*15:04JST Pウォーター Research Memo(4):投資回収型ストックビジネスモデルが特徴。損益分岐点を超え利益率向上が加速
■会社概要
5. ビジネスモデル
プレミアムウォーターホールディングス2588のビジネスモデルの特徴は「投資回収型ストックビジネスモデル」である。ウォーターサーバーの原価やデモンストレーション販売の人件費、催事場代、販売店への販売手数料などの費用は先行して発生し、これを会社側が最初に負担する。1顧客を獲得するためのコストは33千円前後と試算できる※。この先行投資を、その後数年かけて天然水の売上で回収していく。もちろん一定の解約が発生するため永遠には続かないが、解約率1.5%と仮定すると、60ヶ月目で40.4%(フィスコ試算)が継続する。定期配送契約を結ぶため、ストック利益(毎月の水代などから得られる収入から顧客維持コストや提供サービスの原価などを除いた利益分のこと)は安定して獲得できる。つまり単純化すれば、33千円の先行投資をして、毎月少しずつ投資分を回収し投資回収が終われば利益のみとなる。新規顧客を一気に増やす時期は損失を計上することになるが、その後回収が進んでくると大きく利益を計上できるという事業特性である。2016年7月の経営統合以来、同社は新規顧客獲得のギアを上げて先行投資してきたが、2019年3月期はその成果として保有顧客数が拡大し損益分岐を超えたため、利益がV字回復し、その後も利益率を向上させている。
※2020年3月期の有価証券報告書より、契約コスト償却費(2,705,394千円)、従業員及び役員に対する給付費用(4,961,930千円)、販売手数料(3,719,328千円)、合計11,386,652千円。月次概況(速報)より、2020年3月期の新規獲得顧客数349,487件から計算。
新規顧客獲得に加え解約率の抑制に成功し保有契約件数122万件に到達
6. 保有契約件数の推移
同社はKPI(重要業績評価指標)として保有契約件数を設定し進捗を管理している。2016年7月の経営統合前に23万件だった保有契約件数は、統合直後に39万件となり、その後も安定して右肩上がりに伸び、2021年3月末には122万件に達している。直近の2年間の平均では、月平均で約1.7万件ずつが純増したことになる。純増の要因は、新規契約件数と解約数に分解できる。これらのデータは現在開示されていないが、新規契約ペースが解約ペースを絶えず上回るため、安定して純増することができる。解約率を低く抑えることに成功している要因としては、クレジットカード決済顧客を中心に顧客開拓を行うほか、プレミアムモールやプレミアム電力など様々な付加サービスにより顧客満足度を高めたことなどが挙げられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
《NB》
当コンテンツはFISCOから情報の提供を受けています。掲載情報の著作権は情報提供元に帰属します。記事の無断転載を禁じます。当コンテンツにおけるニュース、取引価格、データなどの情報はあくまでも利用者の個人使用のために提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。当コンテンツの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。提供されたいかなる見解又は意見はFISCOの見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。情報内容には万全を期しておりますが、保証されるものではありませんので、万一この情報に基づいて被ったいかなる損害についても、弊社および情報提供元は一切の責任を負いません。 【FISCO】