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日本株

TKP Research Memo(6):コロナ禍の影響により後退も、新たな需要の取り込み等により足元では回復の兆し


*15:06JST TKP Research Memo(6):コロナ禍の影響により後退も、新たな需要の取り込み等により足元では回復の兆し
■決算概要

2. 2021年2月期の連結業績
ティーケーピー
3479の2021年2月期の連結業績は、売上高が前期比20.6%減の431.38億円、営業損失が24.97億円(前期は63.17億円の利益)、経常損失が23.21億円(同47.52億円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失が35.03億円(同17.39億円の利益)と創業以来初となる減収及び営業損失を計上する結果となった。ただ、重視するEBITDAは30億円超の黒字を確保している。

売上高は、コロナ禍の影響によりTKP本体が大きく落ち込んだ。2020年5月25日の緊急事態宣言解除以降の受注は一旦回復基調にあったものの、第2次緊急事態宣言(2021年1月8日から3月21日)の発出に伴って第4四半期に再失速した。もっとも、コロナ禍の下、ウェビナー案件や試験会場利用での高単価案件のほか、臨時オフィス(期間貸し)など新たな需要が増加傾向にある。一方、リージャス社については、一部大型顧客の解約があったものの、契約期間は1年から1年半が多数であるため、日本・台湾ともに総じて堅調に推移し、業績の下支えとなっている。

損益面でも、コロナ禍の影響を受けたTKP本体については、新規出店の抑制や全社的な費用削減(特に人件費)に取り組んだものの、急激な売上高の減少に伴って固定費負担(地代家賃や減価償却費等)が重荷となり22.26億円の営業損失を計上した。一方、日本リージャス社は1.60億円の営業利益、EBITDAでも32.55億円の黒字を確保したほか、台湾リージャス社についてはのれん償却費等の計上により4.31億円の営業損失、EBITDAでは5.40億円の黒字となっている。

財政状態については、「現金及び預金」を大幅に増やした一方、固定資産の売却や退店等に伴う「敷金及び保証金」の減少により、総資産は前期末比0.5%減の1,169.46億円と僅かに減少した。一方、自己資本は「親会社株主に帰属する当期純損失」の計上により、同6.9%減の332.20億円と減少し、自己資本比率は28.4%(前期末は30.4%)と若干低下した。ただ、手元流動性は「現金及び預金」(約150億円)や調達枠を含めて約310億円を確保しており、支払い能力に懸念はない。また、2021年2月には今後の事業拡大に向けた資金確保を目的として新株予約権(発行時点での想定調達金額は合計約200億円)を発行している(詳細は後述)。

連結業績の主な内訳は以下のとおりである。

(1) TKP本体(日本及び台湾リージャス社を除く)の業績
TKP本体の業績は、売上高が前期比40.0%減の247.21億円、営業損失が22.26億円、EBITDAが7.22億円の赤字と大きく後退した。コロナ禍によるイベント開催自粛の動きを受けて貸会議室や宴会場の予約キャンセルが多く発生したことや新規予約の減少が影響した。四半期ごとの推移で見ると、第3四半期に一旦回復に向かったものの、第2次緊急事態宣言の発出に伴って第4四半期に再び失速する流れとなった。サービス別では、主力の「会議室料」に加え、「料飲」※1も大きく落ち込んでおり、重視するKPIである「坪あたり売上高」の低下をもたらした。もっとも、コロナ禍の下、ウェビナー案件や試験会場利用の高単価案件が増加しており、足元の「坪あたり売上高」は回復基調にある。また、「会議室料」の中身を見ると、オフィス環境の見直しが進むなかで、大手企業を中心にサテライトオフィス需要が拡大しており、その結果、期間貸し※2の構成比が50%を超える水準となってきたところは注目すべき変化と言える。損益面でも、売上高の減少を見込み、人件費等を中心にコスト削減に努めたものの、売上高の急激な落ち込みにより損益分岐点を確保することはできず、営業損失を計上した。2021年2月末の施設数は、出店12、退店46のほか、エスクリの共同ブランド「CIRQ」を24開設したことにより251拠点(総面積は約14.2万坪)となっている。

※1 料飲部門は既に縮小し、外注に切り替えている。
※2 2021年2月期の会議室料のうち、1)1ヶ月超が19.5%(前期は3.2%)、2)2週間超が2.5%(同1.8%)、3)2日以上が31.0%(同39.3%)となっており、とりわけ1ヶ月超が大きく増加している。また、1)~3)を「期間貸し」と定義すると合計53.0%(前期は44.3%)となり、50%を超える水準となっている。


(2) 日本及び台湾リージャス社の業績
日本リージャス社の業績は、売上高が172.98億円、営業利益が1.60億円、EBITDAが32.55億円の黒字となった。新規出店の影響※や一部大型顧客の解約により稼働率(全体平均)が若干低下したものの、契約期間は1年から1年半が多数であるため、総じて堅調に推移している。足元の稼働率(全体平均)は75%程度(前期は80%超)で推移しているが、減少傾向から底を打ち、改善に向かっている。損益面でも、買収に係るのれん償却費や出店費用を賄いながら営業利益を確保した。2021年2月末の施設数は、出店9、退店3により162拠点(総面積は約4.0万坪)となっている。

※リージャスにおける新規出店分については、本格稼働(稼働率80%超)までに時間(1年半以上)を要するため、しばらくは全体の稼働率を下げる要因となる。


一方、台湾リージャス社の業績は、売上高が11.18億円、営業損失が4.31億円、EBITDAが5.40億円の黒字となり、こちらも堅調に推移している。営業損失を計上した要因は、買収に係るのれん償却費の計上やグループ化後で初となる大規模施設※の出店費用等による。2021年2月末の施設数は、出店1により14拠点(総面積は約0.7万坪)となっている。

※ITビジネスやサイエンスパークとして開発が進む台北市において、子会社後初となる大規模施設「SPACES HONGWELL(ホンウェル)」をオープンした。


3. 2021年2月期の総括
以上から、2021年2月期を総括すると、コロナ禍の影響により、これまで順調に拡大してきた業績が一旦後退した点については厳しい結果と言わざるを得ないが、同社の事業モデル自体の優位性が失われたことを示すものではないと弊社では見ている。特に、リージャスとの複合的な収益構造が業績の下支え(EBITDAの黒字を堅持)として実証されたことに加え、迅速なコスト削減(事業の選択と集中)や需要変化への対応(ウェビナー案件・試験会場の利用拡大、期間貸しの販売強化等)を進めたこと、十分な運転資金の確保を図ったところは、同社のリスク対応力の高さを示すものとして評価している。また、コロナ禍をきっかけとして、サテライトオフィス需要が想定よりも早く顕在化してきたことについても、今後の成長加速に向けてプラスの材料と言えよう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)



《YM》

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