August 4, 2009 / 4:14 AM / 10 years ago

予想外の指標でリスク志向強まる、海外勢の日本株買いに厚みも

 [東京 4日 ロイター] 世界的にリスク資産への資金流入が強まっている。投機筋の買いが集まりやすい原油などが上昇、19商品の先物相場で構成されるロイター/ジェフリーズCRB指数は3日、3%超上昇した。

 8月4日、世界的にリスク資産への資金流入が強まっている。写真は昨年9月、都内の株価ボード前で(2009年 ロイター/Yuriko Nakao)

為替市場ではドル売り/円売り/他通貨買いの動きが鮮明になり、株買いとともにリスク志向時の典型的なパターンになっている。背景には予想を上回る経済指標の発表が海外で相次いでいることがあり、東京株式市場でも海外から短期筋だけでなく、長期の運用資金が入っているという。

 <海外勢が積極的な買い>

 株式市場では日経平均が続伸し、連日で取引時間中の年初来高値を更新している。米国株高や円安を好感して主力株を中心に買いが先行した。国内機関投資家や個人などが戻り売り姿勢を継続しているのに対し、海外勢の積極的な買いが目立っている。

 東海東京証券エクイティ部部長・株式トレーディング業務統括の倉持宏朗氏は「海外からCTA(商品投資顧問業者)などの短期筋だけでなく、将来を見据えた長期運用資金が流入している。オプションの権利行使価格である1万0500円近辺ではコールの売り手が抵抗感を示しているが、これを抜けるとデルタヘッジの買いが入り、大きく上抜ける可能性も出てくる」とみている。

 米原油先物が1バレル=70ドル超に上昇していることから、「マネーが余剰になっているとの連想で新興国の株価が上昇し、日本株も一段の上昇期待が強まっている」(国内証券株式トレーダー)との声も出ている。

 海外勢が日本株を買う背景には、米景況感の改善に伴うリスク許容度の拡大がある。3日に発表された7月の米ISM製造業景気指数は48.9と事前予想を上回り、08年8月以来の水準に上昇した。景気判断の分かれ目となる50に近づいたことで、景気回復に対する楽観的見方が広がった。

 ただ、先行きについては慎重な見方も出ている。三菱UFJ証券チーフエコノミストの水野和夫氏は「このまま米経済が持続的な回復に向かうのは難しい。4─6月期米国内総生産(GDP)では個人消費が伸びていないことがはっきりと示された。減税の効果でマイナス幅は縮小したが、減税効果は9月ごろには切れてしまう」と指摘する。水野氏は「一般家庭では消費を落とすといった対応に迫られる。借金を返すことができなくなる消費者も多くなるだろう。企業業績は回復してきたが、人件費を削減して上積みした利益だ。生産はそれなりに回復してきたが依然として水面下にある。株価を含め自律反発の域をまだ出ていないとみるべきだろう」と話している。

 <ドル10カ月ぶり安値、円も広範に下落>

 為替市場ではドルと円が広範に下落している。前日海外で発表された各国経済指標が相次いで予想を上回り、株高が進む中で低金利のドルと円に売りが集中。午前のアジア時間も堅調な豪経済指標を受けてドルと円の下落が加速した。きょう午前までにドルは、豪ドルや英ポンド、ニュージーランドドルなどに対してともに10カ月ぶり安値を更新した。

 円も対豪ドルで10カ月ぶり、対ユーロや対英ポンドなどで1カ月半ぶりの安値をつけた。

 ドルと円が幅広く最近の取引レンジ上限を突破し始めたことで、市場では一段のドル安や円安の観測も高まってきた。最近の世界的な株価上昇に懐疑的な見方がくすぶっていることに加え、「まだ積極的に大きくリスクを取れる参加者は少ない。(最近の取引)レンジ上限をしっかり抜けるきっかけとなるような(売り切りや買い切りの)フローがない」(都銀)というが、「このまま株高が進むなら(ドル売りや円売りで)ついていくしかない」(外銀)として、ドルや円の下落に追随する動きもある。中銀イベントや指標発表の多い今週の値動きが「当面のポイントになる」(邦銀)とする声は少なくない。

 <環境逆風のなかで10年債入札>

 円債市場は続落。リスク資産が買われているほか、週内に10年物と30年物の利付国債入札が予定されており、利回り曲線にスティープニング圧力がかかりやすい。長期金利の指標となる10年最長期国債利回りは、前日比2ベーシスポイント高い1.455%となり、6月22日以来1カ月半ぶりの高水準を付けた。

 注目の10年債利率は、前回債より0.1%引き上げられ、年1.5%に決まった。償還日(2019年6月20日)が同じ301回債との銘柄統合発行になり、一部でくすぶっていた「1.4%リオープン」に対する警戒感は薄らいだ。実際、入札通告後、国債先物は下げ渋り、国債利回りに対する上昇圧力も緩和したという。

 邦銀の運用担当者は「朝方には地域金融機関からとみられる買いが、残存10年の債券で観測されていた」と話した。市場には「長期金利1.45%付近なら買いが入りやすい」(米系証券)との見方もある。

 もっとも、新発発行ではなかったことに対する懸念は残り、参加者からは「302回債でショートで構えていた業者も多かった。ショートカバー需要が後退しかねない」(外資系証券)との声も聞かれた。

 JPモルガン証券・債券ストラテジストの木村仁美氏は「年後半の長期金利のレンジは1.2―1.6%と見込んでいる。6カ月後のフォワード損益分岐10年債金利が1.584%と1.60%目前であり、この金利見通しに基づけば中長期的な債券投資家にとって、現在の金利水準は買える水準であることを示唆している」と分析する。

 日興シティグループ証券・チーフストラテジストの佐野一彦氏は「足もとではスティープニング傾向が一服しており、週内の長期/超長期債供給を通過すれば、フラットニングに転じる可能性もある」と話した。

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集 山川 薫)

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