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日本株

Jトラスト Research Memo(5):2020年12月期は日本金融事業が好調に推移し業績を下支え(3)


*15:25JST Jトラスト Research Memo(5):2020年12月期は日本金融事業が好調に推移し業績を下支え(3)
■Jトラスト
8508の業績動向

(3) 東南アジア金融事業
東南アジア金融事業では、東南アジアで最大の人口を持つインドネシアにおいて、ライツ・オファリングで得た資金により、銀行業のJトラスト銀行インドネシア(以下、BJI)を傘下に収め、現在は同行の立て直しに注力している。また、債権回収業のPT JTRUST INVESTMENTS Indonesia(以下、JTII)、マルチファイナンス会社のJTOを傘下に持つ。さらに、カンボジアにおいて、2019年8月より優良銀行であるJTRBを傘下に収め、銀行業務を開始している。同社グループでは東南アジア金融事業が収益の柱に成長し、グループの業績をけん引することを期待している。

2020年12月期はJTRBの業績を期初から計上していることもあり、営業収益は15,953百万円(前期は9,673百万円)となった。一方で、営業損失は5,541百万円(同4,667百万円の損失)であった。しかしながら、2019年12月期はJTRB買収に伴う負ののれん発生益3,355百万円を同セグメントで計上していたため、この一時的要因を除いた本業ベースでの業績は改善傾向にある。また、2019年12月期は9ヶ月決算であったが、これを12ヶ月決算に換算すれば2020年12月期の損失幅は縮小している。

長期間にわたって預金保険機構の管理下にあったBJIについては、同社グループでは最優先課題の1つとして再生に取り組んでいる。これまでに、同行の増資を行うとともに、不良債権の回収に特化した新会社JTIIを設立して、同行から不良債権を切り離して譲渡することにより、財務体質の改善を図るなど銀行再生を加速してきた。ただ、銀行再生が計画どおりに進まなかったことから、2019年3月期決算において抜本的な対応に踏み切った。すなわち、BJIでは買収前からの負の遺産を含めた不良債権を前倒しで一括処理することを決断した。このように抜本的な不良債権処理を断行することで、東南アジア金融事業の業績急回復を実現するための基盤を整えた。

同社ではBJIの再生に時間を要している原因は人材の能力、リスクマネジメント、ITシステム等の不足にあったと分析し、2019年12月期は以下のような事業基盤の再構築に着手した。第1に、「人材、組織の再構築」を実施し、リスクマネジメント体制の整備と審査部門の強化を図った。コンプライアンス/審査部門に日本人マネジメントを配置するとともに、韓国で貯蓄銀行の再建を手掛けた人材をインドネシアへ派遣した。第2に、「ITの改善」を行い、モバイルバンキングアプリを開発し、2019年8月よりサービスを開始した。効果的な集客により低利の普通預金を集め、預金コストの低下を見込む。第3に、「優良資産の積み上げ」を図るため、JTOを中心とした資産の積み上げに加え、日系/国営/財閥系・大手銀行系企業への貸付や社債への投資を進めることとした。第4に、「債権回収のための体制整備」を実施し、日本や韓国で培った債権管理/回収ノウハウを融合させ、JTIIに注入した。そのために、債権管理/回収担当者を2019年3月期末の39名から2019年12月期末には75名に増員している。

インドネシアでは、こうした再建に向けた改革を継続している効果が着実に表れはじめていたものの、世界的なコロナ禍によりアジア通貨危機以来のマイナス成長になるなど、大きなダメージを受けている。このように事業環境が悪化する中で同社グループは、先手の対策を講じることによりマイナスの影響を最小限に食い止めている。

