August 25, 2009 / 9:11 AM / 8 years ago

インタビュー:中国株下落の要因は出口戦略への不安=大和総研・肖氏

 [東京 25日 ロイター] 大和総研・投資戦略部シニアエコノミストの肖敏捷氏は24日、ロイターとのインタビューで、中国株下落の背景はマーケットが貸出抑制などの「出口戦略」だけでなく「出口後」の戦略に不安を抱いているためだと指摘した。

 超金融緩和や巨額な財政支出をやめた後で持続的な成長軌道に乗ることができるか不安視しているという。中国経済のソフトランディングには日米欧が早期に景気回復を果たしバトンタッチすることが不可欠だと述べる。

 ──ここ最近の中国株下落の要因は何か。

 「直接的な下落の主要因は、いわゆる出口戦略への懸念の強まりだ。景気がV字回復した後で超金融緩和や巨額な財政出動を続けるわけにはいかないが、銀行の自己資本比率規制の強化などにマーケットの警戒感が高まっている」

 「中国銀行業監督管理委員会(銀監会)による草案もそのひとつだ。劣後債は、銀行のTier2(自己資本の補完的項目)に含まれ、現在は広義での自己資本の一部とみなされているが、これを銀行が相互に持ち合い、自己資本を膨らませているとの見方から、今後は劣後債をTier2から除くのではないかとみられている。実行されれば、銀行は自己資本比率を維持するために貸し出しを抑制するか、劣後債以外でファイナンスして自己資本を充実させることになるだろう」

 ──中国株のバブルが崩壊しているのか。

 「上海総合指数は1700ポイントから1年足らずで3500ポイントまで倍化したが、これをあえてバブルというなら『景気回復バブル』だろう。水面下に落ち込んだものをようやく水面上に持ち上げたような水準ではあるが、超金融緩和や財政支出で景気が急速に回復しているのは確かだ」

 「ただ回復後の方向性がみえない。金融緩和や財政支出をやめて、経済をそこから持続的な成長軌道に乗せられるかどうか。中国だけでなく世界各国が、出口後の戦略が見えていない状況だ。中国の悩みは世界の悩みともいえる。マーケットは出口戦略だけでなく、出口後の戦略も懸念している」

 ──出口戦略は時期尚早ということか。

 「中国は世界に先駆けて大型景気対策を実施し、いち早く景気底入れを果たした。『ファーストイン・ファーストアウト』──先に緊急対策を行った中国は先に出口から出なければならない。もたもたすれば、3─5年後にツケが回ってくることになる。貸出の急増は将来の不良債権と化す可能性があるためだ」

 「また、このまま成長すれば2009年第3─4半期は2ケタの成長になるだろう。抑えなければ高すぎる『ゲタ』となり、GDPの前年比成長率を維持するには来年さらに大型の景気対策をとらなければならなくなる」

 「中期的には中国にとっても世界にとってもいい話だ。だが短期的には世界各国にとって好ましい話ではない。ようやく底入れを果たしたような国にとっては、中国にまだまだ世界経済のけん引役として引っ張ってもらわなければ困るからだ」

 ──需要刺激策によって、消費の先食いが起きている。反動減への懸念は。

 「家電や自動車などは需要刺激策が大きな効果を発揮している。中国の自動車市場は米国を抜いて今や世界トップだ。だが、これらの耐久財は一度買えば、しばらくは買い替えないだろう。反動減は確かに懸念される。だが需要刺激策を永遠に続けるわけにはいかない。そこで中国政府はミクロの対策に加え、マクロの対策に乗り出している。上昇している貯蓄率を低下させ消費を拡大させるという方法だ。そのために消費者の不安から貯蓄率を上昇させている社会保障や年金支給の問題に手をつけようとしている」

 「胡錦涛国家主席は就任時に『科学的発展観』というスローガンを掲げた。発展成長重視だった?小平氏のスローガンに対するアンチテーゼであり、環境などにも配慮したバランスの取れた持続的な発展を意味している。昨年末の世界的な金融危機で一時的に棚上げになっていたが、再びその路線に歩みだそうとしている」

 「中国への過剰な期待の修正も必要だ。中国経済がソフトランディングするためには、日米欧が中国に代わって世界経済をけん引する必要がある。中国は世界経済に火を点けたが、けん引し続けるのは若い中国経済ではまだ荷が重過ぎる。重荷を載せ続ければ後遺症が残るだろう。9月のG20などでバランスの取れた世界経済の成長戦略を話し合う必要がある」

 (ロイター日本語ニュース 伊賀 大記記者)

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