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日本株

日産東HD Research Memo(6):下期に向けて回復ピッチが鮮明


*15:06JST 日産東HD Research Memo(6):下期に向けて回復ピッチが鮮明
■業績動向

1. 2021年3月期の業績
日産東京販売ホールディングス
8291の2021年3月期の業績は、売上高140,443百万円(前期比8.3%減)、営業利益3,445百万円(同20.8%減)、経常利益3,101百万円(同22.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,638百万円(同27.1%減)となった。同グループが発足して10年経過したが、これまで営業利益率はおおむね3%前後で推移していた。2021年3月期はコロナ禍によりやや低下したが、それでも2%台半ばを維持することができた。

2021年3月期(4月~3月)の全国新車販売台数は、コロナ禍の影響などにより前期比7.6%減となった。同社が地盤とする東京都内の新車販売台数は、緊急事態宣言の発令などもあり、同12.1%減と全国に比べて厳しい結果となった。そのような状況の中、同社の新車販売台数は同9.0%減(販売実績26,190台)となり、すべての四半期において都内を上回った。同社の強みが発揮された結果と言えよう。

同社はコロナ禍において、衛生管理を徹底した上で店舗運営を継続、販売台数の回復に取り組んだ。第1四半期、特に緊急事態宣言のあった4月~5月は、店舗の営業時間や人員体制を絞ったが、何よりも新車を買おうという顧客のモチベーションが大きく低下していた。こうした非常に厳しい状況の中、同社は社会的責任ともいえるメンテナンスを着実にこなしたが、それでも非常に厳しい業績となった。しかし、業況は第2四半期に回復に動き出し、第3四半期には前年同期に消費増税の反動もあるが増益に転じ、第4四半期は利益水準がさらに押し上がって、下期の受注は例年並みに戻った模様である。また、怪我の功名かもしれないが、コロナ禍で同社の効率化が進んだ。テレワークの普及などが背景になっていると思われるが、リモート商談が増えたこと、顧客がインターネットや雑誌で事前に知識を得てから来店するため来店買上率が高まったこと、従来土日に集中していた商談が平日へと分散が進んだことなどである。利益面では、ノートやキックス、ルークスといった下期に投入された新型車を中心に販売が回復したことで採算が改善し、減益幅が縮小した。また、中古車は新車が動き出したことで相場・台数ともに回復し増益に貢献、一方、整備事業は安全装備を搭載した車の増加などもあり事故修理が少なくなった。

事業別では、自動車関連事業が売上高133,295百万円(前期比7.8%減)、セグメント利益(営業利益)3,766百万円(同16.8%減)、情報システム関連事業が売上高6,823百万円(同17.2%減)、セグメント利益364百万円(同34.2%減)、その他が売上高323百万円(同0.9%減)、セグメント利益129百万円(同1.5%減)となった。

自動車関連事業では、新型車や電気自動車「リーフ」、引き続き好評を得ている「セレナ」・「デイズ」を中心に、新車販売台数の拡大に取り組んだ。このため下期に向かって新車販売台数が回復、中古車販売も好調に転じ、整備事業も車検整備の入庫台数が前年超えとなった。この結果、上期からの減収減益幅は縮小した。そのような状況の中、EV普及に向けて急速充電設備(50Kw設備100基)を充実、2020年6月に電気自動車「リーフ」の累計販売台数が6,000台を超え、同年12月にはプロパイロット搭載車累計28,000台に達するなど、環境に取り組む同社の意欲が顕在化した。情報システム関連事業は、データセンターなどのマネージドサービス事業が堅調に推移、販管費も削減したが、コロナ禍でハードウェア、ソフトウェア、導入支援サービスといったフロー案件が減少した。その他の事業である不動産事業では、外部顧客への賃貸契約が一部終了した影響があった。


コロナ禍から回復を期待する一方保守的な見通し
2. 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期の業績見通しに関して同社は、売上高145,000百万円(前期比3.2%増)、営業利益4,000百万円(同16.1%増)、経常利益3,500百万円(同12.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益2,000百万円(同22.1%増)を見込んでいる。

コロナ禍の長期化に加え、世界的な半導体不足の影響などが懸念され、景気動向は不透明な状況にある。このため、販売台数の回復傾向は続くものの、コロナ禍前の2020年3月期の売上高には届かない予想となっている。新車販売については、日産自動車の進める「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」の取り組みのもと、EVやe-POWER搭載車など新型車を中心に、ニーズに合わせた提案型営業による付加価値販売を継続する方針である。特に、2021年中頃に発売予定の日産自動車初のクロスオーバーEVの「アリア」は、「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」のイメージリーダーカーともいえ、「技術の日産」の象徴として非常に期待値が高い。しかし、こうした新型車の販売については大きく織り込んでいない模様である(当然ながら、発売日の決まらない新型車については織り込んでいない)。利益面では、販売効率の向上に取り組んで利益の拡大を目指す一方、期中7月に日産販売会社3社の統合を予定している。効率化やシナジー、スケールメリットといった統合効果を背景に、顧客の利便性の向上を図る方針だ。なお、統合に伴ってリソースの再配分を行い、WebやSNSによる情報発信やビッグデータの分析による販売の効率化などサービスのDX推進へ振り向ける計画である。以上に加え、ワクチン普及への期待も含めると、やや保守的な予想になっているようだ。


中長期的に同社が描いていた成長トレンドに戻ると予想
3.中期成長イメージ
中期経営計画は、コロナ禍のため致し方ないが、当初の成長イメージから大きく逸れた。しかし、日産自動車は「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」を背景に、EVやe-POWER搭載の新型車を多数市場投入する上、プロパイロットやe-4ORCEといった先端技術を実用化するなど積極経営を進めている。さらに、ガソリン車廃止の流れなど「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」自体に追い風が吹いている。同社も、2021年3月期業績へのコロナ禍の影響を最小限にとどめ、2022年3月期は保守的な見通しだが積極経営により業況回復が見込まれるが、中期経営計画の目標数値の修正は必要になるかもしれない。しかし、コロナ禍は強烈だが一時的要因と考えることもでき、基本的な成長戦略を変更する必要はないと考える。そうであれば、中長期的に、同社が元々描いていた成長トレンドへと戻っていくことが予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



《AS》

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