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日本株

日本電技 Research Memo(2):ビル空調や産業システムを手掛ける「計装エンジニアリング専業企業」


*15:12JST 日本電技 Research Memo(2):ビル空調や産業システムを手掛ける「計装エンジニアリング専業企業」
■会社概要

1. 会社概要
日本電技
1723は、オフィスビルを始め、ホテル、病院、工場など大型の非居住用建築物を対象に空調設備を自動制御する空調計装(ビルディングオートメーション)の分野、及び工場の生産ラインや搬送ラインの自動化といった産業計装(インダストリーオートメーション)の分野において、設計から施工、メンテナンスまでを手掛ける「計装エンジニアリング専業企業」である。特に主力の空調計装は、自動制御機器大手であるアズビルの最大手特約店として、また、業界の草分け的な存在として、豊富な実績とノウハウを誇る。さらに、業界をリードする高いエンジニアリング技術を持っていることから、「計装エンジニアリング専業企業」としての強みも発揮している。なお、計装エンジニアリングによって建物の快適性や生産の効率性を支えることは、省エネを通じて地球環境に貢献していると言うこともできるため、同社の事業そのものがESGの観点から評価できるといえる。同社は、空調計装のノウハウをベースに産業計装の事業領域にも参入しているが、その強化拡大に向けて、2020年4月に食品工場向け生産管理システムの構築を行うジュピターアドバンスシステムズを連結子会社化した。計装のみならずシステム開発まで含めて顧客ニーズに対応していこうという考えである。


計装専業がゆえに培われたエンジニアリング技術
2. 沿革
山武計器(株)(現アズビル)が、1952年に米国有数の制御機器メーカーであるハネウェル
HONと資本提携契約を締結、国内で空調制御機器の輸入販売を開始した。しかし、計装機器を据え付ける計装工事会社が世の中にほとんどなかったことから、島田七良氏ほか当時の創業メンバーは、空調計装事業の発展を確信して同社を設立、「エレクトリック技術で日本一を目指す」という志を込めて日本電技株式会社と名付けた。このようにして同社は、1959年に空調自動制御の設計から施工、調整、保守までを一貫して行う、日本初の空調計装専業企業としてスタートした。以来、同社は、アズビルと協働して空調計装業界をリードするとともに、計装専業がゆえに培うことができたエンジニアリング能力を空調以外の分野に展開、業容を拡大しているところである。


空調計装はアズビル特約店で7割以上のシェア、産業計装は未開拓
3. 市場環境
ビル空調は、個別空調とセントラル空調に分けられる。個別空調は、例えば雑居ビルのように1室ずつエアコンを置いて管理する手法で、ダイキン工業
6367や日立製作所6501といった巨大メーカーが中心プレイヤーである。セントラル空調は、ビル全体の空調を建物の特定箇所で一元管理(中央監視)する方法で、大掛かりになるため空調機器メーカーとサブコン※、同社のような空調をコントロールする空調計装企業の3者が一体となってバリューチェーンを形成している。個別空調は比較的小さなビルやホテルなどの小部屋を得意とし、セントラル空調は中~大型のビルやロビーなど大空間を得意とする。空調計装の市場規模は1,660億円と言われ、その7割以上をアズビルと同社を含むアズビル特約店が占めている。このため空調計装は、事実上、アズビル製の機器が業界スタンダードとなっている。また、アズビル特約店の中で、同社は唯一エンジニアリング部門を有する専業企業というポジションにあり、自他ともに認める高い技術力を誇る。

※大型ビルの建設工事の全体をプロデュースするゼネコンから空調や電気、衛生関連設備といった工事を特化して請負う設備業者。


空調計装の市場は、ビルや工場などの建設時に売上の立つ新設工事と、その後のメンテナンスやリニューアル工事など年々収益が積み上がる既設工事の2つに大別できる。近年の傾向として、建物個別の仕様・用途に合わせた空調設備の導入が求められるようになり、案件それぞれにカスタマイズできる技術力が必要とされる。例えば、病院の空調計装は精度に厳しく、温度管理はもちろん空気清浄と院内感染防止の観点から適切な湿度管理が要求される。特に、手術室には厳しい空調の基準が設けられており、換気差圧を利用して空気の清浄性を高める空調制御などが必要とされる。このほか、研究施設やクリーンルーム、美術館など、空調制御の技術が利用されている施設は数多い。ちなみに、収益性は新設工事に比べると既設工事の方が高く、元請となった場合さらに条件が良い。但し、東京オリンピック・パラリンピック~都心再開発に向けた建設ラッシュを機に、新設工事の採算も改善傾向にあるようだ。

生産ラインや工場全体の自動化をコントロールするのが産業計装である。製造メーカーでは、人手不足やコスト削減の対策として、自動化・スマート化などによって工場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めているところが多い。なかでも、食品・薬品・化粧品は他の産業と比較して人手に依存する現場が多く、今後の人手不足を考えると自動化・スマート化の余地は大きい。特に、食品製造業では、製造業の中で最も従事者数が多く、人手に頼る割合が高い。そのため自動化や機械化への関心が高いが、自ら自動化・スマート化するノウハウがない上、同社のようなラインや工場全体の自動化・スマート化を推進してくれる企業はまだ数が少なく、市場は未開拓といえる。同社はこうした市場に照準を合わせているが、ジュピターアドバンスシステムズの子会社化を機にシステム開発も同時に請け負うことができるようになり、「産業計装関連事業」から「産業システム関連事業」に事業名称を変更、市場開拓に打って出る体制を整えた。


「計装」と「エンジニアリング」を併せ持つ企業は少ない
4. 「計装エンジニアリング」という強み
計装とは、ビルや工場における空調や生産ラインなど各種の設備・機械装置を、計測・監視・制御の手法によって有機的に連携・機能させることである。例えば、ビル空調計装であれば、「最少のエネルギーで快適な環境を実現する」技術と位置付けられ、温度・湿度・圧力などを計測してその情報を監視し、一定の環境を維持するために機器を制御しながら設備全体をコントロール、快適性や省エネ化を実現する。計装技術は近年、省エネ化に必須の技術として注目され、最新のIT技術を用いた計測・監視システムが開発されたり、「地域冷暖房」のコア技術として利用されたりするなど進化を続けている。一方、エンジニアリングとは、部分最適に陥りがちな設備・機械装置を、ユーザーにとって全体最適化する技術を指す。こうした「計装」と「エンジニアリング」の機能を併せ持つ企業は少なく、「計装エンジニアリング」という技術自体が同社の強みとなっている。また、前述したように、空調計装は主要プレイヤーがある程度市場のポジションを固めているが、産業計装では、工場に生産設備等を納入するメーカーなどが対応することが多く、工場全体を最適化する視点で提案はできない。同社は強みである「計装エンジニアリング」技術を生かし、さらにシステム開発能力を身につけ、特にこうした課題の多い食品分野の中小零細工場の生産ラインをターゲットに事業拡張を図っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)





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