August 30, 2009 / 4:17 PM / 10 years ago

焦点:鳩山内閣が9月中旬に発足、真価問われる予算編成作業

 [東京 31日 ロイター] 30日投開票の第45回衆院選で絶対安定多数を超す議席を獲得した民主党は、直ちに新政権の樹立に作業に着手する。

 8月31日、衆院選で絶対安定多数を超す議席を獲得した民主党は、直ちに新政権の樹立に作業に着手する。(2009年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 社民党、国民新党との連立協議などをスタートさせ、中旬にも開かれる予定の特別国会で鳩山由紀夫代表を首相に選出し、新内閣を発足させる考え。新内閣はマニフェスト(政権公約)に掲げた政策を実現させるため、2009年度補正予算の一部執行停止や2次補正予算、2010年度予算の編成作業に優先的に取り組む見通しだが、新政策の財源をどうねん出するか、など難題を抱えての船出となる。

 <政権移行作業に着手、財務相の人選に注目>

 民主党は衆院選圧勝を受け、直ちに政権移行作業に入る。鳩山代表は選挙後の会見で、社民党や国民新党との連立方針について「変更はない」と表明。31日にも連立協議に入る可能性を指摘し、災害や新型インフルエンザなどへの対応について、現政権との引き継ぎの議論を行っていく考えも示した。

 鳩山代表は、こうした作業を行う「政権移行チーム」について、新政権でも主要なポストを担うと見られる「現在の党3役を中心に骨を折ってもらう」と指摘。新政権の閣僚人事に関し、枢要ポストとして国家戦略局担当相と財務相を挙げた上で、9月中旬の特別国会で首班指名を受けるまでは人選を明らかにしない考えを示した。

 「国家戦略局」は政治主導による予算の骨格策定などを行う重要機関で、鳩山代表は政権発足後に法的整備が必要ない「国家戦略室」でスタートすると明言。その後に法改正して「国家戦略局」に格上げする考え。トップである担当閣僚は民主党・政調会長が兼務し、政治家や党政調スタッフ、官僚、民間人など30人ほどのメンバーで構成する。必要に応じて首相や主要閣僚を交えた会議を招集するほか、議題によって関係閣僚や外部の専門家などを加えることも検討している。各省庁には、大臣、副大臣、政務官という政務3役のほか、大臣補佐官などの国会議員を合計で100人程度配置して、政治主導の政策立案や決定を目指す。

 市場は、民主党主導の新政権のマクロ経済政策運営を注視しており、その要となる財務相の人選に大きな関心を寄せている。民主党内では、財政規律に対する内外からの信頼を担保するため、岡田克也幹事長や蔵相(現財務相)経験のある藤井裕久最高顧問らが適任との声が上がっている。

 <予算組み替えによる財源捻出にも壁>

 新政権が抱える大きな課題の1つ、マクロ経済政策では、2010年度予算編成とデフレ懸念が高まる経済情勢への対応が焦点。自民党が結党以来初めて野党に転落した1993年、非自民・非共産の連立政権となった細川内閣では予算編成が遅れ、本予算成立が6月にずれ込んだ。民主党はこの轍(てつ)を踏まないよう、10年度予算は何としても年内に編成し、国内経済への悪影響を最小限に抑える考えだ。経済官庁の関係者も「来夏には参院選が控えており、必ず年内編成される」と語る。

 しかし、選挙戦の過程で自民党などから不透明と非難された財源のねん出策はなお流動的だ。民主党内では、無駄の典型と糾弾してきた46基金への拠出(予算総額4兆円超)を含む09年度補正予算の執行を一部停止し、それによって確保した財源でを主要政策を前倒しで実施する案も指摘されている。

 だが、09年度税収は当初比6兆円程度落ち込むとの見通しもあり、そうした財源で減収分を補てんしたり、税収動向によってはさらなる赤字国債の発行による第2次補正予算の編成も必要になる。

 補正予算の一部執行停止も簡単ではない。停止自体は政府の権限で可能だが、経済官庁の関係者によると、6月の地方議会を通過した多くの事業が既に執行に着手している。執行を止めるとなるとその根拠も含め、検証作業に相当時間がかかると展望する。 

 <新政権下で新たなデフレ対策が浮上も>

 デフレ対策の是非が緊急の課題に浮上する可能性も否定できない。福山哲郎政調会長代理は24日都内での講演で「景気回復が続くか、二番底になるか、注意してみていかなければならない」と述べ、景気の現状について慎重な見方を示している。

 今月28日発表された7月の完全失業率(季節調整値)は5.7%となり、過去最悪を更新した。年内には6%台への悪化が見込まれるなど厳しい雇用情勢が続くとみられている。デフレ懸念はより深刻だ。7月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、コアCPI)は前年比2.2%低下し、3カ月連続で過去最大の下落率となった。日銀が中長期的な物価安定の目安とする「ゼロ─2%」を下回り、政府関係者によると、日銀内部でも頭を悩ませているという。所得環境の改善が進まなければ、デフレ対策の必要性も浮上する。大塚耕平・政調副会長は7日に「デフレ対策は必要」と指摘、「GDPギャップが原因で生じているデフレについては予算などで対策を講じる」とし財政出動に含みを残している。

 <抜本税制改革議論は参院選後に先送りか>

 民主党は政権1期目の4年間は消費税引き上げは行わないと言明しており、本格的な税制改革の議論は来年の参院選後まで先送りされる見通し。税法の付則では、景気好転を条件に2011年度からの消費税を含む税制抜本改革の道筋が示されているが、この付則をどうするかも焦点だ。直嶋正行政調会長は7月31日のインタビューで、「詰めた議論はしていないが、見直しはある」と述べている。

 基礎年金の国庫負担を2分の1に引き上げるための安定財源をどう確保するかも大きな課題だ。2009年度と2010年度までは「埋蔵金」で手当てされたが、2011年度以降については財源の見通しがたっていない。具体策として、全額消費税を充てる最低保障年金制度の制度設計を超党派で議論する場を早急に実現できるかどうかも、新政権のひとつの試金石になりそうだ。

  (ロイターニュース 伊藤純夫 吉川裕子)

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