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日本株

アウトソシング Research Memo(10):5ヶ年計画により、ビジネスモデルの変革に取り組む(2)


*15:50JST アウトソシング Research Memo(10):5ヶ年計画により、ビジネスモデルの変革に取り組む(2)
■アウトソーシング
2427の今後の方向性

2. 今後の重点施策
(1) 海外就労者サポートサービスの拡大
国内労働人口の減少や、それに対する政府施策(新たな在留資格の創設など)に対応するため、テクノロジーを活用したサポートメニューの拡充を図り、これまでの技能実習生をターゲットにした戦略から、すべての在留外国人をターゲットとする戦略に転換。それに伴って、対象市場規模が50万名(技能実習生)から310万名(すべての在留外国人)に拡大するため、同社のサポート人数の計画(2024年度)も10万名から30万名に修正するとともに、関連する営業利益60億円を目指していく。なお、拡充するサポートメニューには、海外送金、SIM、年金脱退一時金、航空券、口座開設、住居、生活関連等を予定。PEOスキームによる拡大戦略からの転換を進める「国内製造系アウトソーシング」を始め、観光分野の強化に取り組む「国内サービス系アウトソーシング」、グローバルな人材流動化スキームを展開する「海外サービス系」に関わる戦略軸の1つとして位置付けられる。特に、後述する「WBBプラットフォーム」の基盤(入口)になるものとして捉えることができる。

(2) エンジニアとテクノロジーを融合したモデル「派遣2.0」による効率化・省人化
多くの先進国で技術者不足が深刻化するとともに、ロボットやAI活用による業務の効率化・省人化ニーズが拡大するなかで、RPAやAI等の先端テクノロジーとエンジニアをセットで供給し、業務の効率化を運用までサポートする「派遣2.0」モデルを推進する。それによって、先端エンジニアの派遣による単価向上を目指すとともに、これまでの技術職派遣領域から、自動化傾向の高い一般派遣領域への進出により、事業拡大と収益性の向上を目指していく※。また、先端技術の確保に向けては、他社とのアライアンス戦略を積極的に活用していく方針である。「国内技術系アウトソーシング」及び「海外技術系」に関わる戦略軸として位置付けられる。そのうち、「国内技術系アウトソーシング」では、既存事業の拡大に加え、「派遣2.0」による一般派遣領域への進出及び単価向上により、2024年12月期の売上収益2,600億円、営業利益260億円(営業利益率10%)を目指す計画。同期派遣の技術者数(外勤社員数)は38,500名(そのうち、「派遣2.0」モデルによる先端技術者数は4,000名)を予定している。

※例えば、これまで10名の事務員派遣で成り立っていた業務に対して、同社グループによるロボット+エンジニアのセット派遣を併用することにより、事務員派遣は3名でこなすことが可能となり、結果として派遣先のトータルコストを引き下げることができるスキームとなっている。同社にとっても、新たな領域(一般派遣領域)へ進出するとともに、単価の高い先端エンジニアの効率的な活用を図ることができる。

(3) 業績の平準化につながる米軍施設向け事業や政府公共系ビジネスの更なる拡大
これまで同様、景気の影響を受けない米軍施設向け事業の拡大のほか、景気の影響を受けにくい公共系事業や物流系eコマース関連事業をグローバルに拡大していく。特に、米軍施設向け事業については、進出済みの沖縄及びグアム基地に対して、IT等の技術領域へのサービス拡大を図るとともに、予算規模の大きい米国や欧州等、グローバルへの進出にも取り組む方針であり、2024年12月期の計画として売上収益500億円を目指している。また、公共系事業については、英国の債権回収スキームをグローバルに展開する考えである。「国内サービス系アウトソーシング」「海外サービス系」「海外技術系」に関わる戦略軸として位置付けられる。

