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オンコリス Research Memo(4):テロメライシンの開発進捗はコロナの影響受けるも臨床試験が進む(1)


*15:14JST オンコリス Research Memo(4):テロメライシンの開発進捗はコロナの影響受けるも臨床試験が進む(1)
■オンコリスバイオファーマ
4588の開発パイプラインの動向

1. テロメライシン
(1) 概要
テロメライシンは、テロメラーゼ活性の高いがん細胞で特異的に増殖し、がん細胞を破壊する遺伝子改変された5型のアデノウイルスのことで、腫瘍溶解性ウイルス製剤の一種である。テロメライシンの特徴は、正常細胞にも感染するが、テロメラーゼ活性の高いがん細胞で特異的に増殖することで、がん細胞を破壊していくことにある。アデノウイルス自体は自然界の空気中に存在し、風邪の症状を引き起こすウイルスのため、ヒトに投与すると発熱等の症状が出るケースがあるが、正常な細胞の中では増殖能力が極めて低いため副作用も少なく、人体への安全性には問題がないことが確認されている。

(2) 開発状況
テロメライシンは現在、国内と米国にて複数のプロジェクトが進んでおり、このうち、国内については中外製薬とのライセンス契約に基づき、開発主体が中外製薬に移っており、海外については同社が医師主導治験を進めている。

a) 食道がん(放射線との併用療法)
中外製薬が主導する第2相臨床試験については、2020年3月初旬に1例目の被験者投与が開始されている。予定症例数は37例で、外科手術による根治的な切除や根治的化学放射線療法(放射線と抗がん剤を用いた治療法)が困難な患者を対象に行われている。ヒストリカルデータ(日本食道学会による放射線単独療法)との比較により有効性と安全性を確認する臨床試験となり、進捗状況については新型コロナウイルス感染症拡大の影響でやや遅れ気味となっており、現段階では2023年以降の承認申請を目指している(当初計画では2022年を目標)。先駆け審査指定制度の対象品目として指定されており、審査期間の短縮が見込まれることから、申請後は1年以内に承認される可能性がある。

b) 食道がん(化学放射線療法との併用療法)
同社は2020年6月に米国での主要ながん研究グループであるNRGオンコロジーとの間で、食道がんまたは胃食道接合部がん患者を対象とした医師主導の第1相臨床試験を米国で実施する契約を締結した。今回の臨床試験は化学放射線療法を行いながら、テロメライシンを隔週に3回投与し、安全性の確認と3ヶ月後の腫瘍の縮小効果を確認するというもので、予定症例数は最大21症例となる。完全奏効率が標準治療法を上回れば、次の開発ステージに進む可能性が高くなる(化学放射線療法単独で約50%程度)。また、3年後のがん再発率が既存療法より低ければ、食道がんにおいて外科手術以外の治療法の候補となる可能性がある。新型コロナウイルス感染症拡大の影響でスケジュールが遅れていたが、臨床試験開始の準備も完了したようで、今後の動向が注目される。食道がんを対象とするテロメライシンは、米国FDAよりオーファンドラッグ指定を受けており、補助金支給や臨床研究費用の税額控除といった優遇措置が今後受けられるほか、承認された場合は7年間の先発権保護が与えられ、同期間中は市場を独占することが可能となる。

一方、国内でも中外製薬で局所進行性食道がんを対象とした第1相臨床試験の準備を進めており、現在患者の募集を開始している。安全性と忍容性を評価し、副次的に有効性を評価する試験で、症例数は20例を予定している。2022~23年に米国と国内で第1相臨床試験の結果が纏まる見通しで、試験結果が良好であれば中外製薬が海外でも化学放射線療法との併用による開発を進めていく可能性があると弊社では見ている。

c) 進行性または転移性固形がん(免疫チェックポイント阻害剤との併用療法)
食道がんを中心とした進行性または転移性固形がんでステージ4の患者を対象に、抗PD-1抗体であるペムブロリズマブ(開発:米メルク
MRK、商品名:キイトルーダ)との併用療法による医師主導の第1相臨床試験が、2017年12月より国立がん研究センター東病院等で進められている。試験内容は、前半の9例が投与量を3群に分け(低容量、中容量、高容量)、治療期間6週間でテロメライシンを3回反復投与、ペムブロリズマブを複数回投与し、安全性や抗腫瘍効果、免疫応答等を評価するというもの(最大2年間の経過観察期間を設けて生存率についても評価)。また、後半の13例については、前半に行った試験のうち高容量群での3回反復投与を1クールとし、複数クール行う試験となる。

前半の9例に関する中間報告が、2019年3月に発表されている。内容としては、投与を制限するような重篤な副作用が発生せず、副次評価項目である有効性評価として、9例中3例で全身での部分奏効が確認された。ペムブロリズマブの単独療法では部分奏効率が13.1%という臨床試験結果が出ており、テロメライシンとの併用療法による腫瘍縮小効果が期待できる内容であった。

現在は後半の第1b相臨床試験を実施中で、2020年12月までに13例中10例までの被験者登録が進んでいる。このうち9例は原発巣の食道がんから肝臓に転移したがんに投与したが、部分奏功が確認できなかった。これは、肝臓が食道よりも体積が大きいため、プロトコルで定められた薬の投与量(1~2cc/回)では少なすぎることが原因と考えられる。このため、10例目からは再び原発巣の食道がんへの投与に戻して試験を進めており、2021年上期中に中間データを取り纏める予定となっている。今後の開発方針については、中外製薬が臨床試験のデータを見て判断することになるようだ。中外製薬でも免疫チェックポイント阻害剤であるアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の開発を進めており、今回の医師主導臨床試験のデータ結果次第では、アテゾリズマブとの併用療法による臨床試験を進めていく可能性はある。ただ、第2相臨床試験に進んだとしても、有効性評価として2年後の生存率や再発率などを見る必要があるため、試験期間は数年程度と長期間になることが予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)





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