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日本株

新晃工業 Research Memo(7):東京オリ・パラ需要の端境期となった


*16:07JST 新晃工業 Research Memo(7):東京オリ・パラ需要の端境期となった
■業績動向

1. 2021年3月期の業績
新晃工業
6458の2021年3月期の業績は、売上高39,177百万円(前期比11.5%減)、営業利益6,565百万円(同27.1%減)、経常利益6,997百万円(同26.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益5,021百万円(同16.3%減)となった。国内経済は、コロナ禍による東京オリ・パラの延期や2度の緊急事態宣言の発令により、通期にわたって非常に厳しい環境となった。公共投資は堅調に推移したものの、民間設備投資は慎重な姿勢が見られ、一部で事業計画が見直されるなど、先行きは依然として不透明な状況が続いている。空調機業界においては、コロナ禍に加えオリ・パラ関連の需要が一段落したことから、空調機の全国出荷台数が前期比で約18%も減少するという厳しい状況であった。

同社は、こうした事業環境下において空調機器と空調工事の戦略受注、空気中の細菌やウイルスを除去する「健康空調(R)」シリーズの製品拡充に注力するとともに、SIMAプロジェクトの第1フェーズとして、製品組立工程に従来の「セル生産方式」に加え「ライン生産方式」を導入した。個別受注への対応と生産効率の改善を両立することで、価格競争や原材料価格・労務費の上昇によるコスト高騰などに対応する考えだ。この結果、売上高は前期比11.5%減となり、利益面では、選別受注や派遣などのコスト管理を強化したものの人件費単価が上昇、業態特性上固定費的な側面が強い販管費も大きく減じることができず、営業利益は同27.1%減となった。ただし、更新物件を中心に需要が堅調に推移、戦略受注も奏功し、工事遅延などコロナ禍による需要減少を想定より圧縮できた。このため、収益は四半期ごとに改善、期初計画に比べて売上高で877百万円、営業利益で1,615百万円の超過達成となった。

セグメント別では、日本は、東京オリ・パラ後の需要の端境期に入ったことに加え、コロナ禍の影響から宿泊施設や店舗などの着工が大きく減少し、売上高は33,913百万円(前期比12.8%減)となった。一方、戦略受注の効果はあったものの販売減少の影響が大きく、セグメント利益(営業利益)は6,608百万円(同26.9%減)となった。アジアは、主力の中国で固定資産投資が持ち直し、採算性を重視した販売戦略への切り替えや原価管理の強化などによって営業体制が改善した。売上高は5,263百万円(同1.8%減)と微減にとどめたものの、貸倒引当金の増加によりセグメント損失(営業損失)が89百万円(前期セグメント損失59百万円)となった。


競争激化や人手不足を保守的に想定
2. 2022年3月期の業績見通し
同社は、2022年3月期の業績を売上高41,500百万円(前期比5.9%増)、営業利益5,200百万円(同20.8%減)、経常利益5,600百万円(同20.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,800百万円(同24.3%減)と見込んでいる。国内経済に関しては、コロナ禍に対して様々な防疫措置が実施され、特にワクチン接種の普及によって収束に向かうものと期待されているが、依然再拡大の懸念も残るため、抑制された状況が続くと考えられている。また、生産年齢人口の減少ペースが徐々に速まり、施工現場や生産現場などにおける労働者不足がより深刻度を増してくると予測されている。

こうした厳しい事業環境認識において、同社は引き続き、設備更新計画の見送りとそれに伴う価格競争の激化、人手不足による人件費単価の上昇などを懸念しているもようである。とはいえ、2021年3月期の更新物件の堅調な需要や戦略受注活動の実績に加え、売上高が増加に転じることで固定費率が抑制されること、駅前再開発プロジェクトが続々立ち上がっていること、さらにはSIMAプロジェクトに沿って営業統括本部を新設して情報や命令系統の一元化を図ったこと、小口案件やヒートポンプ空調機、「健康空調(R)」の営業を強化していること、などを考慮すると、同社の予想はやや保守的と言えるだろう。


射程圏といえる「move.2025」目標数値
3. 中期成長イメージ
同社は、2022年3月期は需要の端境期やコロナ禍による景気減退の影響が残るものの、2024年3月期に東京や大阪を中心とした大型の駅前再開発などにより、新築市場向けAHUが回復すると見込んでいる。また、2026年3月期頃からは納入後20年以上が経過したAHUの更新需要を予想している。このため中期経営計画「move.2025」では、SIMAプロジェクトによるデジタル化・自動化を推進することで、労働集約的な営業・生産体制からビジネスモデルのバージョンアップを図り、日本では、基盤事業のAHUの競争力の維持、ヒートポンプ空調機のシェア拡大、工事事業の拡張、中国では、継続的な利益確保を進めるというシナリオとなっている。中長期的な事業環境を冷静に分析したシナリオであると言うことができる。2022年3月期の同社予想や中期的な駅前再開発の貢献についてはやや保守的な前提と思われる部分もあり、中期経営計画「move.2025」で目指す同社の目標数値は十分射程圏にあると考えられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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