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日本株

アンジェス Research Memo(9):新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発費用増により営業損失が拡大


*15:19JST アンジェス Research Memo(9):新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発費用増により営業損失が拡大
■業績動向

1. 2020年12月期の業績概要
アンジェス
4563の2020年12月期の事業収益は前期比87.8%減の39百万円、営業損失は5,599百万円(前期は3,270百万円の損失)、経常損失は6,618百万円(同3,293百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は4,209百万円(同3,750百万円の損失)となった。新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発費用を中心として研究開発費が増加した。

事業収益については、2019年6月に販売を終了したムコ多糖症VI型治療薬「ナグラザイム®」の売上高170百万円や研究開発事業収益152百万円がなくなったことにより減収となった。2019年12月期第3四半期より販売を開始した「コラテジェン®」の売上高は前期の4百万円から39百万円に増加した。

事業費用では、「ナグラザイム®」の販売終了に伴い売上原価が前期比64百万円減少した一方で、研究開発費が同1,581百万円増加の3,796百万円となった。主には新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発に係る研究材料費や外注費、研究消耗品費等の増加によるものとなっている。なお、同ワクチンの開発費用についてはAMED等からの助成金で賄われることになっているが、プロジェクト契約期間が終了してないことから2020年12月期の業績に反映されておらず、2021年12月期に営業外もしくは特別利益として計上されることになる。

また、販管費についても前期比525百万円増加した。主な増加要因としては、Emendo買収に伴うアドバイザリー費用の計上(約650百万円)により支払手数料が465百万円増加したほか、増資に伴い租税公課が139百万円増加した。

営業外収支が前期比で995百万円悪化したが、これはEmendoにかかる持分法投資損失909百万円を計上したことや、株式交付費用が76百万円増加したことによる。また、前期は特別損失として投資有価証券評価損468百万円を計上したのに対して、2020年12月期はEmendoの株式段階取得に係る差益2,428百万円を計上している。


2021年12月期も、既存開発パイプラインの進展を最重要課題として取り組んでいく方針
2. 2021年12月期の業績見通し
2021年12月期の業績見通しについては、新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発について、今後の臨床試験の規模や実施方法等の詳細な内容が未確定であり、また、国等からの助成金の公募の有無なども含めて現時点では未確定な要素が多いことから、合理的な業績見通しを算定するのは難しく、現時点では未定としている。

事業方針としては、新型コロナウイルス感染症ワクチン及び治療薬の開発推進、Emendoのゲノム編集技術を用いた具体的な開発パイプラインのプロジェクト化、HGF遺伝子治療用製品の国内、米国での臨床試験の推進、腰椎症向けNF-κBデコイオリゴ、並びに高血圧症向けDNAワクチンの臨床試験推進などに取り組んでいく。

2021年12月期から連結対象子会社となるEmendoの業績については、開発パイプラインの進展状況にもよるが、まだ、開発ステージであることから売上計上は無く、年間で10億円以上の営業損失が続くものと弊社では予想している。また、Emendoののれん22,713百万円を今後10年間で均等償却する予定で、2,271百万円ののれん償却額を計上することになる。なお、2020年12月末の連結従業員数は90名で、うちEmendoの従業員数は50名弱となっている。


Emendoの子会社化と新型コロナウイルス感染症ワクチン開発のための助成金計上で総資産が大幅増に
3. 財務状況について
2020年12月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比25,830百万円増加の38,354百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が1,496百万円増加したほか、新型コロナウイルス感染症ワクチン開発費用の前払いにより前渡金が886百万円、「コラテジェン®」の原材料が576百万円それぞれ増加した。固定資産ではEmendoの子会社化により、有形固定資産が186百万円増加したほか、のれんを22,713百万円計上している。

負債合計は前期末比5,205百万円増加の5,674百万円となった。AMEDより採択された「新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発」及び厚生労働省より採択された「ワクチン生産体制等緊急整備事業」に関する助成金が入金され、前受金として3,594百万円計上ししている。また、Emendoを完全子会社化したことに伴う関連費用として、未払金が1,128百万円、新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発に伴い、買掛金が331百万円それぞれ増加した。

純資産は前期末比20,624百万円増加の32,679百万円となった。親会社株主に帰属する当期純損失4,209百万円の計上があったものの、第三者割当増資や新株予約権の発行及び行使により、資本金が11,320百万円増加し、増資及びEmendoを新規連結したことにより、資本剰余金が13,649百万円増加したことが主な増減要因となっている。

なお、同社が2020年3月4日付で発行した第37回新株予約権(第三者割当て)については、株価がその後大きく上昇したこともあって同年4月までに行使をすべて完了している。当初の資金調達想定額は約93億円だったが、その後の株価上昇もあって最終的には約114億円を調達した。調達資金の使途は、海外市場を含めた更なる開発パイプラインの拡充のための資金(45億円)、HGF遺伝子治療用製品の原薬の製造委託費用(16.5億円)及び運転資金(32億円)となっており、余力を持って開発パイプラインの拡充を進めることが可能になったと言える。なお、同社は今後の成長戦略を的確に実施していくための財務戦略の一環として、2021年4月に資本剰余金を取り崩して前期末の繰越損失金15,884百万円を一掃する予定となっている。純資産額そのものは変わらないが、欠損金を一掃して財務体質の健全化を図り、今後の資本政策の機動性及び柔軟性を確保することが狙いとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)





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