August 6, 2009 / 6:20 AM / 10 years ago

米雇用統計が相場の分岐点か、好循環へ時間との勝負

 [東京 6日 ロイター] 7月米雇用統計に再び市場の注目が集まっている。4─6月期企業決算発表が一段落し材料出尽くし感が広がるなか、次の相場の方向性を決める分起点になる可能性があるためだ。

 8月6日、7月米雇用統計に再び市場の注目が集まっている。写真はピッツバーグのジョブフェア。4日撮影(2009年 ロイター/Jason Cohn)

 政策効果もあって回復してきた生産の勢いを雇用や消費の改善につなげるサイクルに入れることができるのか、7月の米雇用統計はひとつの答えを出すことになる。早期に好循環に入ることができなければ、国債の大量発行による金利上昇の悪影響が先に出てくるおそれもある。

 <前月の記憶、生々しく>

 7月のADP全米雇用報告で民間部門雇用者数は37万1000人減と市場予想の34万5000人減より悪かったため5日の米株市場はネガティブな反応を示したが、減少幅自体は前年10月以来の水準に縮小した。7日に発表される7月雇用統計に対してナーバスになっており、わずかな差にも敏感に反応するマーケットの状況を示す反応だった。

 振れのある統計と言われながらも米雇用統計に対する市場の注目度は極めて高い。特に今週末7日に発表される7月の数字は「雇用統計の非農業部門雇用者数は何よりも重要だ」(カボット・マネー・マネジメントの債券ポートフォリオマネジャー、ウィリアム・ラーキン氏)とされ、株だけでなく債券、外為などあらゆるマーケット参加者の注目を集めている。

 注目される理由のひとつは前月の記憶が市場関係者のなかに生々しく残っているためだ。6月の米非農業部門雇用者数は市場予想(36万人減)を上回る46万7000人の減少となり、景気に対する楽観的な見方が後退、世界的に株価は急落した。米インテル(INTC.O)や米ゴールドマン・サックス(GS.N)が4─6月期の好決算を発表するまで相場は下げ続けた。

 今月も株価はその後の業績回復期待を織り込む形で上昇しており、現在の相場には再び過熱感がただよっている。32万人減の市場予想を下回れば、再び市場を崩す要因になるという。

 <好循環、確認できるか>

 さらに今後の経済を見極めるうえで重要な手がかりになることも注目度が高い理由だ。

 各国の生産は昨年の金融危機による「異常と言えるほどの調整」(外資系エコノミスト)からのリバウンドに加え各国の大型経済対策もあり回復傾向にある。だが一方で雇用と消費は低迷したままだ。

 生産の回復によって、今後、企業で人員を増やし、雇用、所得、消費と改善し、需要増加による生産の上昇と経済の好循環が生まれるか、それともジョブレス・リカバリーにとどまり本格的な経済の回復には至らないのかを7月の雇用統計で市場は見極めようとしている。

 三菱UFJ証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は「マーケットの景気に対する見方がやや楽観的に傾いているだけに、市場予想を下回る40万人減といった数字が出れば、6月のように大きく売られる可能性がある。半面、改善が示されれば、現時点で景気に対する最大の懸念である、雇用と消費に対する警戒感が後退し、市場はポジティブに反応しよう」とし、7月雇用統計が相場の分岐点になる可能性があると指摘している。

 <政策と国債、時間との勝負>

 遅行指標と言われる雇用の回復に、気が早いほどの期待が集まるのは、政策の息切れが懸念されているからだ。

 生産回復の代表的業種である自動車。7月の米国内自動車販売台数は年率換算で7カ月ぶりに1000万台を回復した。その原動力は政府の低燃費車への買い替え支援プログラムだ。

 米政府は自動車需要下支えと環境対策のため、燃費の悪い古い車を低燃費車に買い替える際に、最大で4500ドルの補助金を支給するプログラムを導入した。消費者はこれを好感し、7月の最終週に自動車販売台数は急増、支援総額は政府が当初割り当てていた10億ドルにあっという間に達した。

 現在は米上院で支払規模を20億ドルまで拡大する案を審議している。

 2月に成立した総額7870億ドルの景気対策法からの資金支援だが、各対策にその「貯金」は日々目減りしている。早期に生産から雇用の拡大、消費喚起へとバトンタッチしていかなければ、使い果たしてしまうおそれがある。

 米財務省は750億ドルと過去最大の発行総額となる四半期定例入札を来週実施する。これまでの大量国債入札は、金融緩和によって生み出された過剰流動性もあって何とか吸収されているが、今後も消化できるかは不透明だ。今年10─12月期には米政府債務の上限に達するとの見通しもある。一時、3.3%台まで低下した米10年債利回りは5日の市場では3.76%まで上昇してきた。

 ゴールドマン・サックスのエコノミストは5日、在庫が予想より速いペースで回転しているほか、刺激策による景気の押し上げ効果が出ているとして、2009年下期の米実質国内総生産(GDP)伸び率予想を年率1%から3%に引き上げた。だが一方で、2010年下期までに伸びの勢いが再度鈍る可能性があるとの見方も示している。

 (ロイター日本語ニュース 伊賀 大記記者 編集 橋本浩)

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