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富士ソフト Research Memo(4):「挑戦と創造」により、多彩なICTサービス・プロダクトを提供(2)


*15:14JST 富士ソフト Research Memo(4):「挑戦と創造」により、多彩なICTサービス・プロダクトを提供(2)
■富士ソフト
9749の事業内容

3. 存在感を増す狭義のプロダクト・サービス
SI事業のプロダクト・サービスは、狭義のプロダクト・サービスとアウトソーシングに区分される。狭義のプロダクト・サービスの売上高構成比は30.0%(2019年12月期)、営業利益構成比は23.7%(同)であった。2020年12月期上期は前年同期比で25.0%増収、57.4%増益と大きく伸長、全社に占める構成比は売上高で34.0%、営業利益が38.5%となり、存在感が増している。また、受注獲得ペースが第1四半期(3ヶ月)の前年同期比18.5%増から第2四半期(同)には同30.8%増へと加速するなかで、上期末受注残高は前年同期末比50.4%増と大幅に積み上がっており、当面は順調な推移が続く見通しである。

狭義のプロダクト・サービスは、1)自社プロダクト(ペーパーレスシステムの「moreNOTE」、情報化社会における総合教育ソリューションの「みらいスクールステーション」、個人所有のスマートフォンなどを会社の業務で活用するツールである「smartBYOD」、コミュニケーションロボットの「PALRO」、SIMフリー向けモバイルルータ「FS030W、FS040W」等)、2)ライセンスビジネス(マイクロソフト
MSFT製品、AWS、VMwareVMW等)、3)物販等(PC、サーバー等)、から成る。

2020年12月期上期の前年同期比増収率を見ると、自社プロダクトが51%増(2019年12月期13%増)、ライセンスビジネスが46%増(同28%増)、物販等が3%増(同15%増)となり、自社プロダクトとライセンスビジネスの好調ぶりが際立つ。自社プロダクトでは、AIS-CRM領域のプロダクトである「SIMフリー向けモバイルルータ」が同市場でシェア50%を占めるヒット商品となったことがトピックスとして注目できる。また、「みらいスクールステーション」については、政府によるGIGAスクール構想(全国の小・中学校等における通信ネットワークやPC端末の整備にかかる費用を国が補助する制度)がコロナ禍のなかで前倒しされたことは需要喚起材料に成り得るだろう。

ライセンスビジネスについては、Windows7のサポート終了(2020年1月14日)特需のピークアウト後も販売拡大が継続している。加えて、office365や各種クラウドサービスといったICTプロダクトのサブスクリプションモデル化(売り切り商売ではなく、利用期間に応じて料金を徴収するビジネスモデル)の進展により、従来以上に事業の安定性が高まっている可能性があるだろう。なお、同社の場合、ライセンス製品の導入サポートに関わる売上は自社プロダクトに計上され、厚い利幅を確保しているもようである。

また、長期的な人材育成に裏打ちされた同社の一連の取り組みは、事業パートナーからも高く評価されている。具体的には、1)「Microsoft Japan Partner of the Year 2019」におけるModern Deviceアワードの受賞、2)世界最大のITクラウドサービスを運営するAmazon Web Services(AWS)からは「政府機関コンピテンシー」と「IoTコンピテンシー」の国内初認定(2019年)に続き、特に優れた実績を残したパートナーだけに与えられる「APNプレミアコンサルティングパートナー」認定を取得(2020年5月)、3)IT仮想化市場で世界一のシェアを誇るVMwareからは、2020年からの新しいパートナー制度においてデータセンター仮想化、ネットワーク&セキュリティ、デジタルワークスペースという3つのカテゴリー(全5カテゴリー)で最上位認定である「Principal」を取得、VMware 2020パートナーオブザイヤー賞(アジアパシフィック及び日本地域のクラウドプラットフォームトランスフォーメーション部門)、などが2019年来の実績として列挙できる。

