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アクセル Research Memo(3):パチンコ・パチスロ機向けファブレス半導体企業から先端テクノロジー企業へ(2)


*15:23JST アクセル Research Memo(3):パチンコ・パチスロ機向けファブレス半導体企業から先端テクノロジー企業へ(2)
■アクセル
6730の事業概要

2. 事業セグメント
(1) LSI開発販売関連
「LSI開発販売関連」セグメントでは、パチンコ・パチスロ機向けG-LSIの開発販売を中心に、メモリモジュールやLEDドライバ等周辺デバイスの開発販売を行っているほか、産業機器などの組み込み機器用G-LSIの開発販売も行っている。なお、2022年3月期より組み込み機器用G-LSIについては「新規事業関連」セグメントに移管する予定だ。2021年3月期の売上構成比を見ると、パチンコ・パチスロ機向けG-LSIが約34%、周辺デバイスが約64%、組み込み機器用G-LSIが約2%の構成となっている。

同社のパチンコ・パチスロ機向けG-LSIの特徴は、比較的廉価なCPUとの組み合わせでも高精細な描画表示を実現する能力を有していることにある。また、画像ロムに格納された圧縮画像データを瞬時に伸長して高速表示するほか、多彩な演出を可能とする多彩なエフェクト機能も搭載している。パチンコ・パチスロ機向けG-LSIについては、このような特定用途に特化した技術が必要となるほか、設計プロセスの微細化、回路規模の大型化により研究開発費が増大する傾向にあるため参入障壁も高い。競合企業としてはヤマハ
7951等がある。

なお、パチンコ・パチスロ機向けG-LSI市場では、リユース(再使用)品が一定規模で使われており、機器の出荷台数とG-LSIの需要が必ずしも連動しない点には注意する必要がある。これはパチンコ・パチスロ機に搭載される部材の品質が複数回の繰り返し利用でも問題ない水準であることに加えて、パチンコ・パチスロ機メーカーがコスト削減のためにリユース品を使う動きが広まったことが背景にある。パチンコ・パチスロ機メーカーはリサイクル業者を介して、または直接パチンコホールなどから部材を回収して再利用している。リユース率はパチンコ・パチスロ機メーカーのコスト削減施策の動向に影響を受けるが、年間需要のおよそ3〜4割程度がリユース品になっていると推定される。また、G-LSIの世代後半期にはリユース率が高まり、次世代品の販売開始とともにリユース率も下がる傾向にある。

同社はファブレスメーカーのため、半導体の製造に関してはすべて外部に委託している。G-LSIについては「AG5」までルネサスエレクトロニクス
6723を始めとした国内半導体メーカーをメインに製造委託してきたが、次世代品の「AG6」については海外の大手ファンドリーメーカーに製造委託している。最先端の微細回路技術を低コストで量産できるためだ。このため、「AG6」の仕入れについては為替の影響を受けることになる。一方、販路については専門のエレクトロニクス商社を通じてパチンコ・パチスロ機メーカーに販売している。

なお、同社は研究開発型のファブレスメーカーであるため、売上高に占める研究開発費率が高いという特徴がある。特に、2016年3月期以降は「AG6」の開発を本格的に開始したことや、演出用の周辺LSIなどその他LSIの開発も強化してきたことで研究開発費の水準は年間20億円以上で推移し、この間の収益圧迫要因ともなっていた。「AG6」の開発が終了した2020年3月期以降は15億円前後の水準に低下している。なお、後継品の開発についてはパチンコ・パチスロ機市場そのものが縮小傾向となっているだけに、従来以上に経済合理性を慎重に検討していく方針としている。

(2) 新規事業関連
「新規事業関連」セグメントとして、機械学習/AI、ミドルウェア製品、ブロックチェーン、セキュリティ領域にターゲットを定めて事業の育成に取り組んでいる。同社がLSI開発販売関連事業で培ってきたアルゴリズム・ハードウェア・ソフトウェア開発のノウハウを今後の高成長が見込める新規事業領域に展開していくことで、事業拡大を図っていく戦略となっている。まだ、いずれの領域も売上規模は小さく、先行投資段階と位置付けられる。

