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日本株

新晃工業 Research Memo(6):厳しい環境に一段の高みを目指す


*15:46JST 新晃工業 Research Memo(6):厳しい環境に一段の高みを目指す
■経営戦略

1. 経営理念とビジョン
新晃工業
6458は、「豊かな創造力と誇れる品質」を経営理念とし、その実現に向け、顧客を始め社会や社員に対し「信頼と満足」を普遍的に提供するというビジョンを持ち、「快適環境の創造」という事業領域において「空調機器のトップメーカー」であるという戦略スタンスを取っている。実際に同社はこうした経営理念やビジョンを貫いてきた。しかし、東京オリ・パラ向け需要がピークを越えたところにコロナ禍の影響で、事業環境は現状では踊り場に入っている。そのような環境だからこそ、将来の課題を前もって解消しておくことが、一段の高みを目指すために重要になると考えられる。例えば、現在は強みである質量ともに豊富な人材が、デジタル化の急速な進展により突然弱みに転じてしまうことがあるかもしれない。そのような事態に備え、運営の高効率化を図ることができれば、将来、より高い収益性と成長性を確保することができると考えられる。


シェア拡大、新規領域の拡張、生産性向上を図る
2. 経営戦略
現在の事業環境を考えると、やはりここ1~2年は厳しい環境が続きそうだ。しかし、東京オリ・パラ特需によるボトルネックで持ち越し案件が増加していること、駅前再開発プロジェクトが首都圏を中心にいくつか始動していること、大阪・関西万博、リニア中央新幹線など将来へ向けた大型案件が控えていること、市場を退出した大手メーカー分を含め更新需要が増加する見込みであることから、先行きが単に厳しいだけというわけではない。このため同社は、以下のように、SIMAプロジェクト、技術深耕、ダイキン工業との提携、海外事業の再構築といった経営戦略を通じてビジネスチャンスを捕捉し、シェアの拡大や新規領域への拡張、生産性の向上を図る方針である。

2020年4月、グループ内で開発・設計・販売の中心となっている同社が、連結子会社で設計・製造(2工場)を担う新晃空調工業と部品製造を担う三井鉄工を合併した。合併を機に、積算・購買や設計、品質保証の機能統合、業務フローの見直しを通して製販の企業文化を融合させ、経営戦略を加速させる狙いである。


「SIMA」プロジェクトにより手厚いサービスを高効率化する考え
(1) SIMAプロジェクト
生産性向上へ向けた戦略の中で最重要なのが、個別受注生産方式の次世代化である。デジタル化は強みを突然弱みに変えてしまう可能性がある。逆に言えば、デジタル化を積極的に導入すれば強みをさらに強化することができる。それが個別受注生産方式の次世代化=SIMAプロジェクトで、オーダーメイドの上、手厚いサービスを可能にしてきた人海戦術を脱し、将来も高い生産性と成長性を確保していこうという考え方である。具体的には、BOM(Bills of Materials:部品表)化や3DCAD化により、空調機の設計から積算、製造までをデジタル化・自動化していく。さらに、積算のベテランが何日もかけて1から工数を積み上げて計算してきた製造コストも、過去約3万台の製品仕様情報と工数を自動学習したAIが、ほぼ全製品にわたってベテラン並みの精度で瞬時に予測できるようになると想定されている。これにより、将来的には顧客の要望やそれに伴う仕様要件を入力するだけで、納期確認、設計・製造、カスタマイズに必要な手配まで行えるようになる。生き残るために非常に重要な戦略であることから、同社は自社でAI技術者を育成、AIのシステムも自社で開発した。今後ベテランの退社や人手不足が急速に進むと見込まれるため、社運をかけて数年内で実現する意気込みである。また、SIMAプロジェクトによるデジタル工場構想の実現に向けた新工場の建設計画もあり、一層の生産能力の増強・効率化を図るとしている。

(2) 技術深耕
同社は2019年7月にAHUの主要構成部品で新製品を発表した。高伝熱効率のコイル開発によりコイル列数やフィン枚数を削減して原材料や加工工数を圧縮したコンパクト型AHU用熱交換コイル(WTS型)と、流体シミュレーション(CFD)を活用して送風機の各部材を最適設定したコンパクト型AHU用プラグファン(PS型)の2機種で、高効率化による省エネをターゲットにした開発で、今後も省エネを中心とした新製品の開発に注力する方針である。また、前述した細菌・ウイルス対策となる「健康空調」では、医療福祉施設などから営業の範囲を拡張して新たなニーズを確保する考えである。

(3) ダイキン工業との提携
2017年5月にライバルでもあるダイキン工業と提携した。ダイキン工業は空調業界の巨人でAHUの製造販売もしているが、オーダーメイドへの対応があまり進んでいない。このため、ダイキン工業は同社のAHUで補完していく考えのようだ。一方同社は、ダイキン工業が強みを持ち、同社が伸ばしたいと考えているヒートポンプAHUの分野で、共同開発などを進めていく考えである。同社にとって成長領域である、中小規模のオフィスビルなどの案件を増やす原動力になることが期待される。

(4) 海外事業の再構築
中国・アジアの建設市場は日本のようなレイヤーがなく、施主の意向が強く反映する水平分業方式である。また、施主から早い納期と安い価格を求められることが多いため、定型の汎用製品へのニーズが強く、高品質やオーダーメイドを強みとする同社にとって差別化し難い市場と言える。しかし近年、中国において、大型の商業施設や精密な温度・湿度制御が必要な半導体や製薬工場を中心に、高品質・高技術の製品が採用されるようになってきた。このため同社は、合弁先企業を通じて設計段階から入り込み高機能のAHUを訴求することで、価格競争を回避しながら利益を確保していく方針である。併せて、受注採算重視への意識改革や生産性向上による原価削減も進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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