独立系SIerとして特定のハードウェアに縛られない柔軟なシステム構築力を強みの1つとする同社が、リモート教育関連製品やコミュニケーションロボット、モバイルルータ等のハードウェアを含む自社ブランド・プロダクトを投入していることは、ユニークな挑戦に見える。コアコンピタンスである「技術力と提案力」を注ぎ込んだ自社プロダクトにより、新たな付加価値の創造に取り組む戦略は「挑戦と創造」という社是に沿った動きと言え、会社側は「投資局面後の収益性については高い水準を求めている」としている。

この点、これまで全社水準を下回って推移してきた狭義のプロダクト・サービスのセグメント利益率が、2020年12月期上期にSI事業セグメントの中でトップとなる7.8%まで上昇したことは特筆できるだろう。品質強化のための先行投資等を受けて子会社サイバネットシステムの収益性改善が続いていることに加え、区分内の売上高ミックスも良化(利幅が最も薄い物販等が従来の50%程度から40%程度に低下、ライセンスビジネスが25%程度から35%程度に上昇、自社プロダクトは25%程度ながら上昇気味)している。採算性に幅がある商材のスポット的な売上計上に左右されるため、セグメント利益率の短期的な変動に一喜一憂する必要はないものの、今後の推移については期待を持って見守りたい。

4. 底入れを模索するアウトソーシング
アウトソーシングは、データセンターやシステム運用・保守等のサービスを提供しており、売上高構成比は6.5%(2019年12月期)、営業利益構成比は7.2%(同)、セグメント利益率は6.4%である。2020年12月期上期の売上高は前年同期比1.9%減、営業利益は同12.5%増、セグメント利益率は6.9%(同0.9ポイント上昇)、上期末の受注残高は前年同期末比25.4%減となっている。近年の減収傾向は、流通・サービス向け継続案件の減少によるところが大きく、他社クラウドサービスとの競争が厳しいデータセンター事業については、引き続き底入れ模索局面にあると考える。

5. ノンコア領域ながら高収益のファシリティ事業
保有するオフィスビルの賃貸を収入とするファシリティ事業の売上高構成比は1.3%(2019年12月期)、営業利益構成比は9.1%(同)で、セグメント利益率は41.8%(同)と高い。2020年12月期上期はグループ内の変動要因に一部イベントスペースやテナントフロアの稼働率低下が加わって、前年同期比9.0%減収、同27.4%減益となったが、セグメント利益率は34.6%と高水準を維持しており、ノンコア領域ながら利益水準の下支え役を安定的に果たしている。

有価証券報告書で確認できるファシリティ事業向け保有不動産は、横浜本社(土地取得年:2000年、土地建物簿価:11,399百万円)、秋葉原オフィス(同:2005年、同32,635百万円)、錦糸町オフィス(同:2000年、同6,065百万円)、門前仲町オフィス(同:2003年、同1,760百万円)の4棟である。

6. その他は急減速ながら子会社の富士ソフトサービスビューロは業績予想を上方修正
その他の売上高構成比は5.5%(2019年12月期)、営業利益構成比は2.4%(同)である。2020年12月期上期は前年同期比21.2%減収、同63.4%減益と急減速、セグメント利益率は3.6%と同4.1ポイント低下した。

区分内の主軸は子会社の富士ソフトサービスビューロ
6188(以下、サービスビューロ)が手掛けるBPOサービス事業やコンタクトセンター事業であり、サービスビューロの日本年金機構案件の競争参加資格一時停止(2019年4月8日から2020年1月7日まで)がブレーキ要因となっていた。しかしながら、最悪期はすでに通過し、サービスビューロは5月13日公表の2020年12月期(4月−12月)業績予想を8月5日に上方修正した。

7. 「AIS-CRM」領域での取り組みを事業戦略に、新製品・新事業の創出に挑戦
前述のとおり、同社は「AIS-CRM」を重点技術分野に揚げ、新製品・新事業のシーズ創出や既存事業の付加価値向上に注力している。一見、流行り言葉の羅列のようだが、「AIS-CRM」戦略の上位概念には同社のコアコンピタンスが据えられており、その取り組み成果は順調に実りつつある。特にクラウド領域が好調であり、「SIMフリー向けモバイルルータ」もヒットプロダクトへと成長した。詳細な開示はないものの、「AIS-CRM」領域全体が単体売上高に占める割合は既に過半に至っているもようである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)





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