August 31, 2009 / 4:40 AM / 10 years ago

「日本買い」急速に萎む、短期筋の売買に振らされる

 [東京 31日 ロイター] 31日の東京市場はやや乱高下気味。総選挙での民主圧勝を受けて、朝方は、変化への期待感から株高/円高が進行。「日本買い」との声が出たものの、その後、中国株の大幅安や円高が嫌気されて日経平均が下落に転じた。

 8月31日、短期筋の売買に振らされ、「日本買い」が急速に萎む。写真は都内の株価ボード(2009年 ロイター/Yuriko Nakao)

 売買の主体は短期筋が中心となっていることもあり、当面、新政権発足にからんだ思惑で振らされる可能性もある。

 <失望売り懸念との綱引き>

 株式市場では日経平均が反落。朝方は総選挙での民主党勝利に加え、寄り前発表の7月鉱工業生産指数速報が事前予想を上回ったことや、28日に米半導体大手インテル(INTC.O)が7―9月期の売上高見通しを引き上げたことなどを好感。上げ幅は一時200円を超える場面もあったが、買い一巡後は大口の先物売りなどで一転マイナスとなっている。

 「CTA(商品投資顧問業者)などの短期筋が為替と絡めて先物への売り圧力を強めている。1ドル92円台の円高に進んだことで、ハイテクや自動車などの輸出株も売られて指数を押し下げた」(準大手証券トレーダー)。

 総選挙の結果はほぼ事前の情勢調査通りとなり、株価にある程度は織り込まれていたため、材料出尽しになったとの見方もある。国内での大きなイベントが通過し、先行きについては慎重な見方も増えてきた。東海東京証券マーケットアナリストの鈴木誠一氏は「政権が本格的に始動する10月以降の株高持続は疑問だ」という。「93年の政権交代期も新党ブームは一時的で、結果的にはマーケットに押しつぶされる形となった。今回も政権が動き出せば、政策実行力が問われる。ネックとなるのは財源だ。市場は短いタームでの結果を求める。国債増発は容易ではなく、政策が遅れるようなことになれば市場は嫌気するだろう」と話している。

 三菱UFJ証券投資情報部長の藤戸則弘氏も「組閣以降は民主党のマニフェストに掲げられている政策がどの程度実現できるのかを見極められる段階に入る。財源問題があるほか、国家戦略局をベースにした予算編成も12月までには時間が乏しく、官僚の出してきた案をやや修正する程度になる可能性も大きい。そうなれば期待が大きい分、失望も大きくなるだろう」と指摘している。 

 <円買いの背景、見方交錯>

 外為市場では円高が進行。ドル/円は92.57円まで売られて1カ月半ぶりの安値をつけた。クロス円も幅広く下落し、ユーロ/円は132.36円まで、豪ドル/円は77円後半まで、英ポンド/円は150円半ばまで売られた。月末にあたることから仲値にかけての実需の動きが注目されていたが、ドル余剰だったことで需給に押されて円買いが強まった。その後スタートした上海総合指数が急落、一時4%を超える下げとなったこともクロス円中心に上値を圧迫した。市場では「月末需給と中国株を受けた円高で、総選挙の影響は限定的だ」(ソシエテジェネラル銀行外国為替本部長、斎藤裕司氏)との声が上がっている。

 朝方は日経平均が堅調にスタート。一時は200円を超える上昇となり、一方で93円前半にいたドル/円は急速に下げ足を速めて円高と株高が同時進行。総選挙で圧勝した民主党政権への期待が短期筋の手掛かりになり「選挙を受けて円買いになっている。93円がバリアでその下にはストップロスがあるため、短期筋はこれを狙っているようだ。92円半ばくらいまでの下げがあってもおかしくない」(国内銀行)との声が上がった。

 しかし、仲値にかけて選挙への関心は薄れ「仲値の需給見通しがブレて、ドル余剰になったので、投機筋がそれに便乗した。選挙結果と関係ない」(ファンドマネジャー)との見方が強まった。

 ドイツ証券シニア為替ストラテジスト、深谷幸司氏は「総選挙で圧勝した民主党政権への期待で円と円資産が買われたわけではない。円買いは需給要因によるものだ。ドルがこれまでのレンジを切り下げるイメージはない」と話す。

 <見極め段階>

 円債市場では、年金基金からの月末特有のエクステンション買いが入り、需給が引き締まった。国債先物は安寄り後、一時前週末比22銭高の139円25銭に上昇。長期金利の指標となる10年最長期国債利回りは2営業日ぶりに節目の1.3%を割り込んだ。

 外資系金融機関の債券ディーラーは「幅広い年限で年金の買いが観測されたことが相場上昇をけん引した」と指摘した。邦銀の運用担当者は「超長期ゾーンで利益確定の売りも出たが、年金資金に吸収された」と話した。

 総選挙結果は直接的な手掛かり材料にはされなかったという。財政政策変更の実効性を見極めるにはまだ時間がかかりそうだとの見方が背景にある。

 ドイツ証券・チーフ金利ストラテジストの山下周氏は「民主党は、年末の第2次補正予算や来年度予算に、政権公約の支出を具体的に組み込んでいくことになるだろう。問題は財源のねん出であり、第1次補正予算の速やかな執行停止や経費節減などをどれだけ具体的に実行できるかを見極めたい」と指摘する。

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集 宮崎 亜巳)

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