(4) 世界で増える人口をチャンスに変えるためのグローバル人材流動化ネットワークの確立
引き続き、労働力が逼迫する国の人口が減少し、労働力が豊富な国の人口が増加する労働力需給ギャップに着眼し、グローバル人材流動化ネットワークの確立を目指す。特に、欧州、アジア・南米、北米の3拠点を「ハブ」として、景気や環境の変化に対応していく方針。2024年12月期のグループの全雇用人数計画167,000名に対して、流動化人材の雇用数26,500名(約16%)を計画している。グループ全体に関わる戦略軸として位置付けられる。

(5) 人材ストックビジネスからの脱却を目指したWBBプラットフォームの構築
同社を取り巻く事業環境の変化を見据えた人材ストック型成長戦略の見直し並びに世界の労働環境の変化に合わせたインフラの必要性を踏まえ、両課題の解決に向けたWBB※プラットフォームの構築とフィービジネスモデルの強化を目指す。すなわち、国をまたぐ雇用を希望する求職者及び求人者が「安心」かつ「安全」に利用できるプラットフォームを通じて、国際送金や旅券手配、言語教育、コールセンター、給与支払事務、生活サポートなどの各種サービスを提供していく計画だ。フィービジネスでの2024年12月期の営業利益60億円を目指す。売上収益へのインパクトよりも、収益性の高い事業として注目される。グループ全体に関わる戦略軸として位置付けられる。

※「Working Beyond Borders」の略。「はたらく」に国境をなくすという意味が込められている。


弊社では、人材ビジネスにおける国内外の環境変化を勘案すれば、同社の中期経営計画(戦略見直しやビジネスモデルの抜本的な変革に取り組む方向性)には合理性があると判断している。特に、中長期目線で注目すべきは、これまでの人材ビジネスを抜本的に変えることになるWBBプラットフォームの構築にある。他社との連携を含め、いかに規模の拡大を図り、プラットフォームの優位性を高めていくのかが成功のカギを握るだろう。その点では、グローバルな人材流動化に対応する拠点を構え、就職という生活の重要な転機をおさえている同社には大きなアドバンテージがあると考えられる。また、プラットフォームがあることで広く人材を集めることができ、人材が集まることでプラットフォームの優位性も高まるという正の循環効果も期待できる。成功すれば、低リスクで収益性の高いビジネスを世界規模で展開することが可能となるだろう。もちろん、これから具体的な実績を示していくことが何よりも重要であり、各重点施策の進捗をしっかりとフォローしていきたい。また、コロナ禍の影響を含め、世界経済全体の先行きに不確実性が高まっていることは否定できず、今後の動向を注意深く見守る必要があるが、構造的な変化をいかにプラスに変えていけるかがカギを握るだろう。


■社会課題の解決に向けた取り組み

同社は、急激なグローバル化に伴う大きな変化のなかで、人材サービス企業が社会から求められるもの、また、果たす役割も大きく変わろうとしていることを踏まえ、経営理念を再定義するとともに、社会的責任への取り組みをサステナビリティ方針として明確化した。すなわち、「労働格差をなくし、生き甲斐が持てる職場を創出することで、世界の人々の人生を豊かにする。」という経営理念のもと、事業を通して、世界の様々な人々の「就業機会」と「教育機会」の創造を実現し、社会課題の解決と事業の成長、ステークホルダーへの貢献に、持続的に取り組んでいく方針としている。特に、SDGs(持続可能な開発目標)※における重点項目として、目標4(質の高い教育をみんなに)、目標5(ジェンダー平等を実現しよう)、目標8(働きがいも経済成長も)、目標10(人や国の不平等をなくそう)に取り組むことにより、事業を通じた社会貢献を自らの成長に結び付けていく考えである。

※2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標のことである。貧困や飢餓といった問題から、働きがいや経済成長、気候変動に至るまで、21世紀の世界が抱える課題を包括的に挙げており、2030年までに達成すべき「17の目標」と「169のターゲット(具体目標)」で構成されている。活動の主体となる事業会社はもちろん、ESG投資に取り組む機関投資家などからも高い関心を集めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)





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