July 23, 2009 / 1:52 AM / 10 years ago

焦点:日韓ハイテク産業、「チャイワン」が変える業界地図

 [ソウル 21日 ロイター] 一部で「チャイワン」という造語でも呼ばれる中国と台湾の経済的な連携強化は、勝者総取りの様相を呈するアジアのテクノロジー業界にパワーバランスの変化をもたらしそうだ。チャイワン連携が進めば、韓国企業には打撃となる一方、日本企業にとっては恩恵をもたらす可能性がある。

 7月21日、中国と台湾の経済的な連携強化はアジアのテクノロジー業界にパワーバランスの変化をもたらしそうだ。写真は2007年6月、台北国際コンピュータ見本市会場で。フォックスコンを抱える鴻海精密工業も台湾に本社を構え生産拠点を主に中国に置く(2009年 ロイター/Pichi Chuang)

 最終的な勝者は長年望んでいた先端技術と生産施設が本土にもたらされれる中国となりそうな一方、メモリーチップやフラットスクリーンなど多くの分野で台湾と激しく争う韓国は、世界第3位の経済大国である中国へのメーンサプライヤーの座を取って代わられるリスクがある。他方、電子部品の生産委託で台湾とこれまで協力関係を保ってきた日本には、中台の連携は朗報となり得る。

 ソウルにある現代経済研究所のアナリスト、Kim Min-jung氏は「韓国と台湾は対中国貿易のパターンが似ているため、チャイワンから受けるインパクトは日本より韓国の方が大きい」と述べた。ハイテク産業の輸出依存度が高い韓国と台湾にとって、中国は最大の市場。Kim氏は「中国の資金力と台湾の技術力が一緒になれば、技術面と商品面で韓国の優位性は弱まる」と指摘する。

 中国で事業を行う外資系企業にとって、これまでは価格競争力とネットワーク作りが主な課題だった。しかし中国が台湾に幅広く市場開放する姿勢を強めており、政治的な要素も頭の痛い問題になり始めている。中国政府はすでに、台湾にコンピューターやフラットスクリーンなどの商品買い付け団を派遣しており、来年には台湾製品に対する関税が引き下げる可能性がある。今年5月からは中国資本の台湾への直接投資を開放する準備も始まった。

 投資家は以前は冷え込んでいた中台関係の修復を歓迎している。台北にある元大証券投資信託のファンドマネジャー、ジェリー・リー氏は「われわれのトップピック銘柄は中国により大きなエクスポージャーを持つ台湾のハイテク企業だ」とした上で、液晶パネルメーカーの友達光電(AUオプトロニクス)(2409.TW)や奇美電子3009.TWの名前を挙げた。

 <恩恵受ける台湾メーカー>

 13億人の人口と成長を続ける消費力を持つ中国は、文化と言語の多くを共有できる台湾企業にとっては「約束の地」とも言える。

 中台関係改善の恩恵をいち早く享受しているのは、台湾の薄型ディスプレーメーカー。中国本土テレビメーカーとの連携強化を背景に、2009年第1・四半期の台湾製薄型ディスプレーの中国での市場シェアは、前年同期の36%から57%に拡大。対照的に、韓国のサムスン電子(005930.KS)やLGディスプレー(034220.KS)の同じ時期のシェアは46%から30%に低下した。また、TCL(000100.SZ)や四川長虹電器(600839.SS)といった中国のテレビメーカーが2009年に台湾から調達する液晶ディスプレーは、総額44億ドルに上るとみられている。 

 一方、汎用品からの撤退傾向を強め、得意分野への経営資源集中とコスト削減を進める日本の半導体メーカーにとって、台湾は半導体製造のアウトソーシング先となっている。市場シェアで韓国のサムスン電子やハイニックス半導体(000660.KS)の後塵(こうじん)を拝するエルピーダメモリ6665.Tは、台湾の聯華電子(UMC)(2303.TW) との提携を通じ、中国での生産拠点を模索中だ。また液晶ディスプレーの分野でも、ソニー(6758.T)やパナソニック(6752.T)といったメーカーにとっては、台湾からの調達を増やせばテレビ部門で直接競合する韓国メーカーへの過度な依存を軽減できるメリットがある。

 いずれにせよ、アジア地域での大手ハイテク企業間の競争激化は、最終的には中国に恩恵をもたらすとみられる。これまで大手ハイテク企業は、中国国内には組み立てラインや下流工程しか置こうとしなかったが、今では巨大な消費地の近くに最先端技術を持つ生産拠点を置こうとするメーカーが増えつつある。

 例えば、世界第2位のDRAMメーカーである韓国のハイニックスは中国に先端生産拠点を持つ強みを生かし、中国では市場シェア40%と業界トップの座を維持している。同社のスポークスマン、Park Hyun氏は「半導体受託生産会社を除き、中国で12インチウエハーの生産拠点を持つDRAMメーカーは当社だけ。われわれの(中国での)市場シェアは、積極的なマーケティングと中国に生産サイクル全体を置いたことの結果だ」と述べた。

 このほかにも、日本のシャープ(6753.T)が中国企業との間で液晶テレビ用パネルの生産について交渉を行っており、韓国のLGディスプレーも先週、中国にパネル生産拠点を置くことを真剣に検討中だと明かしている。

 中国と台湾の関係が今後改善していけば、台湾政府は現在禁止している中国での液晶ディスプレー生産を許可する可能性もある。

 大宇証券のジョナサン・ファン氏は「台湾メーカーは依然として中国の先端技術を持ち込むことに神経質だが、中国は積極的にLCD工場を国内に置こうとしている」と指摘。LGディスプレーのジェームズ・ジョン最高財務責任者(CFO)は「LCDメーカーならどこも中国での投資を検討している。われわれは最新技術保護問題の解決方法を見つけるつもりだ」と語った。

 (ロイターニュース 原文:Rhee So-eui、Baker Li、翻訳:宮井 伸明、編集:植竹 知子)

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