世界的なコロナ禍により、一般顧客が大口預金先(地銀・保険・証券等)から一斉に預金を引き出したため、やむを得ず同行の預金を引き出すこととなり、BJIの流動資産が減少した。そこでBJIでは、流動性資金確保のためにCB(Corporate Bond)を売却したが、それに伴う売却損約15億円の計上、またCBからの利息収入の減少約10億円などから、営業損失は前期の2億円から50億円に拡大した。JTOでは、失業者の急増などから、状況を見極めるために貸出を自主的に制限していたが、BJIの貸出残高は2020年11月以降は増加傾向にあり、12月の残高は544億円、前年同月末比17.7%増となり、銀行業界の2.4%減を大きく上回っている。また、2019年までは不良債権をJTIIに売却することでNPL比率の低下を図ってきたが、2020年は売却処理をせず、自力でNPL比率を低位コントロールしている。これに加え、BJIでは預金残高を貸出残高に合わせてコントロールしており、COF(資金調達コスト)はコロナ禍前の水準より低下している。BJIの営業実態は改善していると言える。今後は不良債権比率を抑制しつつ、優良債権の積み上げを図ることが課題であろう。

なおBJIは、2020年1月にはインドネシア証券取引所(IDX)で取引再開を果たしている。

2018年10月に株式60%を取得しグループ傘下に収めたマルチファイナンス会社のJTOは、オートローン業界の老舗として高い知名度があり、インドネシア全土の支店網や取引金融機関との豊富なネットワークを有している。従来の中古車ローンに加え農機具ローンや新車ローンなど新しい商品の提供をはじめてきたが、コロナ禍に伴う市場の変化を考慮し、農機具ローンと小口のマイクロファイナンス以外の新規貸付を一旦停止した。JTOのアセットは、2019年1月の91億円が2020年3月には140億円にまで増加したが、新規貸付抑制と債権回収により同年12月には98億円に減少した。一方、NPL比率は2.70%(2020年12月)と安定しており、業界平均の4.01%と比較して低い水準に抑制できている。しかし、営業資産残高及び利息収入の減少により、営業損失は前期の3億円から2020年12月期は11億円へと増加した。

債権回収業のJTIIについては、これまでに蓄積したノウハウを活用して買取債権の回収拡大を進めている。2020年にはBJI以外の他社からの不良債権買取も開始している。コロナ禍におけるデスクワークにより生産性が向上したことに加え、架電や通知の強化及び競売数の増加により債権回収力が向上しており、平均月間回収金額は2.37億円(前期は0.62億円)に上昇した。また、2020年12月期の債権購入は35億円と順調に推移した。2021年12月期については期初から債権買取の案件が多数あり、今後も不良債権買取のチャンスは大きいようだ。以上の結果、JTIIの営業利益は5億円の利益(前期は68億円の損失)へと大幅に改善し、設立以来の最高益となった。

加えて、2019年8月には、6ヶ国目の進出先となるカンボジアの商業銀行42行中でTOP10に入る資産規模(2018年12月末当時)のANZ Royal Bank(Cambodia)の株式55%を取得し、商号をJTRBに変更した。グループ入り後、貸出残高は順調に増加していたが、カンボジア国内でもコロナ禍が拡大しているため一時は新規貸付を抑制した。ただ、同国のコロナ禍は周辺国に比べて軽微であることから、収益力向上に向けて貸出残高の積み上げを再開している。以上の結果、2020年12月の貸出残高は729億円に増加した一方で、NPL比率は0.50%の低位にとどまっている。

(4) 投資事業
投資事業では、シンガポールを拠点に、事業のシナジー性や商品力などを総合的に判断し、投資先を選定する。特に、金融事業や金融事業とシナジー効果が見込める事業に投資している。投資事業は、現在係争中のJトラストアジアが保有するGLに対する債権の全額について200億円超の貸倒引当金繰入額を計上したこと等により、2019年3月期には大幅な損失を計上した。2020年12月期の営業収益は953百万円(前期は815百万円)、GLに対する債権回収開始や訴訟費用の減少などにより損失幅が縮小した結果、営業損失は1,651百万円(同1,768百万円の損失)となった。なお、シンガポール控訴裁判所判決の一部履行として受領した3,700万米ドルは2021年12月期に計上する予定である。既に十分な貸倒引当金を引き当てたことで、将来の回収金は利益計上されることになるため、回収に尽力することでグループ全体の業績回復に貢献する計画である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)



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