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オンコリス Research Memo(5):テロメライシンの開発進捗はコロナの影響受けるも臨床試験が進む(2)


*15:15JST オンコリス Research Memo(5):テロメライシンの開発進捗はコロナの影響受けるも臨床試験が進む(2)
■オンコリスバイオファーマ
4588の開発パイプラインの動向

d) 胃がん・胃食道接合部がん(免疫チェックポイント阻害剤との併用療法)
ステージ4の胃がん・胃食道接合部がん患者を対象とした免疫チェックポイント阻害剤との併用療法による医師主導の第2相臨床試験が、2019年5月より米コーネル大学などで進められており、2020年12月時点で18例中9例目の組み入れが完了している。ペムブロリズマブ投与中の患者に対して、テロメライシンを隔週で4回投与し、半年程度の観察期間で安全性と有効性を評価する試験となる。2020年12月に米国で中間検討会が実施され、今後組み入れ対象を食道がんに拡大する予定となっている。

投与した8例のうち、1例は部分奏功が確認され、投与から1年経った今も存命中であり、また他の1例については腫瘍の大きさに変化がない安定した状態を保っている。コーネル大学の担当医師からは、「部分奏効率で標準治療を上回る結果であれば、企業治験に切り替えていく価値がある(ペムブロリズマブ単剤では約15%)」と言われており、残り10例の結果次第となる。仮に企業治験を進める場合は、中外製薬がオプション権を行使して米国のグループ会社であるジェネンテックが主導して開発を進めていくものと予想される。なお、今回の臨床試験ではペムブロリズマブを使用しているが、中外製薬では同じ免疫チェックポイント阻害剤のアテゾリズマブがあるため、企業治験で開発を進める場合はアテゾリズマブを使用するものと思われる。

e) 肝細胞がん(免疫チェックポイント阻害剤、分子標的薬との併用療法)
中外製薬において肝細胞がん患者を対象に、アテゾリズマブ及び分子標的薬ベバシズマブとの併用療法による第1相臨床試験が2021年1月より開始されている。安全性、忍容性及び有効性の評価を行う。既にスイスの製薬会社ロシュが米国において切除不能な肝細胞がんを対象としたアテゾリズマブとベバシズマブとの併用療法による第3相臨床試験を実施しており、全生存期間が19.2ヶ月と、既存治療法(分子標的薬ソラフェニブ単剤)に対して死亡リスクが34%減少する(ソラフェニブは全生存期間で13.4ヶ月)との試験結果を2021年1月に発表しており、同疾患に対するファーストライン治療として既存薬よりも有効性があるとの認識を示している。

今回、中外製薬において実施する臨床試験において、さらに高い治療効果が確認されれば、国内だけでなく海外でもロシュを通じて開発が進められる可能性がある。仮に、ロシュで開発を進めない場合は、メルクやファイザー
PFEなどほかの免疫チェックポイント阻害剤を開発する企業に持ち込んで開発を進めていく可能性がある。肝細胞がんに関しては2014年から2020年にかけて台湾・韓国で提携先のメディジェンが単剤による第1相臨床試験を実施しており、評価可能な18例において安全性が確認されている。また、18例のうち、3例で部分奏功が確認されたほか、8割は投与後の腫瘍体積が変化しないといった結果が出るなど薬効が確認されていることから、アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法よりも、さらに良い結果が出る可能性が高いと弊社では見ている。

f) 頭頸部がん(免疫チェックポイント阻害剤、放射線との併用療法)
同社は2020年8月にコーネル大学医学部らを中心とする研究グループと、頭頸部がん患者(手術不能で進行性または転移性の頭頸部がん)を対象とした医師主導の第2相臨床試験を実施する契約を締結した。試験内容は、免疫チェックポイント阻害剤及び放射線との併用療法による試験で、予定症例数は最大36例で、安全性と有効性を評価する。コーネル大学では放射線療法とテロメライシンの併用による局所作用としての腫瘍縮小効果に加えて、免疫チェックポイント阻害剤を併用することでの全身性の臨床効果を検証する。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響でまだ、症例登録は始まっていないが、コーネル大学では最初の12例で中間解析及び結果を発表する予定にしている。既存治療法(放射線+化学療法)より良好な結果が得られれば、中外製薬がオプション権を行使して企業治験に切り替えて開発を進めていく可能性がある。

また、国内でも中外製薬がアテゾリズマブと化学放射線療法の併用による第1相臨床試験を新たに計画しており、2021年以降開始する予定となっている。

g) 中国市場での取り組みについて
2020年6月に中国のライセンス供与先であったハンルイとの契約解消を発表して以降、中国・香港・マカオ市場については中外製薬及びその他の大手製薬企業を候補として契約交渉を進めており、2021年内の契約締結を目指している。中国市場でも食道がんや肝細胞がん患者は多く、開発ニーズは大きいと見られる。なお、ハンルイとの契約解消理由については、ハンルイの開発戦略の変更によるもので、テロメライシンの中国での臨床試験は開始されていなかったため、有効性、安全性、製造面での疑義は発生していない。

h) 朝日インテックとの資本業務提携
同社は2020年12月にカテーテル大手メーカーの朝日インテックと資本業務提携契約を締結した。今後、朝日インテックで、テロメライシンを食道がんなどの内臓腫瘍に適切に投与するデバイスの開発を進めていくことになる。従来は、消化器系疾患の内視鏡治療で用いられるカテーテルを使っていたが、今まで治験を実施してきた医師の声として、「多角度からの投与が容易ではない」「一定量以上、複数個所に投与するには技術を要する」「投与終了後のカテーテル内残薬破棄が無駄になる」などといった課題点があげられていた。

同社はテロメライシンを上市後に幅広い医師に利用してもらうため、使い勝手の良い最適なデバイスの開発が必要になると考え、同分野の大手である朝日インテックと資本業務提携を行い、朝日インテックにて開発を進めていくことにした。なお、同デバイスについても医療機器として規制当局からの承認が必要となるため臨床試験が必要となり、時期的にはテロメライシンの上市後になるものと予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)





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