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日本株

テノックス Research Memo(7):大型案件に注力したことで工事利益率が改善


*15:17JST テノックス Research Memo(7):大型案件に注力したことで工事利益率が改善
■業績動向

1. 2022年3月期の業績動向
テノックス
1905の2022年3月期の業績は、売上高14,817百万円(前期比6.9%減)、営業利益466百万円(同51.0%増)、経常利益516百万円(同55.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益357百万円(同106.5%増)と減収増益となった。期初計画比では、売上高で3,183百万円、営業利益で214百万円、経常利益で184百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で43百万円の未達だった。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を2022年3月期初から適用しており、適用する前と比べて売上高で470百万円減少している。

日本経済は、度重なるコロナ禍の拡大により社会生活や経済活動に制約を受けたものの、ワクチン接種の進展などにより緩やかながらも回復に向けた動きが見られるようになった。しかし、原材料価格の高騰やウクライナ情勢などの影響により先行き不透な状況にもなっている。建設業界は、住宅投資が底堅く民間設備投資が持ち直し傾向にある。また、補正予算執行により公共投資が堅調に推移するなど、総じて回復基調にあった。しかし、先行き不透明感から中小規模の案件を中心に受注競争が激化して受注単価が下落、建設資材や燃料などの価格上昇もあって、業界環境は厳しい状況にある。

このような環境下、同社は中期経営計画の初年度として、「設計提案から施工までの一貫体制の強化」と「顧客のニーズに応える付加価値の創出」に取り組むとともに、ESG経営を推進した。コロナ禍に関しては、一部の民間案件で着工時期の遅れがあったものの、施工において万全の予防体制を整備したため、結果的に大きな影響は生じなかった。また、建設資材の価格上昇に関しては、特に高騰している鋼材の価格転嫁を進めるとともに、提携先の日本ヒュームや日本コンクリート工業、子会社化した広島組のノウハウを活用して、鋼管杭からコンクリート杭へ提案の幅を広げている。

2022年3月期の売上高は、大阪湾岸道路の土木杭工事や民間の大型物流施設の建築杭工事、大型火力発電所の地盤改良工事などが寄与したものの、地盤改良工事の中小案件の受注件数が減少したこと、「収益認識に関する会計基準」の適用などに伴う杭材料の売上高が圧縮されたことから減収となった。営業利益については、建設需要の先行き不透明感から競争環境が厳しかったうえ人員増などにより販管費が増加したが、大型工事へシフトしたことで工事利益率が改善したため増益を確保した。期初計画との比較では、売上高の未達は、予定していた大型工事の受注遅れや複数の工事の完成時期の後ズレが要因で、営業利益の未達は、工事利益率の改善や販管費の抑制は進んだものの、完成工事の遅れに伴う完成工事総利益の減少や設計・解析業務の受託減が要因である。

セグメント別の業績は、建設事業が売上高14,428百万円(前期比5.9%減)、セグメント利益492百万円(同87.5%増)、土木建築コンサルティング全般等事業が売上高365百万円(同33.0%減)、セグメント損失33百万円(同75百万円減益)、その他の事業が売上高23百万円(同横ばい)、セグメント利益6百万円(同66.9%増)となった。建設事業は、民間物流施設の建築杭工事や電力施設の地盤改良工事が売上に寄与したものの、杭材料の売上圧縮や中小案件の地盤改良工事の受注減、一部工事の着工時期の遅れなどにより減収となった。営業利益は、売上減や競争激化の一方、大型工事を中心に工事利益率が改善したことで増益となった。土木建築コンサルティング全般等事業は、主に解析業務の受託件数が減少したことにより減収減益となった。その他の事業は、2020年3月期に開始した不動産賃貸が順調に推移した。

建設事業のうち土木杭工事は、「大阪湾岸道路西伸部六甲アイランド高架橋下部工事」などが完成し、工事利益率も改善して増収増益となった。建築杭工事は、「(株)ベルーナ吉見ロジスティクスセンター増築工事」や「千客万来施設(6街区)新築工事」はあったが、前期に寄与した「東京レールゲートEAST整備事業」の反動により減収減益となった。地盤改良工事は、低採算の中小地盤改良工事の売上高は落ちたが、「五井火力発電所 発電設備建設工事」(履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識している工事)が寄与し、工事利益率も改善したため増収増益となった。商品その他は、「収益認識に関する会計基準」の適用により、在庫を持たない鋼管杭の販売は売上と認識しないことになり減収となったが、取扱高への影響が限定的で増益を確保した。海外事業は、ベトナムでロックダウンの影響が大きかったが、大型物件が2件完成したことにより増収増益となった。


競争激化や資材価格の高騰など厳しい環境を想定
2. 2023年3月期の業績見通し
同社は2023年3月期の業績見通しについて、売上高17,500百万円(前期比18.1%増)、営業利益450百万円(同3.5%減)、経常利益500百万円(同3.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益310百万円(同13.4%減)と増収減益を見込んでいる。日本経済は、ウィズコロナに即した取り組みが始まり、緩やかながら持ち直していくと期待される一方、コストプッシュインフレやウクライナ情勢の長期化により、引き続き先行き不透明な状況も続いている。建設業界においては、公共投資は微減が予想されるものの、都心再開発や大阪万博に関連する工事をはじめ、高速道路や鉄道などのインフラ整備や、足元で勢いのあるデータセンターや工場、回復感が出てきた物流施設、商業施設などの民間の設備投資の増加が見込まれている。一方、先行きの不安から受注競争は激しさを増し、建設資材価格の高騰、現場従事者の慢性的な不足、脱炭素への対応など課題も多い。そのような環境下で同社は、「設計提案から施工までの一貫体制の強化」として、川上営業と設計折り込み力の強化、連結子会社や業務資本提携した日本ヒュームや日本コンクリート工業とのコラボレーションによるシナジーの創出、「顧客のニーズに応える付加価値の創出」として、新技術・新サービスを開発し早期実用化を進める方針である。また、これらの課題に加えDXやESG経営を推進するため、2022年4月に経営戦略本部を立ち上げている。

建設事業は、土木杭工事、建築杭工事ともに2022年3月期からずれ込んだ大型物件が売上高に寄与する見込みである。加えて、大阪万博やIRに向けて土木基盤の整備が最盛期を迎えることになるため、土木インフラや高速道路関係、モノレール延伸など関西インフラ強靭化プロジェクトの施工が強い動きを見せている。また、データセンターや物流施設に加え、これまで停滞していた工場やオフィスビルなどの案件も勢いを取り戻している。海外も、コロナ禍の影響で停滞していたベトナムのプロジェクト案件が既に動き出している。このため、売上高は2ケタの強い伸びが予想される。一方、営業利益は減益予想となっている。業界の先行き不安から受注競争が激しさを増すこと、建設資材や燃料などの価格高騰の影響を受けることなどを想定しているためである。人件費の上昇などゼネコンの業況にも厳しさが表れているため、値上げを想定することも容易ではないもようで、同社としてはコストプッシュインフレをかなり強く意識したと思われる。その分保守的な前提になっている可能性が高いうえ、建設業界全体で値上げ方向に動いているものの、収益環境の改善は、秋口の物価などを確認するまで見通しが立ちにくい状況が続きそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)





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