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日本株

新晃工業 Research Memo(8):2022年3月期はコスト高により減益も、回復の兆し


*16:08JST 新晃工業 Research Memo(8):2022年3月期はコスト高により減益も、回復の兆し
■業績動向

1. 2022年3月期の業績
2022年3月期の業績は、売上高41,964百万円(前期比7.1%増)、営業利益5,712百万円(同13.0%減)、経常利益6,048百万円(同13.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,097百万円(同18.4%減)となった。新晃工業
6458は2022年3月期にスタートした中期経営計画「move.2025」に沿って、SIMAプロジェクトを中心に生産性の向上を図る一方、水AHUとヒートポンプAHUの販売強化や工事・サービス事業の利益率改善などに取り組んだ。また、製造に関わる作業員の確保や世界的な原燃料の高騰や部材の調達難に対応すると同時に、事業環境を踏まえて売上高を確保する戦略を進め、業績は当初計画を上回ることができた。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を期首から適用したため、売上高で100百万円増、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益で各22百万円増となった。

セグメント別について、日本は、日本は売上高35,787百万円(前期比5.5%増)、セグメント利益(営業利益)5,587百万円(同15.5%減)となった。半導体不足による部品の納期遅延などが発生したが、国内外で建設投資の回復が見られ、国内で売上高を確保する販売活動を行ったことで増収を確保した。利益面では、空調工事を中心に戦略受注の効果は見られたものの、原材料や物流コストの高騰の影響から減益となった。アジアは、売上高6,177百万円(同17.4%増)、セグメント利益(営業利益)78百万円(同167百万円増)となった。一部に持ち直しの動きが見られたが、コロナ禍による上海などでのロックダウンの影響により中国で経済活動が鈍化した。しかしながら、円安により増収を確保した。利益面では、数年来進めてきた利益率重視の販売戦略と原価管理の強化により黒字化を達成した。

建設投資に回復傾向が見られるなかで、特に工場やデータセンターからの引き合いが強かったもようだ。工場は、同社は空調機専業メーカーのため空調機以外で工場の建設に関われずトータルな商売ができないが、機器の選択や図面作成などトップメーカーとしてのノウハウに対する高い信頼性が引き合いにつながったと思われる。データセンター関しては、高速大量のデータ通信ニーズや情報漏洩など運用面のメリットから国内での建設が増えているが、データセンターで使用されるような大型の空調機を短納期で納入できる企業があまりなく、もとより競争優位と言える。また、海外の施主によるデータセンターはモジュールの場合が多いが、海外空調機業者と比較して製品の信頼性やメンテナンス能力に優れているため、受注することも少なくないようだ。中小案件は引き続き競争が激しいが、同社は大型案件に注力したことで建設投資回復の効果を享受し始めたようだ。足下でも受注が伸びているもようである。資材価格高騰のため前倒して発注している部分もあるかもしれないが、一時的というより、工場やデータセンターに加えて東京都心再開発や大阪万博関連の開発も出てきており、今後中期的に伸びていく端緒となる可能性が高い受注増と言える。こうした売上動向や受注動向などを考慮すると、工場とデータセンターに注力する戦略は今後も変わらないと考えられる。ただし、そうした大型案件が増えてくると新技術が必要になるうえ、様々なリスクを考慮して在庫の確保も必要となるため、遠からず工場や倉庫への投資が必要になってくると思われる。


引き続きリスクもあるが、重要取組事項に注力
2. 2023年3月期の業績見通し
同社は2023年3月期の業績を、売上高43,000百万円(前期比2.5%増)、営業利益5,750百万円(同0.7%増)、経常利益6,100百万円(同0.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,180百万円(同2.0%増)と見込んでいる。日本経済は、コロナ禍の収束が見えないなか、原燃料や資材の高騰、物流混乱、円安など短期的なリスクや、少子高齢化など中長期の課題に対応する必要に迫られている。一方建設業界は、国内外の景気回復を受け、工場やデータセンターなど産業向けに引き続き安定的な需要が見込まれ、東京や大阪の再開発事業に加え、事務所や商業施設などの建設投資にも回復の動きが見え始めた。このような事業環境を踏まえると価格転嫁も必要だろうが、同社は今期も、SIMAプロジェクトによる生産性向上を軸に中期経営計画「move.2025」で掲げた5つの重要取組事項に注力するとともに、ESG経営を推進していく方針である。


日本は業況回復とリスクの広がり、アジアは中国での都市ロックダウンの散発など、通常2月~3月に策定されると言われる予算(3月決算期)から状況が刻々と変化しており、こうしたボラティリティもリスクとなりつつある。そのようななか、売上高は、工場やデータセンターに加え首都圏再開発や大阪万博関連、商業施設などの案件が出てきたため非常に強く、計画を上振れる可能性もあると予想する。一方、原燃料費の高騰による売上総利益率の低下や営業の正常化・人材確保などによる販管費の増加、前期に改善した中国利益率へのロックダウンの影響などを織り込んで、同社は営業利益を微増と計画している。しかし、原燃料費の高騰や物流混乱などリスクが想定以上で利益に下振れ圧力がかかっているため、業界を挙げて推進している価格転嫁や部品遅延への対応を全体最適になるよう急いで進める必要がある。加えてSIMAプロジェクトを加速していくことで、下振れ圧力をどこまで抑えられるかが2023年3月期業績予想達成のカギとなるだろう。


中期的にはリスク以上に期待が大きくなる
3. 中期成長イメージ
これまで述べてきたように、中期成長にとって重要なポイントは、SIMAプロジェクトの完成と重要取組項目の推進である。追い風となるのが国内の空調機需要で、工場市場やデータセンター向けに加え東京都心再開発や大阪万博関連、商業施設などが視野に入ってきており、中期的にも売上高は想像以上に強そうだ。バブル期納入後20年~30年が経過した水AHUの更新需要も徐々に増えると予想される。こうした予想は精度の高い同社の需要予測などに基づいており、確度の高いシナリオと言える。一方で、コロナ禍、原燃料高、物流混乱といったリスクの影響は小さくないが、1年を経てさらに悪化するということは考えにくく、短期的な影響にとどまる可能性が高いと思われる。したがって、中期経営計画で目指す収益トレンドは、従来想定よりも中盤での伸びが低くなるかもしれないが、最終年度の2025年3月期に向けて盛り返し、目標の売上高520億円、営業利益75億円は射程圏にあると言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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