June 17, 2020 / 7:11 AM / a month ago

サンワテクノス Research Memo(6):収益性を重視しながら事業規模の拡大を進めていく方針


*16:06JST サンワテクノス Research Memo(6):収益性を重視しながら事業規模の拡大を進めていく方針
■中期経営計画の進捗状況

2. 『コアビジネスの強化でお客さまのものづくりに貢献する』の進捗状況
中期経営計画で掲げられた4つの基本方針のうち、「コアビジネスの強化でお客さまのものづくりに貢献する」というテーマは、サンワテクノス8137の成長戦略の中でも最も重要な施策と位置付けられる。なかでも、注力しているのがエンジニアリング事業とグローバルSCMソリューション事業の2つの事業で、いずれも売上規模としてはまだ100億円前後だが、今後の売上規模の拡大と収益性向上を実現していく上で重要な事業と考えられる。それぞれの事業の進捗については以下のとおりとなる。

(1) エンジニアリング事業
エンジニアリング事業とは、従来、電機部門・電子部門・機械部門の3つの領域それぞれが取扱商材を単品販売してきたものを、同社自身が組み合わせてシステム化し、顧客最適を行った上で販売する事業となる。すなわち、エンジニアリング事業とは、何か別の新しい事業ではなく、商社機能における販売手法の1つと言える。同社が同事業に注力する背景には、産業用ロボット等のFA機器の高機能化が進展し、また、需要先のニーズもそれに応じて多様化するなかで、個々の商材を単品で販売するだけではこうしたニーズに対応できず、いきおい、商機も拡大しにくい状況となってきたこと、また、エンジニアリングという付加価値を付けることで収益性を高めることが可能と見ているためだ。

エンジニアリング事業の2020年3月期売上高は約120億円となり、ここ数年は同社が事業開始時に当面の目標としていた100億円の大台を安定的に上回る状況が続いている。2020年3月期はFPD関連業界向けの検査搬送設備や、産業機械業界向け組立ロボット装置、移動電源車両などを受注した。売上総利益率も得意分野に注力することで、前期比1ポイントほど上昇し13%台に載せている。ただ、利益率は当初想定していた水準(具体的には、25%~30%とみられる)とはまだ乖離があり、今後の課題となっている。

同社の売上総利益率は全社で10%台だが、自動車(車載)業界向け電子部品を除けば、11%以上あると見られる。このため、エンジニアリング事業の付加価値分は2%程度となる。利益率が当初の想定を下回っているのは、同社が過去の知識・経験を生かして顧客提案する案件が少なく、顧客からの注文を受ける形での案件が大半を占めており、本来の付加価値部分の対価が十分得られていないことが要因と考えられる。

同社のエンジニアリング事業についてはこれまで、カレーになぞらえて説明してきた。すなわち、従来は肉と野菜と米を素材のまま個々に販売していた(代理店事業)のに対し、それぞれの食材を用いてカレーライスとして販売しようというのがエンジニアリング事業であり、カレールーの製作作業と味付けが同社のノウハウであり付加価値部分となる。しかし、現状は同社のレシピでカレーを作って顧客に提供するのではなく、毎回、顧客の好みに合わせてカレーライスを作っている状況に近く、それがゆえにコスト部分にかかる対価を得にくく、利益率が十分に取れない要因ともなっている。

こうした状況を受けて同社は、2020年3月期よりエンジニアリング事業のビジネスモデルの練り直しに着手し、過去の知見を生かせないような案件の受注は見送るという、採算性重視の受注方針に切り替えた。この結果、売上高はほぼ前期並みの水準にとどまったが、売上総利益率は前期比で1ポイント程度改善することに成功している。ただ、もう一段の利益率向上に向けては、同社が蓄積したノウハウをいかに標準化してサービスメニューとして顧客に提供していく体制を構築できるかがカギを握るものと弊社では見ている。前述したように今後は電子部品組み立てや食品業界など様々な業界で省人化投資が進み、顧客獲得の機会も広がることが予想される。顧客ニーズを満たし、かつコストメリットを感じられるサービスを提供できるようになれば、エンジニアリング事業の売上拡大だけでなく収益性向上にもつながることになる。なお、同事業におけるエンジニアの人員は49名となっており、当面はこの人員体制で事業を拡大していく方針となっている。

(2) グローバルSCMソリューション事業
グローバルSCMソリューション事業は、同社が古くから行ってきた調達代行や物流代行、納期管理といったサービスがルーツとなっている。同社の主要取引先のメーカー各社は、大手企業ほど効率化を追求し、事業構造改革やリストラを推進してきた。その過程でグローバル物流や在庫管理、資材調達等の分野も人員・拠点の削減対象となり、人材が不足している状況となっているのが現実だ。同社のグローバルSCMソリューション事業はそこで生じるアウトソーシングニーズを取り込むサービスとなる。顧客メーカーが今まで独自で各サプライヤーから調達していた電子部品や設備等を、同社に集約することで、顧客は調達コストの低減やリードタイムの短縮といったメリットを享受することができる。

個人の引っ越しを例に取ると、従来の調達代行や物流代行の時代は荷物を旧宅から新居に移動して終了だ。一方、グローバルSCMソリューション事業においては、引っ越してすぐにテレビやパソコンが使えるよう、アンテナやWi-Fi機器を調達し設置するところまでカバーする。新居の地域に応じたアンテナやWi-Fi機器の選定・調達と配線の構築がエンジニアリング事業に当たり、この引っ越しを契機に外構・植栽の整備なども併せて受注できればビジネスの拡大になる。同社は技術商社としての長い歴史で蓄積したノウハウと、海外の幅広いネットワーク(世界26拠点)を強みとして活用し、グローバルSCMソリューション事業の拡大を目指している。

2020年3月期の売上高は約86億円と前期の約92億円から減少した。市場環境が悪化し、全体の売上高が減少したことが主因となっている。新規案件としては大手工作機械メーカーの欧米工場向けSCMビジネスや、OA機器メーカーの業務用プリンタ向け電子部品のSCMビジネスを受注した。なお、同社は、2019年4月からグローバルSCMソリューション部を発足させ、事業拡大に取り組み始めたが、収益性がやや低下する傾向が出始めたことで直近は営業戦略の方向転換を図っている。従来は顧客からの依頼によりSCMビジネスを受託してきたため、比較的採算も取れていたが、事業部として売上目標を立てたことで、受注を積極的に取りに行くようになり、結果、低採算案件でも受注するようになった。このため、現在はアクティブな営業活動は控えており、顧客からの依頼を待つ従来型の営業手法に戻している。

それでも、グローバルSCMのアウトソーシングニーズは今後も拡大すると弊社では見ている。米中貿易摩擦の激化もあって中国から東南アジアや中南米あるいは日本に工場を移転する動きも一部で出始めており、工場移転の際には現地部品調達等のシステムを一から自社で構築するのは非効率なためだ。実際、同社への引き合いも増えており、市場環境が回復すれば同事業の売上も再度拡大に転じるものと予想される。同事業では、既存顧客との取引規模拡大につながるだけでなく、新規顧客獲得の機会ともなるだけに、今後の成長が期待される。なお、SCMサービスにおける競争力を強化するため、事業部の発足と同時にグローバル物流インフラの見直しと改善活動を開始している。その一環として2019年4月よりWMSの本格運用を開始、物流コストの可視化を実現した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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