August 25, 2009 / 3:13 AM / 10 years ago

バーナンキFRB議長再任:識者はこうみる

 [オーク・ブラフス(米マサチューセッツ州) 24日 ロイター] オバマ米大統領は、25日にバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の金融危機への対応を称賛し、FRB議長に再指名する。政権高官が24日、明らかにした。市場関係者の見方は以下の通り。

 8月24日、オバマ米大統領は、25日にバーナンキ米FRB議長の金融危機への対応を称賛し、FRB議長に再指名する。政権高官が明らかにした。写真はバーナンキ議長。先月ワシントンで撮影(2009年 ロイター/Kevin Lamarque)

●アジアの大半は歓迎、リスク選好度高まる見通し

 <シティグループの香港・台湾担当エコノミスト、CHENG CHENG-MOUNT氏> 

 バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の再任をアジアの大半は歓迎すると思う。バーナンキ議長は世界的な金融危機への対応で多くのことをやった。議長の再任と努力により、リスク選好度は高まるとみられる。これはアジアにとって良いことだ。

 市場はバーナンキ議長の政策に慣れている。従って、もし別の人が指名されれば、市場の不透明感が増すだろう。

●再任されなければ市場に先行き不安

 <ソシエテ・ジェネラル(香港)のストラテジスト、パトリック・ベネット氏> 

 過去数年バーナンキ議長が行ったことを振り返ってみると、適切な政策が実行されたというのが大多数の意見だ。現時点で再任されないかもしれないことを示唆するものでさえ非常に危険で、市場に先行き不安が広がり、そうしたことは歓迎されない。

●政策に一貫性、安定を歓迎

 <ANZナショナル(ニュージーランド)のシニア・マーケット・ストラテジスト、クーン・ゴー氏> 

 不透明感がこれで払しょくされた。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が危機にうまく対応し、市場もその手腕を評価していることから、再任決定は好意的に受け止められるだろう。

 FRBがこれまで追求してきた政策は今後も一貫性が保たれる。FRBがこれまで行ってきた対策には変化はない。安定は歓迎すべきことだ。

●中国は議長の金融危機対策を評価

 <CEBMリサーチ・アンド・アドバイザリー(北京)のエコノミスト、チャールズ・スー氏>

 バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の再任について、中国が特定の見解を持っていたとは思わない。ただ、金融危機対策という点から見れば、中国は、正面から立ち向かったバーナンキ議長の対応を間違いなく評価している。

●米経済・金融市場回復への確信維持が政権の狙い

 <ZEPHYR MANAGEMENT(ニューヨーク)のマネジング・ディレクター、ジム・アワド氏> 

 「市場にとって勇気付けられる材料だろう。バーナンキ議長への評価は非常にポジティブだった。議長はわれわれを深刻な不況から救い、米経済は回復しつつあるからだ」

 「市場は再任されるとみていた。午前の市場はこれを非常に好感するだろう」

 「米経済・金融市場回復への確信を保つためにバーナンキ議長再指名に出たホワイトハウスもなかなかのものだ」

●迅速に対応し恐慌を回避

 <ノムラ・オーストラリア(シドニー)のエコノミスト、スティーブン・ロバーツ氏> 

 再任に疑問の余地はなかった。(バーナンキ)議長は信用危機とそれに伴う景気の落ち込みという極めて大きな課題に取り組まなければならなかった。

 議長は迅速に対応し、恐慌を回避した。これまでのところ、非常にいい対応だ。しかし先行きに課題が待ち構えており、議長は自身の経験と、しばしば対応が遅過ぎた不況に対する日本の政策イニシアチブの教訓を活用するだろう。

●予想通りで順当

 <みずほインベスターズ証券 シニアマーケットエコノミスト 落合昂二氏> 

 オバマ米大統領がバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長を再指名することについて、予想通りで順当と受け止めている。他の候補者と交代する必要性はないと見ていた。バーナンキ議長が金融危機に対応して、いろいろな手を打ち出していて、今はまだその途上にあり、このタイミングで議長を変えることは、今までやってきたことを否定することにもなりかねない。バーナンキ議長の政策は個人的にきちんとワークしてきたと認識している。変えることによって、無用な混乱を招くことにもなりかねない。対抗とされていたメンバーに関しても現実味をあまり感じなかった。

●市場は歓迎、楽観的見方支える

 <アクション・エコノミクス(シンガポール)のエコノミスト、デービッド・コーエン氏>

 このような時期の指導者の交代は、先行きの不透明感を強めるだけだ。このため、市場はバーナンキ議長の再任に安堵するだろう。同議長の再任は、この数カ月間、世界で観測されている楽観的見方の広がりを支えるだろう。

●政策の出口戦略主導するのに最適の人物

 <DONGBU SECURITIESのエコノミスト、CHANG HWA-TAK氏> 

 バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が再任されれば、米金融政策が変更されるリスクが低減し、代わりに予測できる可能性が高まることから、ポジティブなインパクトがある見通しだ。

