事業化に向けては、前述したとおり販売パートナー先を決定した上で、510(k)申請を行い、販売を開始していく予定にしている。米国でのビジネスモデルとしては、患者の初期負担が軽減されるレンタルサービスとして、毎月利用料を徴収する方法となる可能性が高い。保険適用されれば患者負担も大幅に軽減できるため普及も加速していくものと考えられる。販売パートナーが決まれば初期投資コストの負担も軽減できる見通しであり、今後の動向が注目される。加齢黄斑変性などの網膜疾患は経過観察が重要であることや根治療薬がないことから、一度「PBOS」を使うと失明しない限りは継続して使用される可能性が高く、ストック型ビジネスとして将来的に安定した収益源に育つ可能性がある。米国で普及が進めば、全世界へと展開していく計画だ。

潜在的な市場規模は、当面は米国におけるウェット型加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫等の患者が対象となる。2015年の調査※1によれば、加齢黄斑変性の患者数は全世界で1.38億人と推定され、うち米国は1,230万人程度、このうちウェット型は約10%の123万人程度となる。また、糖尿病は世界で約4.15億人の患者数に上り、その3割となる約1.24億人が糖尿病網膜症を引き起こすと言われている。日本のデータによれば糖尿病網膜症患者の約2割が糖尿病黄斑浮腫を併発すると推定されており※2、世界で試算すると1.24億人×20%で約2,480万人となる。米国での患者比率が加齢黄斑変性と同じく1割弱程度と仮定すれば、米国での糖尿病黄斑浮腫の患者数は220万人程度と推計される。これらの試算に基づいた米国での潜在顧客数は340万人強となる。仮に月額利用料を千円、普及率30%とすれば年間で120億円の市場が創出されることになる。潜在顧客数は加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫だけでなくその予備軍なども含めれば全世界で1億人を超えると見られ、今後も高齢化社会の進展に伴って益々増加すると予想されるだけに、潜在的な成長ポテンシャルは極めて大きく、今後の販売パートナーとの締結に期待がかかる。

※1 Market Scope, The Global Retinal Pharmaceuticals & Biologic Market, 2015.
※2 第114回日本眼科学会総会(糖尿病黄斑浮腫は糖尿病網膜症の20%に合併するという報告に基づく)。


なお、OCTの在宅・遠隔モニタリングデバイスとしては、2018年12月に米Notal Visionの「ForeseeHome®」が先に販売承認されているが、対象疾患が中等度のドライ型加齢黄斑変性症向けに限られていること、また、検査時間も「PBOS」が2秒で終わるのに対して「ForeseeHome®」は検査項目が多いこともあり20分程度かかること、販売価格が高いことなどから直接の競合関係にはならないと見ている。なお、Notal Visionでも現在、ウェット型加齢黄斑変性症を対象とした家庭用OCTシステムの開発を進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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