(3) 機械学習/AI
機械学習/AI分野では、独自開発したエッジ推論向けディープラーニング・フレームワーク「ailia」を中核に展開している。「ailia」の特徴はクロスプラットフォームに対応しているほか、GPUの積極活用により推論処理スピードで世界最高水準の性能を実現していることにある。AIシステムの構築には、「学習(ディープラーニング)」と「推論」の両プロセスが必要となるが、国内では推論フレームワークを持つAI事業者が少なく、GoogleやFacebookなど海外の大手プラットフォーマーのエンジンを利用して、自社のディープラーニング・フレームワークと組み合わせて開発しているケースが多い。同社の推論フレームワークは、海外大手と同水準かそれ以上の高速処理性能を持っていることが、他のAI開発事業者との差別化要因となる。両フレームワークを自社で持つことにより、あらゆる顧客の要望に対して柔軟に設計変更を行うことが可能なことも強みとなる。特に、推論に特化したディープラーニング・フレームワーク「ailia SDK」を活用することで、AI開発における工数削減にも寄与することから、引き合いが増えている。

(4) ミドルウェア製品(AXIP)
ミドルウェア製品では、主にゲーミング市場向けに画像及び音声圧縮技術を中心としたミドルウェア「AXIP」シリーズの開発販売を行っている。製品としては、ムービーミドルウェアの「H2MD」※1や超解像「GRADIA(グラディア)」※2、低負荷・低遅延を実現したサウンドミドルウェア「C-FA(シーファ)」、HDR対応超高圧縮ムービーミドルウェア「LESIA(リーシャ)」、ファイルパッキングミドルウェア「VUCKET(バケット)」※3、カジノ・アーケードゲーム向けムービーミドルウェア「AXVC」などを揃えており、業界最高水準のミドルウェアを多機能パッケージとして販売することで付加価値を向上している。企業・アプリごとに固定または売上連動型のロイヤリティ収入を得るビジネスモデルとなる。

※1 ブラウザで動画を再生できる動画コーデックライブラリで、複数動画の同時再生や透過レイヤー(動画の重ね合わせ)制御が可能なこと、CPUの負荷が少ないことなどが特徴となっている。
※2 超解像とは、ディスプレイに表示される文字や絵などを拡大した時に、通常はジャギー状(ギザギザ状)になってしまう輪郭部分を滑らかで自然な状態に補正する技術
※3 自動実行型の圧縮ファイル・ソフトウェア、VUCKETは画像・音声等の大容量ファイルを一つにまとめる機能だけでなく、ファイルの破損チェックや暗号化等にも対応している。


(5) セキュリティ製品
セキュリティ分野では、暗号技術を用いたソリューション「SHALO」をUSBドングルに搭載して2020年9月より販売を開始している。アプリケーションライセンスやログイン認証機能をセキュアな状態で管理でき、Windows等のアプリケーション起動時の認証用、GoogleやFacebook等のログイン用、PDFの暗号化等で需要を見込んでいる。現在、同様のセキュリティ製品は外資系製品しかなく、同社は高い安定性や利便性、国内生産による信頼性などを差別化ポイントとして販売していく戦略となっている。

(6) ブロックチェーン
ブロックチェーン分野では2018年に子会社化した(株)VIPPOOLのブロックチェーン技術を活用し、ブロックチェーン・ソリューションの開発支援、インフラ(製品・サービス)の提供を行っている。また、暗号通貨のマイナーに対してマイニングハードウェアの開発・販売※も2020年3月より開始している。

※モナコイン(Lyra2rev2)を含むマルチハッシュ対応の暗号通貨が対象。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)





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