August 7, 2009 / 12:29 AM / 10 years ago

英中銀が資産買い入れ拡大、需給ギャップ懸念が背景

 [ロンドン 6日 ロイター] イングランド銀行(中銀)は6日、資産買い入れプログラムの枠を現行の1250億ポンドから1750億ポンド(約2970億ドル)に拡大し、エコノミストの意表を突いた。

 8月6日、英中銀(写真)が資産買い入れ拡大。2007年11月撮影(2009年 ロイター/Alessia Pierdomenico)

 資産買い入れの拡大決定は、中銀の最終目的を視野に入れた措置とみられる。それは、経済成長を押し上げることではなく、インフレ率が2%の目標を大幅に下回ったり、上回らないようにすることだ。英インフレ率は鈍化傾向にあり、現在は1.8%となっている。

 英国ではこのところ、鉱工業生産やサービス部門、住宅価格の持ち直しを示す指標が相次いでおり、早期景気回復への期待感が高まっていたが、中銀は今回、需給ギャップ拡大を懸念していることを鮮明にした。

 第2・四半期の英国内総生産(GDP)は予想以上のマイナスとなった。これは単に悪い結果というだけではなく、中銀が注目するのは経済の余剰拡大だ。インフレ率の上昇には、余剰は解消される必要がある。

 余剰が解消され、賃金や物価に上昇圧力がかかるには、経済がプラス成長に戻るだけでは不十分。大半の経済モデルによると、インフレ率の上昇には、経済成長率が信用収縮前の平均水準以上になる必要がある。

 急成長への回帰を阻む要因で、英中銀の悩みの種となっているのは、一般の家計や企業にとって、クレジットが依然として限られていることだ。

 たとえば、今回の資産買い入れ拡大を受け、2年物の英国債利回りは7ベーシスポイント(bp)低下したが、住宅ローン金利が同程度下がるとは考えにくい。銀行の資金調達コストが低下したとしても、銀行は自身のバランスシート改善を念頭にローン金利を決定しているようだ。

 資産買い入れ拡大の理由は、12日のインフレ報告で明らかになる。

 ビーン中銀副総裁は先月末、インフレ報告について、5月発表のものとあまり変わらないと述べている。前回の報告では、資産買い入れをもってしても、インフレ率は2%をアンダーシュートすると示唆した。

 副総裁はこのとき、第2・四半期GDPは小幅なマイナスを予想していたが、実際には市場予想よりも悪い前期比マイナス0.8%だった。 

 <資産買い入れ、今後も拡大あるのか> 

 景気回復が向こう3カ月で実現するのかどうかについては、多くの要因が絡み合っており、判断が難しい。そのためエコノミストは、資産買い入れ拡大が今回で最後になるのか、まだ結論を出せない状況にある。

 資産買い入れプログラムはこれまで、センチメントに多大な影響を及ぼしてきた。キング中銀総裁は今年2月、資産買い入れ計画を検討していると発表、市場には驚きが広がった。先月の政策会合では、市場の予想に反して資産買い入れ枠を拡大せず、国債価格の下落につながった。

 中銀は政策決定の際に多くのデータを参照することの重要性を強調しているが、中銀が先月は資産買い入れを拡大せず、今回拡大した経緯について、どんな新情報に基づき決めたことなのか疑問も広がっている。

 中銀は、資産買い入れが経済に影響するのは、新たに創造されたマネーの絶対量だ、としている。これに対して、国債の予想可能かつ定期的な買い入れが、銀行の貸し出しを促すうえで重要、との指摘もある。

 また資産買い入れプログラム自体も微妙な問題をはらんでいる。特定の種類の国債市場において、中銀が占めるシェアが高まっているのだ。

 中銀は今回、これを回避するため、買い入れる国債の種類を拡大。今後は償還期限が3年から25年超の国債を買い入れることを決定した。さらに、市場の変動を抑えるために、中銀が買い入れた国債を手数料を取って投資家に貸し出すという、新たなスキームも導入している。

 ただ不透明なのは、今後の出口戦略や、将来的なインフレリスクという問題に、今回の資産買い入れ拡大がどのような影響を及ぼすのかだ。

 ドイツ銀のエコノミスト、ジョージ・バックリー氏は「利上げ時期は遅れる可能性があるが、利上げ幅はより大きなものになる」と述べた。 

 (David Milliken記者;翻訳 吉川彩;編集 宮崎亜巳)

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