 現在の金融危機を切り抜けるために金融政策を調整したのはバーナンキ議長であり、これらの政策の出口戦略を主導するのに最適な人物は同議長であると言えるだろう。

●2期目の課題は出口判断の難しさ

 <東短リサーチ チーフエコノミスト 加藤 出氏> 

 マーケットからすると、米国の金融政策の連続性が失われないという点から、バーナンキ議長の再任だけではなく現在の体制が続くということに安心感はある。連邦準備理事会(FRB)は、フェデラル・ファンド(FF)レートを引き上げるという意味での出口政策の遂行はまだ先だと思っており、利上げには慎重だ。しかし、連邦準備法第13条という非常時対応で供給している流動性は、市場の改善に合わせながらショックを与えない形で徐々に縮小していくことになる。

 来年2月以降の同議長の2期目の課題としては、まず出口政策の判断の難しさが上げられる。時期尚早ではまずいし、出遅れ気味となってはいけない。また、引き締め局面に入れば政府や議会との摩擦が起こる可能性もあるので、状況によってはかつてのボルカー議長のようなたくましさが求められる可能性が出てくる場面もあるだろう。さらにFRBが目先、減らそうとしているのは短期の資金であり、年末に向けて30年MBSなどの購入は続くのでますます資産のデュレーションはますます長期化する。3つ目の課題は、出口の技術的な難しさだ。

 もっとも、出口政策で悩めるほど自律回復が起きているともいえるので、バーナンキ議長にしてみればハッピーな面もあるのではないか。再任についてはサプライズではなく、日銀としてもFRBに対して今までどおり接していけばいいので、安心だといえるだろう。

●米金融政策に予想外の大きな変更ない

 <サムスン証券の債券アナリスト、CHOI SUK-WON氏> 

 バーナンキ議長の再任は、米金融政策に予想外の大きな変更はないことを意味する。その結果、韓国銀行(中央銀行)の今後の動きは、新たな議長になった場合よりも予想がつく。

 資産価格の上昇はかなり懸念事項だが、韓国中銀は金利引き締めにおいて、他国中銀の動きに合わせる可能性が高い。

 李成太総裁が来年初めに再任されるとは思わない。これは今後の韓国金融政策における不確定要因だ。

●リスク選好高めドル売り材料に

 <大和総研 為替ストラテジスト 亀岡裕次氏> 

 バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の再任は、米国景気に対しては政策の継続性が確保される点でプラスと評価している。景気への安心感がリスク選好につながるため、円に対してはともかく、高金利通貨などに対してドル売り材料になりそうだ。

 また、オバマ大統領が同議長を称賛したことで現行の景気回復を狙った緩和政策を続けやすくなり、低金利が当面続くとみられるため金利面からもドル売りにつながるだろう。

●今はデフレ回避に全力、出口戦略は2011年の課題

  <JPモルガン証券 チーフエコノミスト 菅野雅明氏>

 バーナンキ議長以外に本命はいなかったと思う。今や、米連邦準備理事会(FRB)の役割は、単に金融政策にとどまらず、金融秩序の維持も担うことになり、以前より格段に責任が重くなっている。同議長は、金融危機の収拾で政策に精通し、金融システム維持の経験も積み、適任だろう。

 今後の課題は、景気の二番底・デフレを回避すること、そして利上げという出口政策にいつギヤチェンジするか、の2つ。

 しかし、バーナンキ議長は今はまだデフレ回避に必死だろう。同議長は米国を日本のようなデフレに陥らせないことが最大の使命だという哲学の持ち主だ。米国はまだ需給ギャップが大きく、失業率も高い状態なので、利上げは2011年の課題だとみている。

 長期国債の購入は、やってみたもののそれほど長期金利が低下しなかったし、市場に介入することで良いことはあまりないという教訓を得たものと見られる。利上げには、まだ遠い状況だ。

 ただ、出口戦略の議論を始めるタイミングは難しい。白川方明日銀総裁が言うように、あまり超緩和が長期化すると市場が期待すると、どこかでバブルにつながりかねないためだ。(出口戦略の)議論自体は2010年の後半くらいから始まるのではないか。

●「早すぎる利上げ」の可能性は小さくなった

 <みずほ証券エクイティ調査部シニアエコノミスト、飯塚尚己氏>

 マーケットにとっては、この先景気底入れが明確になる中で、議長交代という不確実性がなくなり良い話だ。しかも、「早すぎる利上げ」の可能性が小さくなったとみている。

 バーナンキ議長は、大恐慌研究の第一人者であり、早すぎる利上げが景気の腰折れを招くことをよく知っている。さらに日銀の失敗もよく知っている。したがって、インフレリスクがはっきり出てくるまでは、ゼロ金利を続けるのだろう。利上げは2011年でも早すぎるくらいで、12年の課題かと思う。

 利上げにはハードルが3つある。雇用の状況に配慮すること、2010年の中間選挙後は財政引き締めを優先せざるえない時期がくること、さらに長短金利差で米金融機関の収益を支援してバランスシート調整を後押しすること――を考えると、そう簡単に短期金利を引き上げられないだろう。

 注意しなければならないのは、長期国債購入など非伝統的政策をやめると言った途端に、伝統的政策である金利政策まで出口に近づいたと誤解を招くこと。この2つは区別して語る必要がある。そうしないと、市場は金利政策の出口まで近いという思惑で動いてしまう。

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